Fate/in UK   作:ニコ・トスカーニ

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というわけでおよそ四か月ぶりのオマケコーナーです。
オマケが面白いというありがたい意見もいただいておりますので、過去3エピソードぶんまとめての補遺です。


オマケ 設定補遺・英国の風物

■SPR

 

 正式名称はThe Society for Psychical Research(心霊現象研究協会)。心霊主義を初めとする超自然現象を科学的に研究している団体。

 というのは文中に書きましたが、FGOユーザーならちょっと引っかかったのではないでしょうか?

 エレナ・ブラヴァツキーのマイルームセリフにでてくるあれです。

 以下、引用。

 

「ミスタ・ドイルは決して悪い人では無いんだけど、彼SPRの関係者だったのよね。ええもちろん、ミスタ・ホームズが悪い訳じゃ無いのは分かってるのよ?」(ホームズ所持時のセリフ)

 

「嫌いなもの? そんなんSPRに決まってるじゃない。時計塔の連中も絶対絡んでたと思うのよね」(嫌いなものを聞いたとき)

 

 一つ目のセリフですが、シャーロック・ホームズシリーズの作者だったコナン・ドイルはもともとSPR寄りの人でした。

 純論理で展開される本格推理小説の大家であり、お医者様でもあったわけですから当然のスタンスですね。

 そんなわけでドイルは心霊現象は科学で解明できると考え、実際に調査もしていたのですが、その過程でむしろ心霊主義的な立場をとるようになっていました。

 きっと純粋な人だったんでしょうね。後年のころは恐ろしく単純なトリックにもひっかかってたそうですから……

 

 二つ目のセリフですが、SPRはエレナ・ブラヴァツキーの降霊会のトリックを暴いたことがあるそうです。完全に個人的恨みですね。

 

 ちなみにその逆側の立場で、超能力者のインチキを暴くことに執念を燃やしているジェームズ・ランディという人物がいますがこれ以上一項目について書くのアレなのでこのぐらいにしておきます。

 

■ウェールズの城

 

 UKを構成する四つのカントリーで一番最初にイングランドに併合されたウェールズ。

 面積も狭く、ユニオンジャックからも省かれてしまっているなんか存在感の薄い地域ですが、四国ぐらいしかないその面積に数百のお城が現存する城大国です。

 特に名高いのは「グウィネズのエドワード1世の城郭と市壁 」と総称される四つのお城でしょうか。世界遺産にも登録されていますね。

 

■コーニッシュ・パスティー

 

 コーンウォール地方の郷土料理。

 大きなフチのついたミートパイの一種で、コーンウォール以外の地域でも広く親しまれている。

 フチがついているのは炭鉱夫が汚れた手のまま食べられるようにした配慮だとか。

 

■ウィリアム・バトラー・イェイツ

 

 アイルランドの国民的詩人。ノーベル文学賞受賞者。

 魔術師だったいう噂があるらしいです。

 アイルランドの詩人はリャンシーという妖精に憑りつかれていて、妖精から才能を与えられる代わりに短命と言われています。

 が、イェイツは70過ぎまで生きてますので彼は憑りつかれていなかったのでしょう。

 

■香港式エッグタルト

 

 エッグタルトの原型はポルトガル料理のパステル・デ・ナタと英国料理のカスタードタルトです。

 いくつかのスタイルがありますがとりわけ有名なのが香港式とマカオ式ですね。

 パっと見で焼き目がついてるのがマカオ式、ついてないのが香港式です。

 おいしいので間食する際はご注意を。思いの外、おなかにたまるので夕飯が入らなくなっちゃうかも。

 

■ハムステッド

 

 ロンドン中心のピカデリーサーカスから地下鉄で約20分で行ける緑豊かなエリア。

 かつては芸術家のエリアで現在は高級住宅街。

 緑豊かな景観を守るため厳しい条例が定められており、家の前の石垣を伸びすぎた木が貫くようなことがあっても勝手に伐採できません。

 それが独特の景観を守っているようです。

 

■映画の誕生

 

 映画を発展させたのはアメリカですが、19世紀から20世紀にかけてフランスも重要な役割を果たしています。

 世界最初の映画と言われているのはルイ・リュミエールの『工場の出口』(1895)です。

 その後、アメリカでトーマス・エジソンがスタジオを起こし映画の歴史において重要な役割を果たしました。以後、映画産業の中心地はアメリカに移っていくわけですが、20世紀初頭の映画黎明期においてフランスで重要な役割を果たした人物がいます。

 それがジョルジュ・メリエスです。

 メリエスの映画『月世界旅行』(1902)はエポックメイキングな作品です。

 なぜなら『月世界旅行』は世界初のSF映画で、当時としては非常に珍しい複数のシーンのある映画で、様々なトリック撮影技術が使われ、ちゃんと物語がある映画だからです。

 今ではどれも当たり前のことですが、20世紀初頭の映画は映画というよりもただの記録映像みたいのものだったので、『月世界旅行』はいろんな意味で映画というメディアの可能性を広げたと言えます。

 メリエスの功績についてはそれに最大のオマージュの感情を込めた『ヒューゴの不思議な発明』(2011)という映画がありますのでこちらもどうぞ。

 

 また、『月世界旅行』は現在ではパブリックドメインになってますのでネットで普通に拾えます。

 

■「シートベルトを閉めろよドロシー。カンザスにはバイバイだ」

 

 『マトリックス』(1999)のセリフ。

 ドロシーは『オズの魔法使い』のヒロインのこと。

 

■ケンウッドハウス

 

 ハムステッドにある巨大美術館。

 きわめて希少なフェルメールの絵画が展示されている。

 入場無料。

 行ったことがある方はわかると思いますが、イギリスの美術館・博物館は特に大規模なものほど無料である場合が多いです。

 ナショナルギャラリーもテートブリテンもテートモダンも大英博物館も私の知る限り無料です。

 

 

 

 




今回は以上。
次回投稿は未定ですが、何か思いついたら書きます。
今後もお付き合いいただければ喜びます。

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