どう頑張っても俺には彼女が見えない   作:ふーあいあむ

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二話

「お、はるくんだ。おっはー」

 

学校に着くとちょうど登校してきた東雲が挨拶をしてきた。

それに挨拶を返し、共にクラスへと向かう。

 

「でさ、トーコちゃんがねー」

 

最近のこいつは例の(・・)転校生、小森透子の話ばかりしてくる。

 

「……なぁ、東雲。小森ってどんな奴なんだ?」

「……またその質問ー? 何回するのさ」

 

小森のことを聞くのは何回目になるのだろうか、自分でも分からない。

だが返ってくる答えはいつでも誰でも同じものだ。

 

「ーーーーだから普通の子(・・・・)だってば!」

 

これだ。

まるで魔法にでも掛けられたかのようだ。

 

「……そか。そうだったな、悪い」

「もー! はるくんだってよく話してるでしょ? トーコちゃん、可哀想だよ」

 

そう、何故か俺は小森によく話し掛けられる。

いきなり何もないところから声が聞こえるから、慣れない頃は心臓が止まるかと思った。

 

「そ、れ、にぃ! トーコちゃん、もしかしたらもしかするかもしれないんだからぁ!」

「はぁ……? ないない」

 

彼女が見えていない俺では完全には否定できないのだが、とりあえず否定しておく。

こいつは事あるごとに色恋沙汰に結びつけるのだ。

アリ相手に言い出したときは本気で気が触れたのかと思った。

 

「えー? そうかなー?」

「そうだよ」

 

教室に辿り着く。

頬を膨らます東雲を適当にあしらいながら扉を開けた。

 

「ーーーーあ、おはよう! ゆりちゃん、明石くん!」

 

「おっはよう、トーコちゃん!」

「……よう」

 

やはり見えない。

彼女の姿も、着ているであろう服すらも。

 

「ねぇねぇ、トーコちゃん。昨日のテレビ見た?」

「あ、見たよ~!」

 

二人が話し始める。

俺は自分の席に座り、小森のいるであろう場所を見つめる。

 

(……なんで俺だけが彼女を見れないんだ?)

 

小森を見えていないのは俺だけで、他の人間はしっかりと認識できているらしい。

鏡や携帯越しに彼女を見てみたが、効果はなかった。

 

「……あ、あの」

「……ん? あ、あぁ、どうした小森?」

 

最近は慣れたものだ。

小森が俺に話しかけているのかどうかすぐに分かるようになった。

 

「そのぅ……そんなに見つめられると……!」

「あ、わ、悪い!」

「あれあれ~? はるくぅん?」

 

ニヤニヤして東雲が近寄ってくる。

 

「……なんだよ」

「ひょっとしてぇ、もしかするのははるくんの方なんじゃないの~?」

「ゆりちゃん、それってどういう……?」

 

また東雲が阿呆なことを言い出した。

ガシッと頭を鷲掴み、力を込める。

 

「あいだだだだだっ!? 割れる! 割れちゃうよ、はるくん!」

「割るんだよ」

「ちょっと!?」

「……フフ、仲良いですね」

 

恐らく小森は俺と東雲の様子を見て笑っているのだろう。

俺には分からないが。

 

「ちょっ!? 笑ってないで助けてよトーコちゃぁぁぁあんッ!」

「割れても良いってことだろ」

「ち、違うよゆりちゃん!?」

「いいから助けて!」

 

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