破壊する力、すれ違う想い
誰も入れないはずの、紅魔館地下牢。そこに幽閉されているフランの前に、八雲紫が現われていた。
『お嬢ちゃん?こんなところでなにしてるの?』
八雲紫は微笑みながら、フランに語り掛ける。だが、その笑みからは、きな臭いなにかが感じとれていた。フランは、そんなものを気にする性格ではなく、ただ、純粋に応えた
『えーとね、危ないからでちゃ駄目だって、お姉様が。だからフランはここにいるんだー。ねえ?おねぇちゃん、遊ぼう?』
『ふーん。危ない・・・ねぇ?貴女は、いつ出してもらえるの?』
『咲夜っていうメイドさんが、死んじゃったんだあ・・・でも、八雲紫ってのが生き返らせてくれるんだぁ。咲夜が生き返ったらフランもここから出て、皆と遊ぶんだぁ。』
・・・フフフッ。
『私は忙しいから、遊べないかわりに良いものをあげるわ』
そういうと紫はスキマを一つ開いた。
『あっ!?』
スキマには、咲夜が生き返っていて、皆が抱き合う光景が映っていた。
『咲夜!生き返ったんだ!?これでやっと美鈴とも、お姉様とも遊べる』
フランは喜び、部屋中を走り回っていた。長い年月、彼女はこの日の為に我慢してきたのだ。
『・・だと、いいわね。これはここに置いておくわ?残念だけど声は聞こえないけど、映像は貴女のお姉様に合わせているから、迎えに来る日まで見てるといいわ』
『ありがとう!おねぇちゃ・・・あれ?』
紫は、もうそこにはいなかった。
でも、これで自由になれる。その喜びと希望でフランは一杯だった。
・・・
・・・・
・・・しかし、何日、何十日、何ヶ月、待っても迎えは来なかった。
スキマの映像には、少しずつ魔力を蓄えるレミリア。なにかの実験をしているパチュリー。たまに集まる皆が映るだけだった。
(・・・なんで?)
(なんで来てくれないの?)
(なんでなの?)
・・・・・
・・・・・
それから、何ヵ月かたった頃
スキマが現れ、また紫が現れた。
・・・
紫は、フランを見て
『もうそろそろね・・』
と呟く。
フランは・・・壊れていた。
『嘘つき・・嘘つき・・・嘘つき・・・嘘つき・・・嘘つき・・・嘘つき・・嘘つき・・嘘つき・・・・!!』
『お姉様・・・あいつは、もう・・信じない・・・美鈴も・・咲夜も・・パチュリーも・・』
・・・・
『私は・・あいつを・・・殺す!!』
ギュッ!ドォーン!!
・・・ッ!?
フランは、レミリアの映るスキマを破壊した。
(・・スキマを破壊?この力は・・・やっぱり幻想卿にとって、仇なす力ね・・。私の勘に狂いはなかったようね・・。)
すかさず紫は、フランを新たなスキマの中に入れた。
・・・・
(目覚めたばかりでこの力、霊夢じゃ荷が重いわね・・・このままスキマの中に入れててもいいんだけど、完全覚醒したら異空間ごと壊され兼ねないわ・・・なんとかしないと)
熊のぬいぐるみを置いてフランに見える様、幻術をかけ、紫は消えた。
時は遡(サカノボ)り、紅魔館会議室
そこには、フランを除く紅魔館の面々が集まっていた。
レミリアは、咲夜の一件の後フランを牢から出す前に、予知の力でフランの全てを破壊する力の恐ろしさを見ていた。そして、一旦出すのを中止し、皆を集めた。
(このままでは、フランが灰になるか、私達どころか幻想卿自体が消滅するわ。・・私は・・)
苦渋の表情のレミリアを見て、パチュリーが進言した。
『・・レミィ。貴女、もう予知の力使うのはやめたほうがいいわ』
『え?』
『貴女は、考えすぎよ。そして、その力に振り回されすぎ。私はもう、その力で苦しむ貴方は見たくないわ。』
『・・でもッ!これがないと!?』
『貴方は、そんなに私達が信用出来ないのかしら?今まで、その力のおかげで助かったことは、たくさんあったわ。・・でも、最後には私達皆の力でその力以上のことが出来た。私はそう思ってるわ。だから、貴方は慌てないで、堂々としてて威厳を保ってちょうだい。問題は私達が必ずなんとかするから』
パチュリーは諭すように言った。
咲夜は笑顔で頷いてる。
美鈴は胸をドンと叩いた。
小悪魔は・・・目を逸らした・・
(でも、問題は太陽、それにあの力・・・)
(いえ。そうね。私は一人じゃない。・・皆を・・仲間を信じよう)
『・・わかったわ。パチェ、皆。お願い、力を貸して!』
パチュリーが笑いながら
『わかったわ。だけど、レミィ?そうじゃないわ。頼みじゃなく命令よ?貴女はもっとカリスマ溢れる存在じゃなくちゃ駄目なんだから』
『・・うーん。わかったわよ・・・。では、改めて・・』
レミリアは、コホンと咳払いをし
『最後の予知によると、フランの力、そして太陽の存在が私にとって邪魔な存在。お前達の案が聞きたい。即刻この問題を解決せよ。』
・・・・・
・・・・・
レミリアの顔が赤くなっていく
『フフフッ、50点て、ところね。まあ、少しずつでも貴女には紅魔館主としてのカリスマを養ってもらうわ』
(ぅー、恥ずかしい・・・)
『お嬢様、僭越ながら・・』
咲夜が話を切り出す
(ナイス咲夜。あのままの空気だと、私は死んでたわ)
『咲夜、言ってみて。』
『はい、実は私・・』
パチン
・・・ッ!
会議室が倍ほどに広くなった。
『この体のせいか、空間を操れるようになったようです』
パチン
会議室が元に戻る。
・・・・ッ!!?
『咲夜さん!凄い!』
美鈴が賛美している。
『この力を使い、なにかよい手がないかと』
咲夜が此方に投げ掛けた
(確かに凄い能力。時間操作に加え、空間操作。・・ホムンクルスか・・しかし、これは危うい。)
『咲夜。その力、なるべく人前では隠してちょうだい。特にホムンクルスで得たということは絶対に』
『・・??なぜですか?』
褒められると思っていたのか少し残念そうに咲夜が聞いた
『ホムンクルス、それ自体がタブーなのよ?これが外部に洩れたら、咲夜を巡るいらぬ争いの種になりかねないわ。更に、その力。・・その力に魅せられ、第二、第三のホムンクルスが作られたら、この世界の混乱を招く恐れもある。もう、ここにあった資料は破棄したけど、念には念をいれるものよ?だから外部の者には咲夜を人間だと思わせる必要がある。皆もそうしてちょうだい。』
・・・・・
『お嬢様・・心遣い、感謝します』
咲夜は感謝の気持ちで、ツーーッと涙を流し、下がった。
『お嬢様!』
次は美鈴が切り出した。
『なに?』
『妹様が死ぬ定めにあるのが太陽なら、いっそ太陽を無くせばいいんじゃないですか?』
(無くす?)
『美鈴!無くす方法があるの?』
『・・・いや、わからないです・・』
・・・・・
・・・・・
『美鈴、思い付きでいわな』『あるわ!』
パチュリーが叫んだ
(・・いくらパチュリーの魔法でもそんな)
『パチェ?言ってみて』
『正確には無くすではなく、隠す。ね。』
パチュリーは、そういうとカーテンを閉めた
・・・ッ!!
(太陽を隠すか・・・でもどうやって・・)
『レミィ?確か貴女、霧を操れたわね?』
・・・ッ!?
(霧!?確かに、膨大な魔力を使えば可能かも?)
『でもパチェ?それには物凄く膨大な魔力と時間が必要よ?』
『レミィ?私を誰だと思ってるの?その魔力の供給は私が研究で必ず編み出すわ』
(霧で太陽を覆うか・・それしかなさそうね。パチェが、あそこまでいうんだし、魔力供給は問題なさそうだ。あとは、フランのあの力をそれまで抑えれるか・・・)
『よし、それでやってみるわ。パチェ、供給研究は任したわ。後は、フランの力・・あれが暴発する恐れもあるから、咲夜が生き返ったことは伏せてて、このまま幽閉しておいて。恐らく、咲夜が生き返ったのに出れないということを知ったあの子は、裏切られたと思うわ。だから食事以外誰も近づかないで。フランは、私達がフランに対する危険を全て排除した後に幸せになってもらうわ。』
・・・・・・
・・・・美鈴が少し不満そうな顔をしていたが、私は続けた。
『当面の目標は太陽!私は常に全開で霧を出すわ!』
『パチェ!私への魔力供給!急ぎ研究を進めて!』
『咲夜!館全体の管理!及びフランの監視!時間を止めフランの食事等の世話!絶対に顔を見られないこと!』
『美鈴!貴女は霧を見た者が侵入するのを門外で阻止!完成までは誰一人絶対通さないで!』
『以上!』
『わかったわ』『かしこまりました』『はい・・』
美鈴だけは、余り乗り気じゃなかった。でも、早くフランに自由を与えたく、そこには触れなかった。
・・・・・・
・・・・・・
こあ・・・
『・・・私は?』
立ち尽くすこあ
計画に取り掛かって数ヶ月・・・・
皆の脳内に直接声が聞こえた。
『幻想卿の有力者達ー?聞こえますかー?』
(ッ・・・!?この声!?)
・・・・・
『・・八雲紫です・・』