魔法少女リリカルなのは~ウルトラミライ~   作:Gファン

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はじめまして、Gファンと申します。
初の小説投稿で更に文字数が万を超えるとは・・・・・・お見苦しいかと思いますが、読んでいただいてアドバイスや感想等を頂ければ嬉しく思います。
主人公等は元キャラを基準にしていますがなのは世界の存在で完全に別人なので一応『オリ主』『オリキャラ』として扱うようにしています。

世界観を融合した(?)独自設定の影響でなのはキャラの中にも原作より幸せだったり悲惨な目にあっているキャラもいますのでご注意ください。

後書きをとある理由で埋めてしまっている為先に言っておきます・・・。
Gファンは英語等の外国語が苦手です。なのでデバイスの音声が現在全て英語等の綴りになっていません。
そこは英語やドイツ語とかにしようぜ!という方はすみません、今後そうした方が良いという意見が来ない限りはこのスタイルで行くと思われます。本当にすみません。



第1話~運命のはじまり~

無限にも思える広い次元空間、その空間を航行する一隻の次元艦があった。

その船の名は『アランダス』。とある世界で発掘されたロストロギア『ジュエルシード』を輸送する依頼を受け、こうして次元の海を渡っていた。

 

「今回は依頼を受けてくれて本当にありがとうございます。」

 

「いやいや、こうして仕事をくれる事はこちらとしてもありがたいかぎりだよ。こっちこそご依頼ありがとうございます。ってな?」

 

アランダスの船長に対して丁寧に礼を述べる少年がいた。

彼の名は『ユーノ・スクライア』遺跡や古代文明の探索・発掘を生業にする一族『スクライア』の出身であり、ジュエルシードを発掘、今回の輸送を依頼した張本人である。

そんな彼の言葉を船長は冗談めかした態度で受け流し豪快に笑い飛ばす。

その言葉通り仕事だから進んでやっているのではあるが、それでもこうして感謝の言葉をもらう事は悪くない。今回の仕事はより一層気合が入りそうだと船長は嬉しく思った。

 

「でもお前さんも真面目というか何というか・・・態々付いて来なくても良かったんだぜ?まぁ俺達の仕事ぶりが心配だというのなら話は別だけどよ。」

 

「い、いえ、皆さんはキチンと運んでくれるとは思ってますよ!でもその・・・責任者として最後まで自分で管理しなければダメだと思うので・・・・・・」

 

この少年は人一倍責任感が強いようだ。

だがロストロギアの危険性を理解し、ここまで真面目で誠実だからこそ10にも満たない年齢で発掘作業の責任者を任されたのだろう。

 

「そうかそうか。ま、ミッドチルダに着くまではのんびりしろや。お前さんとその荷物は俺達が責任を持ってちゃんと送り届けてやるからよ。」

 

そう言ってユーノに部屋で休んでくるように言おうとしたその時

 

 ゴオオォォンッ!!

 

轟音と共に衝撃が船体を揺らした。

 

「なっ・・・!?」

 

「どうした!?何があった!!?」

 

その衝撃にユーノは固まってしまうが船長はすぐに何が起こったのかを部下に確認した。

 

「貨物室で爆発が発生!現在休憩していた乗組員が急行中!!・・・あぁ!?つ、積荷が落ちちまってる!!」

 

報告はとてつもなく不味い内容だった。

 

「貨物室で・・・あっ!ジュエルシードは!?ジュエルシードは無事なんですか!?」

 

その報告を聞いて声を上げたのはユーノだ。そこには自分が発掘し今回運ぶ事を依頼したジュエルシードが保管されている筈なのだ。爆発に巻き込まれたり船から落ちてしまっていたら・・・・・・

 

「・・・わりぃ坊主。預かり物は全部落っこちまったみたいだ・・・。」

 

「っ!?」

 

「あ、おい待て!?」

 

その返事を聞いてからのユーノの行動は早かった。

全て落ちてしまったという事はどうやら爆発には巻き込まれなかったらしい。爆発に巻き込まれ、魔力の暴走でも起きてしまっていたら最悪次元断層が発生してしまっていたかもしれない。それが避けられただけでも幸運だ。

それでも落ちてしまった先の世界で暴走してしまったっては元も子もない。

落ちた座標を特定しその場所へすぐに転移を開始する。落ちた先が人が生きていける環境かどうかも分からない状態のままユーノはジュエルシードを追って光と共に姿を消してしまった。

 

「・・・全く・・・案外落ち着きのない奴だなぁ。おい、何処に落ちたのか特定は出来てるか?」

 

「はい、落ちた先の世界は特定出来てます。・・・ですが該当するデータがないので恐らく管理外世界に落下したものと思われます。」

 

ユーノを止めようとして出した手を引っ込めながら部下に必要な事を聞き、その報告に多少驚きながらも船長は次の行動を思案する。・・・だが、自分達が次に何をするべきかはもうすでに彼の頭の中に浮かんでいた。

 

「おし、野郎共!俺達は何だ!?」

 

「「「運び屋です!」」」

 

「俺達の信条は何だ!!?」

 

「「「依頼された荷物を運びきる事です!!」」」

 

「落ちちまった荷物の捜索を子供一人に任せられるか!!!?」

 

「「「無理です!!!」」」

 

「じゃぁとっとと応急処置をして俺達も捜索に行くぞー!!」

 

「「「おぉーーっ!!」」」

 

まずは爆発の原因調査と船の応急処置。自分と同じくユーノの事を気に入ったからか部下達の熱意も高い。これならばそう時間をかけずに捜索に参加出来るだろう。

 

(貨物室、現在どうなってるのか状況を教えてくれ)

  

応急処置を手早く終わらせる為に先に貨物室に向かった筈の乗組員に念話をとばす。

だが、何時まで経っても返事が返ってこない。

 

「・・・何だ、まだ何か起こってるのか?仕方ない、おい何人か修理用の資材を取って来い。通信士、お前は『時空管理局』に事故があった事の報告と念の為の救援を要請。残りの連中は俺と一緒に先に貨物室の様子を確認だ。」

 

多少なり不吉な予感が頭に過ぎったが行動しなければ始まらない。

船長は部下に指示を飛ばすと急いで貨物室へと向かうのであった。

 

ーーーーーーーーーー

 

到着した貨物室の室内はある種異様な光景だった。

爆発によって生じた穴があるぐらいで他に何も無いのだ。

そう、『積荷』も『乗組員』も存在しないのだ。

積荷は穴から落ちたとしよう。だが乗組員達は?彼らも運びのプロだ。この程度で全員が穴から落ちていってしまうようなマヌケではない。だからこそ異様なのだ。

いや、訂正しよう・・・その場に存在する者が居た。

紫の髪に少々際どい服装の妖艶な女性が一人立っているのだ。

自分達を見て舌なめずりをしているがそれが妖艶さに磨きをかけているように見えて美女っていうのは何をしても得なんだな。と場違いな考えが過ぎる。

 

「おい、あんたここで何をしている?」

 

そして船長の質問はある意味当然であった。

 

「イ」

 

消えた乗組員、その代わりの様に立っている美女。

 

「タ」

 

出発前に調べた積荷には爆発物など無い事は記憶している。つまり先ほどの爆発は外部からの攻撃の可能性もあるのだ。

 

「ダ」

 

この美女が乗組員である筈もなく、かと言ってユーノのような客人でもない。つまりは完全に侵入者なのだ。

 

「キ」

 

幸い一緒に連てきた部下は戦闘に関しては選りすぐりの人材ばかりだ。この美女が犯罪者だとしても取り押さえれる自信がある。

 

「マ」

 

「野郎共、このご婦人をとりおさえr」

 

「ス」

 

部下達に指示を飛ばそうとした瞬間、自身に何が起こったのか気づかぬまま船長の意識は永遠に途絶えてしまった・・・・・・。

 

だが、その後アランダスで起こった惨劇を思えば彼はまだ幸運だったのかもしれない。船内は阿鼻叫喚の地獄と化し乗組員達は全て消え去ってしまったのだ。

残されたアランダスのモニターには転移予定だった世界の座標が虚しく表示されたまま・・・・・・・・・。

 

そしてジュエルシードは『地球』の『海鳴市』へ流れ星となって降り注ぐのであった・・・。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

第1話~運命の始まり~

 

僕の名は『日々野ミライ』。私立聖祥大附属小学校に通う普通の子とはちょっとだけ違う9歳です。

その日は珍しく流れ星が多く見られた。元々星空を見上げるのが好きな僕は訓練が終わった後に何気なく見上げた空に流れる流星に感動し時間を忘れてずっと夜空を眺めていた。

 

(誰か・・・・・・)

 

しばらく星を眺めていたら、頭に直接声が聞こえてきた気がした。

誰か近くの人が声をかけたのを勘違いしたのかと辺りを見回してみたけど誰もいない。

 

(僕の声を聞いて。)

 

再び声が聞こえた・・・間違いない、これは念話だ。

 

(力を貸して・・・。魔法の・・・・・・力を・・・・・・・・・。)

 

声の主は最後の力を振り絞って念話をしていたのか最後は途切れ途切れになった上にそれ以降聞こえなくなってしまった・・・。

 

この声を聞いて僕は何をするべきか・・・・・・そんなの悩むまでもないよね。

僕は急いで家へと駆け込んだ。

 

「大隊長!お話があります!!」

 

家に入ってすぐ目に入った逞しい大人の男性に声をかけすぐに本題に入ろうとしたけど・・・

 

「ミライ、その呼び方はやめなさい・・・。」

 

「あ・・・ごめんなさい、ケンおじさん。」

 

つい憧れている兄さん達と同じ様に呼んでしまった事をやんわりと注意されてしまった。

 

この男性は『東ケンさん』僕達子供からは『ケンおじさん』と呼ばれ、兄さん達からは『大隊長』と呼ばれる頼れる大人だ。

 

「まぁ兄弟達と一緒にいれば仕方のない事か・・・それで話とは何かな?」

 

「ケンおじさん・・・僕、聞いたんです。助けを呼ぶ声を。」

 

「・・・・・・」

 

僕が念話を聞いた事を告げるとその顔付きは真剣なものに変わった。

 

「・・・その念話は私達もしかと聞いている。君はまだ子供だ。かの声の主を助けるのは私達に任せてくれないか?」

 

ケンおじさんは僕が何を言いたいのかを理解した上で任せてほしいと言ってくれている。・・・でも

 

「僕は今まで兄さん達に憧れて・・・いつか兄さん達みたいな立派な戦士になって人々を助けたいと思って訓練に励んできました。」

 

「・・・・・・」

 

ケンおじさんは黙って僕の話を聞いてくれてる。だから今僕が抱いている想いをキチンと伝える。

 

「まだ訓練を受けいる未熟な身ではありますけど・・・・・・それでも、僕は聞いてしまった。今、助けを呼ぶ声を!」

 

自分が未熟なのは十分承知している。でもどうしても僕は放っておけない。

 

「聞いてしまったのなら僕は行動したい!未熟な事を理由にこの声に応えなかったらそもそも訓練してきた意味がなくなります!お願いです、ケンおじさん・・・・・・僕に・・・僕に行かせてください!!」

 

僕の決意、『今を救いたい』という想いそれを言葉に乗せケンおじさんに伝える。

ケンおじさんは僕を試すかの様にじっと目を見据えてる。

決して目を逸らさずにしばらくそのままでいると不意にケンおじさんが口を開いた。

 

「その決意は・・・変わらないか?」

 

「はい。」

 

聞かれた内容に即座に答えるとケンおじさんは諦めたかの様にため息を吐いた。

 

「ミライ、君は確か・・・右利きだったね?」

 

「え?あ、はい。」

 

「では、左腕を出しなさい。」

 

急に利き腕の事を聞かれ戸惑いつつも答えると今度は利き腕とは逆の腕を出しなさいと言われた。

訳が分からないまま言われた通りにすると左腕に何かを取り付けられた。

 

「これは・・・?」

 

左腕に付けられたのは中心部に赤い球体状のクリスタルと真っ黒に塗りつぶされた様な空間が広がり赤と金の装飾で飾られた少々大きめのブレスレットだった。

 

「それは『メビウスブレス』。君とこれからの苦楽を共にする君だけの『ウルトラデバイス』だ。」

 

「!?」

 

ウルトラデバイス・・・それはケンおじさんが大隊長を務める『次元警備隊』として活動する為に使用する神秘のデバイス。

そのほとんどがロストロギアと同じく発掘によってのみ極稀に発見され更に新しく製造する事も不可能だと言われる希少な物だ。

これを授けてくれるという事は・・・!?

 

「君のその決意、確かに受け取った。これより君は次元警備隊の一員だ。この一件・・・確かに任せたよ。」

 

「は・・・はい!」

 

ケンおじさんに認められた・・・僕は憧れの兄さん達と同じ次元警備隊員になり、今回の事を任されたんだ。そうと決まれば早速調査に向かって・・・・・・

 

「ミライ、張り切るのは良い事ですが・・・今何時だと思っていますか?」

 

「あ、マリーおばさん・・・」

 

調査に向かおうとする僕を引き止めたのは『東マリー』さん。『マリーおばさん』と呼ばれてるけど実際はお姉さんでも通用しそうなくらい若く見える綺麗な人だ。

母性溢れる女性でケンおじさんが父親を体現しているのであればマリーおばさんは正しく母親を体現している。

 

「ま、マリー。この子の気概をいきなり削ぐのはやめなさい・・・せっかくお互いにカッコ良く・・・・・・」

 

「この子のやる気は私にも伝わってます。それを応援したくもありますが・・・それとこれとは話は別です。『頑張って早く兄さん達に追いつきたいんです!』というミライの熱意に免じて0時に寝るという約束でこんな遅くまで訓練をしているのを許可してましたが・・・もう一度聞きます。今は何時ですか?」

 

マリーおばさんに言われて時間を確認するともう0時を過ぎて30分近く経とうとしていた。どうやら気づかないうちに約束の時間を大幅に過ぎてしまっていたらしい。

マリーおばさんは看護士でもある為ある程度は僕達の事を優先して容認してくれるがそれでも健康には人一倍気を使ってくれてるのだ。

 

「ご、ごめんなさい・・・。」

 

「分かってくれれば良いのです。さぁ、今日の所は私達大人に任せて・・・貴方はもう寝なさい。明日も学校があるでしょう?」

 

「はい・・・分かりました・・・・・・。」

 

「その代わりという訳ではありませんが・・・明日からしばらくは学校から帰っても家の事はケンさんに任せて

貴方は調査に専念してくれて構いませんよ。」

 

「ちょっ・・・!?」

 

確かにマリーおばさんの言う通り僕にとって学校も大事だ。あまり遅くなり過ぎると授業をまともに受けれなくなるかもしれない。そして明日からは調査に専念してもいいと言ってくれた。だったら今は素直に従って眠ろう。

 

「ありがとうございます!マリーおばさん、ケンおじさん!!それじゃあおやすみなさい!」

 

「あ、あぁ・・・おやすみ・・・。」

 

「ふふっ、おやすみなさい。」

 

ーーーーーーーーーー

 

「マリー・・・最後の家事についてはさすがに酷くないか?私だって暇という訳ではないのだが・・・」

 

「あら、あの子の初めての任務なのでしょう?それぐらいしてくれたって罰は当たらないと思いますよ。」

 

文句を言ってみるがあっさりとスルーされてしまった・・・どうにもマリーには頭の上がらないケンである。

 

「まぁそれは置いておいて・・・聞いていたのだろう、コウタロウ?」

 

そうケンが奥に話しかけると一人の青年が顔を出した。

『東コウタロウ』。ケンとマリーの実の息子にしてミライに訓練を施した、所謂『先生』である。

 

「父さん・・・ミライにはまだ早いんじゃないでしょうか?確かに基礎的な事は十分にやれるようになりました。それでもあの子はまだ若い。もしもの事があったら・・・」

 

「コウタロウ・・・お前の気持ちも分かっているつもりだ。だが、私にはこれは運命の様に感じられるのだ。」

 

「運命・・・?」

 

「兄弟達が他の世界に出向いている時に・・・そしてあの子が基礎訓練を終えた時に起きた事件・・・。そして改めて気づかされたあの子の意思の強さ。きっと、ミライにとっての運命の時が訪れたのだと・・・・・・私はそう思う。」

 

「ケン・・・。」

 

近頃様々な次元で事件が頻発し、警備隊の人員はほぼ全員出て行ってしまっている。時空管理局からは管理外世界として扱われているこの世界で魔法関連の事件が発生したのならミライの手も必要になるかもしれないとはマリーもコウタロウも薄々感じていたのだ。だが、それ以上の運命的な何かをケンは感じ取ったらしい。

 

2人は今まで警備隊を率いてきたケンの直感を信じる事にした。

 

「分かったよ父さん・・・。でも私達もやらねばならない事があるのだろう?」

 

「あぁ。本来魔法の存在しないこの世界で念話を介する存在が現れたという事は漂流者か・・・またはここに近い別世界で事件が起こったのかもしれん。コウタロウ、お前には周辺の次元、世界の調査を頼む。」

 

「う・・・分かっていたとは言え・・・範囲が広大だなぁ・・・」

 

「今頼れるのは貴方だけなのです。お願いしますね、コウタロウ。」

 

「はい!任せてください母さん!!」

 

父に頼まれた調査範囲にゲンナリしていたコウタロウだが、母の一言で一気にやる気は頂点に達したようだ。

それを見てケンは「ゲンキンな奴・・・」と思わなくはないが実際逆の立場なら自分も似た様な感じになるだろうと思い至り口には出さないでおく。

 

「では私はこれから一通り町を見回ってこよう。では、いってきます。」

 

「「いってらっしゃい。」」

 

愛する妻子に見送られケンは事前調査も兼ねて町へと出向くのであった。

 

 

余談だがこの日ケンは何も発見する事は出来なかった。念話の主の反応がすぐに途絶えてしまったのに加え彼の隠しきれないあまりにも強大な力を前に様々な要因が息を潜める結果になったからだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

『高町なのは』はとても不思議な夢を見た。

黒い怪物とそれに立ち向かう少年。怪物が少年に襲い掛かるも少年が手をかざすと何もない空間に突如光る壁が現れる。その様子をなのはは魔法の様だと思った。

幾度かの攻防の末怪物は逃げ去り、少年は倒れてしまいそして光に包まれて消えてしまった。

その直後助けを求める声が聞こえてきた所でこの夢は終わってしまった。

 

何とも現実味のない夢だったが不思議と記憶に残っているのである。

それを自覚したのは友達と一緒に通っている近道にふと見覚えがあったと感じたからだ。

 

「あれ・・・?この道・・・・・・」

 

「どうしたのよ?なのは。」

 

そんな自分の様子に目聡く気づいたのは友達の一人『アリサ・バニングス』だ。

勝ち気で行動力がありリーダーシップも取っている彼女はそれでいていつも友達である自分達の事を気にかけてくれる優しい子。本人に言ったら照れ隠しに叩かれそうなので口には出せないけど・・・。

 

「あれ?ねぇ2人とも・・・あそこに何かいない?」

 

そんなアリサちゃんにどう言おうか考えてるうちにもう一人の友達であるすずかちゃんが声を上げた。

 

『月村すずか』自分の兄である『高町恭也』の恋人である『月村忍さん』の妹であり自分達の中では一番おとなしい子だ。でもその運動神経は3人の中ではダントツでトップだったりする、羨ましい。

 

そんなすずかちゃんに言われた方を見ると確かに何か白いモノがある様だ。

 

「確かに何かいるわね・・・何だろう?」

 

そう言ってアリサちゃんがどんどん近づいていっている。・・・大丈夫なのかな?ちょっと細長く見えるから蛇とかだったらどうするの・・・?

 

「ちょっ・・・!?ちょっと2人ともこっちに来て!!」

 

そんな心配をしているとアリサちゃんが慌てた様に呼んできた。

何事かとすずかちゃんと目を合わせた後駆け寄ってみるとその白いモノの正体が見えた。

 

「これって・・・フェレット?」

 

「分かんない・・・でもこの子怪我してるみたいだね。」

 

動物の種類については詳しくはないから自信はないけど・・・それはフェレットのようだった。

所々に怪我を負っており首には赤い宝石みたいなのをぶら下げている。ペットが何処かから逃げ出したのだろうか?

でもその宝石にもちょっと見覚えがある気がしたが・・・何処で見たのだろうか?

 

「綺麗な宝石を着けてるから飼い主がいるだろうけど・・・このまま放っておく訳にもいかないわよね。」

 

アリサちゃんのその一声によってこのフェレットをとりあえずは動物病院に連れて行く事になった。

アリサちゃんとすずかちゃんはそれぞれ犬と猫を飼っているのでお医者さんとも顔見知りだったらしくそのおかげか早朝にも関わらず快くフェレットを預かる事を引き受けてくれた。

 

その後、このままだと遅刻しそうになると学校に全力疾走で向かう事になるのである。

 

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「それにしても・・・今朝のバニングス達の全力疾走は凄まじかったよな。特にバニングスの顔なんて何て言うかこう・・・正に鬼気迫るって感じでよ。」

 

「分かるぜアミーゴ。だが俺としては月村の足の速さに驚きだ。アレならドリブルとかを覚えればすぐにでも女子サッカーでレギュラーを取れるぜ。」

 

「いやぁ・・・お2人とも本人達に聞かれたら不味くないですかね?それ・・・。」

 

「本当の事なんだからしょうがねぇだろう。お前もそう思うよな?ミライ。」

 

昼食の時間になって友達の『リュウさん』『ジョージ君』『テッペイ君』と一緒に食べていると今朝のなのはちゃん達の事が話題になった。

 

確かに2人の言う通りアリサちゃんの表情は凄かったしすずかちゃんの速さにも驚いた。それとなのはちゃんが死にそうなぐらい息を切らしていたのも印象に残ってる。

そんな事を考えている内にリュウさんの頭を挟む様に両手を握っている人物が目に入った。

 

「鬼気迫る顔で悪かった・わ・ね・え?」

 

「ぎゃーーーーいてぇいてぇ!!グリグリはやめろってマジでいてぇぇって!!」

 

アリサちゃんのグリグリ攻撃がリュウさんに炸裂したのだった。

僕も何度か受けた事があるけどあれは本当に痛い・・・どれだけ鍛えようとあの痛みだけは勘弁してほしいと思う。

 

アリサちゃんがタイミング良く現れたのはある意味当然ではある。単純に昼食を食べているグループが隣通しだったからだ。

なのでこうなる事が分かってこの話題を振ったリュウさんの自業自得ではあるのだろう。

 

「まぁアリサちゃん達の表情は置いておいて、僕としては何であんな全力疾走する事になったのかが気になります。」

 

「あ、確かにそうだね。普段は早めに登校してるのに何でまた?」

 

未だに悲鳴を上げているリュウさんを他所に僕が挙げた疑問にテッペイ君も同調し残っている女の子2人に質問する。

 

「実はね、今朝怪我してるフェレットを見つけたの。」

 

「フェレット?」

 

「うん、それで放っておく訳にもいかないから私とアリサちゃんがお世話になってる動物病院に連れて行ってあげたの。」

 

なるほど、確かに怪我をしている動物がいたらこの3人なら放っておく事なんて出来ないだろう。やっぱり優しい子達だ。

 

「優しさに満ち溢れてるね。そんな君の優しさに乾杯したいんだけど、どうかな?」

 

「え、あの・・・その・・・・・・」

 

そう言ってジョージ君が月村さんに水筒を持って近づいて行く。前にジョージ君に聞いたけど大人になったらあの水筒をワインに変えると更にカッコ良くなるらしい。

隣でテッペイ君が「うわっ・・・相変わらずキザだなぁ・・・。」と口にしているがそれに対してジョージ君が言葉を返すよりも先に動いている人がいた。

 

「ちょっとジョージ!すずかが困るからやめなさいって何度も言ってるでしょ!!」

 

「いだだだだだっ!!」

 

リュウさんを沈めたアリサちゃんのグリグリ攻撃が今度はジョージ君を襲ったのだ。

エンジンが掛かったのか先程よりも回転数が早くジョージ君もあっという間にリュウさんの隣へと沈められてしまった。

 

「全く・・・あ、そうそう今日放課後にその子の様子を見に行くんだけどあんた達も来る?」

 

「あ~・・・ごめんなさい、今日は習い事が・・・。」

 

アリサちゃんがフェレットのお見舞いに誘ってくれたけどテッペイ君はどうやら習い事が入っているらしく申し訳なさそうに断った。

僕自身はどうするべきか・・・早く帰って調査を開始するべきだろうけど・・・かと言って話す訳にいかない魔法関連の出来事で友達のお誘いを断るのも気が引ける・・・。

 

「ミライ君、何か用事があるのなら無理しなくてもいいよ?」

 

「うん、その子の怪我が治って飼い主さんが見つかるまで私達で何度でもお見舞いにも行くつもりだし。」

 

悩んでいるのが顔に出てしまっていたのかなのはちゃんとすずかちゃんが助け舟を出してくれた。

話さない事にちょっと罪悪感を感じながら2人の言葉に甘える事にした。

 

「ありがとう。ごめんね、僕も用事があるから行けそうにないよ。」

 

「そっか・・・まぁ用事があるのなら仕方ないわね。」

 

アリサちゃんも無理強いする事無くこの話は流れていく事になった。

 

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放課後、早速今朝見つけたフェレットのお見舞いに行きました。

怪我の治療は終わったけどとても疲れていたのか未だに目を覚まさないそうなので治療費は私達3人で出す事を先生に伝え今日の所は帰る事になりました。

 

本当はミライ君達も来てくれたら嬉しかったけど・・・皆それぞれの夢の為に頑張ってるから仕方ないよね。

リュウ君は警察官、ジョージ君はサッカー選手でテッペイ君はお医者さん。そしてミライ君はお兄さん達のお手伝いをするって皆夢を持ってる。

 

「ねぇ、アリサちゃんすずかちゃん。2人って将来何になるのかって考えてたりする?」

 

「何よ、やぶからぼうに?」

 

「もしかしてミライ君達がいつも言ってるの?」

 

「うん、皆キチンと自分の将来を見据えてて凄いな~って。」

 

「それで私にも聞いてみたって訳ね・・・・・・私は・・・そうね多分、パパの会社を継ぐんじゃないかしら?」

 

「私は工学系の学校に進学したいから・・・多分将来はそういった所に勤めてると思う。」

 

「そういうあんたは翠屋を継ぐんじゃないの?」

 

私の質問にスラスラと答えた後アリサちゃんが逆に聞いてくる。

 

「う~ん・・・確かにそれも考えたんだけど・・・何かしっくりこないというか・・・・・・。」

 

「そうなんだ・・・でも、そんなに慌てる必要もないんじゃないかな・・・?」

 

「そうよ。私達だってなんとなくだし・・・あいつらもきっとそんなもんよ。」

 

要領を得ない返事の私を気遣ってか2人は慌てるなと言ってくれる。

確かにまだ小学校3年生で具体的に考える必要はないのかもしれないけど・・・それでも周りがコレ!って決めてる中で1人迷っていると置いてけぼりをされたような感覚だ・・・。

 

「それよりもあのフェレットよ。先生には飼い主が見つからなかった時の事も考えていてねって言われたし・・・」

 

「これって・・・遠まわしに私達に飼い主にならないか?って事だよね・・・?」

 

そう言って2人とも難しそうな顔をする。

それぞれ犬と猫を飼っている(特にすずかちゃんのお家は猫屋敷状態)から恐らくフェレットとの相性を考えているのだろう。

私もそれは正直困っている。実家が喫茶店をやっているから動物を飼う事には反対されると思う。

 

「ん~・・・あ、『コノミちゃん』に頼むのははどうかな?」

 

クラス一の動物好きなコノミちゃんを候補に挙げてみた。彼女ならフェレットだろうと快く引き取ってくれると思うの。

 

「この間また新しく拾ってきて両親に怒られたって言ってたと思うけど?」

 

・・・アリサちゃんに言われて思い出した。確かもう既にコノミちゃんの家はある種の動物園の様な状態なのだ。

一匹ぐらい増えても・・・と思うけどやっぱりそれぞれ世話の仕方が違って大変らしい。

 

「じゃぁ『マリナちゃん』は?」

 

すずかちゃんが次に候補に挙げたのはマリナちゃんだ。でも彼女は彼女で・・・・・・

 

「あ~・・・まずフェレットが大丈夫かどうかが問題だし、それに結構大雑把な所もあるから最後まで面倒見れるかも分からないからダメね・・・。同じ理由でリュウとジョージも却下だわ。」

 

そう、マリナちゃんは一部の動物がかなり苦手なのだ。フェレットぐらい大丈夫に思うけど犬でもダメだったからやはり心配ではある。

男子2名は論議するまでもなく却下されてしまった。

 

「じゃぁテッペイ君に頼む?色んな事知ってるし真面目だから世話もしっかりしてくれると思うよ。」

 

「・・・・・・テッペイこそ完全にダメでしょう・・・。あのママさんがばい菌が移るとか言って絶対拒否するわよ。」

 

確かにあのママさんが相手だと説得する事すら不可能に思えてくる・・・。結構適任かと思ったのに残念。

となると・・・・・・

 

「じゃぁ・・・ミライ君に頼んでみる?」

 

残ったのはミライ君になる。

あそこは兄弟の多い大家族だからお世話してくれる人が多そうだけど、マリーおばさんは看護士を勤めているからテッペイ君や私の家と同じ様に難しそうだけど・・・

 

「マリーおば様ならきっと引き受けてくれるんじゃないかしら?」

 

「そうだね・・・でも最近お兄さん達が忙しそうだってミライ君が言ってたから話を切り出すとしてもちょっと落ち着いてからの方がいいかも?」

 

そう、あの優しそうなマリーおばさんならフェレットを飼う事ぐらい簡単に許してくれそうにも思えるの。

 

「でも、一応私もお母さん達に相談してみるね。もしかしたら飼うのを許してくれるかもしれないし。」

 

「そうね。とりあえずミライに頼むのは保留にしましょう。」

 

「うん、何とかなりそうだね。」

 

そうこうしている内に分かれ道になったので今日の所はこれで解散となった。

 

 

夕食時に相談した結果、私がキチンと世話をするという条件付きで飼う事をあっさりと許されるのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

(助けて・・・・・・)

 

夕食を終え部屋で休んでいたら声が聞こえてきた。

この声・・・何処かで聞いたような・・・・・・?

 

(誰か・・・助けて・・・!?)

 

より強く助けを求められてやっと思い出した・・・この声は夢で聞いた声だ!

助けに行かないと・・・でも、一体何処に居るの?

必死に考える私の脳裏に夢の場所と今朝フェレットを助けた場所が重なる。

あの夢が現実に起こった事なら・・・もしかしたら!?

他に手掛かりが無い以上自分のこの直感を信じるしかない・・・そう決意した私は家を抜け出してフェレットを預けた動物病院へと駆け出すのだった。

 

ーーーーーーーーーー

 

動物病院に駆け付けた私が見た物は外壁を破壊された病院、それを守る様に立っている(?)フェレット。そして・・・夢で見た怪物だった。

何でこんな所で・・・と思ったけどその理由はすぐに分かった。

怪物が病院を攻撃し、フェレットが光の壁を作り出してそれを防いでいるのだ。

 

自分の攻撃を防がれ続けて苛立ったのか怪物の攻めが更に過激になってゆく、フェレットが作っている光の壁も何とかもっているが所々ひび割れの様に見える箇所がちらほら見て取れた。

怪物が一際大きな雄叫びを上げたかと思うとその動きが止まった。

 

その瞬間、私は怪物と目が合った。そう、怪物は私の存在に気づいたと悟った。

 

猛攻が止んで不思議に思ったのかフェレットもこちらを向き私を見て驚愕の表情を浮かべた。

フェレットなのに表情豊かだね。と場違いな事を考えているとフェレットを中心として周囲の空気が変わった気がした。

具体的にいうと周囲に私達以外の気配が消えた様に感じたのだ。

それを感じた瞬間には怪物は私に飛びかかってきており私は横に思いっきり飛ぶ形で間一髪の回避に成功した。

 

ビタンッ!!

 

運動神経の悪い自分がビックリするぐらい奇跡的な回避に成功したが代償に顔を思いっきり地面に打ち付ける結果となってしまう。

うぅ・・・すっごく痛い。

痛みに顔を覆っているととフェレットがさっきよりも更にビックリした様子でこっちに駆け寄って来るのが指の間から見えた。

 

「き、君は・・・?」

 

「貴方が私を呼んだの?」

 

お互いに疑問を口に出した時、後ろで怪物が唸り声を上げた。

振り返ってみると怪物が真っ直ぐ私を見ている。その目は正に獲物を狙う獣の様で私は恐怖で固まりそうになってしまう。

 

「と、とにかくあっちに!」

 

固まってしまった私を見てフェレットが慌てて先導してくれる。

私は言われるがままに怪物から少しでも離れる為にまた走り出した。

 

「あ、あれは何!?どうして襲ってくるの!?っていうか貴方喋れるの!?一体何なの!?」

 

走りながら頭に次々と浮かんでくる疑問を一緒に走っているフェレットにぶつける。

 

「ハァ・・・ハァ・・・そ、それは後で説明します。お礼もちゃんとします。だから・・・今は力を貸してください。」

 

息を切らしながら喋っているフェレットを見て思い出した。この子は怪我をしてたんだった・・・。

そんな状態であんな怪物と戦っていたのかと思うと疑問よりも心配する気持ちの方が浮き上がってきた。

私は「ごめんね。」と一言断りを入れてからフェレットを抱き上げそのまま走り続ける。

 

助けたいと思ったから来たんだ・・・だったら質問とかは後。今は・・・

 

「どうすればいいの?」

 

「え?」

 

「貴方を助けるにはどうすればいいの!?」

 

どう力を貸せばいいのかフェレットに尋ねるとフェレットはその小さな手で首にかけてあった赤い宝石を掴み私に差し出した。

 

「これは・・・?」

 

「これを使えば君は力を使う事が出来る。魔法の・・・力を・・・。」

 

魔法の力・・・?

 

「あいつを振り切った今の内に・・・目を閉じて、心を落ち着かせて僕の言葉を繰り返してください。」

 

「う、うん。」

 

がむしゃらにひたすら走り続けたおかげか何時の間にか怪物を撒いていたらしく私は一旦足を止める。それを見計らってフェレットが言葉をかけてきた。

そしてフェレットから宝石を受け取った私は言われるがままに目を閉じ、心を澄ませる・・・。

 

「我、使命を受けし者なり」

 

「わ、我・・・使命を受けし者なり」

 

「契約の元、その力を解き放て」

 

「・・・契約の元、その力を解き放て」

 

言われた通り言葉を繰り返す・・・すると、自分の内に何かを感じる気がする・・・。

 

「風は空に、星は天に」

 

「風は空に、星は天に」

 

ただ繰り返すだけだった言葉が自然と口に出来るようになっていき・・・・・・

 

「そして、不屈の心は・・・」

 

「そして、不屈の心は・・・」

 

「「この胸に!」」

 

最後には声が完全に重なった。

 

「「この手に魔法を・・・レイジングハート!セーット、アップ!!」」

 

『スタンディバイ、レディ。セットアップ。』

 

その瞬間宝石から桃色の光が天に真っ直ぐと伸びていった。

 

「ふわわわわ!?な、何これ!?」

 

「凄い魔力だ・・・!?」

 

私が驚き戸惑っているとフェレットも驚きの声を上げていた・・・。

あの・・・どうすればいいのか説明してほしいんですけど・・・!

 

「落ち着いてイメージして、君の魔法の杖を・・・そして、君を守る強い衣服の姿を!」

 

「き、急に言われても・・・えっと・・・・・・」

 

杖についてもそうだけど・・・服・・・服・・・と、とりあえず学校の制服でいいかな・・・?

 

「と、とりあえずこれで!」

 

学校の制服を元にした衣服となんとなく浮かんだ魔法の杖をイメージする。

その瞬間、自分の身が光に包まれ、次の瞬間にはイメージした通りの姿で現れたのだった。

 

「成功だ・・・!」

 

フェレットが嬉しそうに声をあげる。

 

「え?え??ど、どうなっちゃってるの???」

 

自分が変身してしまった事に驚き衣服を引っ張ったり杖をコンコンっと叩いたりしてしまう。

だけど、そんな状態も長くは続かなかった。

 

突如地面が砕けるような音と衝撃が走り、音がした方を振り向くと着地から体勢を整えた怪物がそこに居た。

どうやら先ほどの光の柱を目印にここまで飛んできたらしい。

 

こっちが気づいたと同時に怪物が飛びかかってきた。

先ほどまで驚き戸惑っていて心の準備も何も出来てない状態の私はただそれを唖然と眺めるしか出来なかった。

 

『プロテクション』

 

その時杖から音声が聞こえ目の前に桃色の光の壁が現れ怪物の攻撃からなのはを守る。

咄嗟に対応出来なかった主の代わりに魔法の杖『レイジングハート』が防御魔法を発動してくれたのだ。

 

「ひっ!?」

 

怪物は障壁に弾き飛ばされたが同時になのはは悲鳴を上げてしまった。

 

それは類稀なる魔法の素質があったせいか、それとも多感な少女だからこそなのか、或いはその両方なのか。

理由はどうあれ障壁越しになのはは感じてしまった。怪物のただただ純粋で貪欲な意思を。

ー食べたいー

ただそれだけだった。

 

抵抗するフェレットを無視して病院を攻撃し続けていたのも病気や怪我で弱ってる動物が居たから。

 

周囲の気配が無くなった途端に自分に襲い掛かったのも大きめの獲物が現れたから。

 

こうやって追い続けてきたのもただただ自分を食べたかったから。

 

それを幼いながらに賢かったなのはは理解してしまった。そして純粋に恐怖してしまった。

捕食されるかもしれないという本能的な恐怖が心を侵食する。

自身が口にした『不屈の心』の意味をまだ理解しきれていない少女は目を閉じ、震える事しか出来なくなってしまう。

 

その様子を見たフェレットは後悔した。

自分が助けを求めたばかりにこの優しそうな少女が恐怖に震える事になってしまっている・・・・・・。

体勢を立て直し再び少女に飛びかかる怪物を見て、やはり誰にも頼らず自分だけで何とかするべきだったんだと思い無茶を承知で自身の変身魔法を解除しようとし・・・・・・

 

光が怪物を吹き飛ばした。

 

突如現れた光は怪物から2人を守るかのように間に入った位置に陣取る。

 

「メビウスの・・・輪・・・?」

 

「綺麗・・・・・・。」

 

光が纏っているかのように一際輝く光の軌跡を見たフェレットは思わずそう口にし

その暖かな光に心を蝕む恐怖を拭われたなのはは見惚れていた。

 

やがて光の輝きが収まるとそこには1人の少年が立っていた。

銀を基調とし所々に赤のラインが入り体にフィットし中央に窪みのあるシャツとズボン、短めのジャケット。手足にはそれぞれ赤いグローブとブーツを嵌め、左腕には赤と金で装飾された大きめのブレスレットを装着している。その髪も銀に赤のラインが入り特徴的に広がりをみせ、そして銀色の目とシャツの窪みに存在する青い宝石が輝きを放っていた。

 

「なのはちゃん、大丈夫?」

 

その人物が自分の名を呼びながらこちらに顔を向け安否を気遣ってくる。

その顔を見て誰だかすぐに分かったなのはは思わず問いかけてしまう

 

「ミライ・・・君・・・?」

 

「はい。」

 

自身の問いかけに日比ノミライはいつもの優しい笑顔を見せながら返事をしてくれた。

 

思ってもみなかった友達の登場になのはが何も言えずに唖然としているのを見て何所か怪我でもしてしまったのだろうかとミライが更に言葉を重ねようとしたが、それは怪物が上げる唸り声で中断する事となった。

 

自身の邪魔をされて怒っているような怪物に向かってミライは左拳で握り拳を作り自身の顔の横に辺りに移すと同時に相手に向かって残った右手を向ける構えを取った。

 

ミライが構えを取ったのを合図にしたのか怪物が今までで最大級の跳躍を見せ襲い掛かる。

 

「ハァッ!!」

 

それを見たミライは自身も飛び上がり前方回転を加えた飛び蹴りを叩き込んだ。

カウンター気味に叩き込まれた蹴りによって地面に激突させられた怪物は苦しそうにもがく。

 

「ハッハッハッ!ハァァダァァッ!!」

 

その怪物に対し、着地したミライは一足飛びで距離を詰め無数のパンチを浴びせつけ最後の一撃で更に大きく吹き飛ばした。

三度地面に叩き付けられた怪物は最初に襲い掛かった時に比べ動きが鈍りきっておりもはや満身創痍の状態であるのは明確であった。

 

それを見て取ったミライは左腕を立て、そこに存在するメビウスブレスのクリスタル部分に右手を添えそのまま両腕を広げる勢いでクリスタルを回転させエネルギーを解放させる。そのままゆっくりと頭上に掲げた両手の間には溢れるエネルギーがメビウス輪を思わせる光の軌跡を描く。

 

『メビューム・シュート』

 

「セヤァ!!」

 

ブレスから発せられた音声を合図にミライは掲げていた両手を浅くクロスさせ右手から光の濁流を放った。

光の濁流をその身に受けた怪物はしばらく苦しみに身体を悶えさせた後、断末魔の叫びを上げ爆発四散するのであった。

 

その様子をなのははただ見守る事しか出来なかった・・・。

 

これがミライとなのはの初陣であり。

そして2人の・・・それぞれの運命のはじまりであった・・・。

 

 




次回予告

「私、なのは。高町なのはです。」

「それって・・・ウルトラデバイス?」

「僕に手伝わせてください!」

「なのはに手を出したら・・・許さんぞ?」

「ありがとう、なのは。・・・でもこれ以上、君を怖い目に合わせたくないんだ。」

「メビウースッ!!」

「それでも私・・・ユーノ君を助けたいの!!」

次回、羽ばたく翼

「飛んで!なのは!!」
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