■衛宮切嗣と仕事仲間たち
完全に筆者の妄想です。
仮に切嗣に同業者がいたとしたらこのぐらいドライな関係だろうと思って書きました。
出来るだけ同人っぽくしようとしましたが、久宇舞弥は出す余地がありませんでした。
舞台設定を明確にしていませんが、1980年代のニューヨークを想定しています。
今のニューヨークが劇的に治安が改善していますが、当時のニューヨークは治安が最低の状態だったので1980年代のニューヨークだといい感じに雰囲気が出るかと思ってそうしています。(原作設定にも反さないですし)
現在は再開発の真っただ中ですが、ロセッティ親子の仮拠点はクイーンズのアストリア地区あたりを想定しています。
アンナの例え話にやたらとアメリカンコミックの話が多いのはアメリカ人っぽさを出すための苦肉の策です。
あと単純に筆者がマーベルコミック映画が好きだから。
■ヘルハウスとイギリス幽霊屋敷
イギリス製ホラーの古典的名作『ヘルハウス』(1973)からタイトルを取りました、
典型的な幽霊屋敷ものですね。
イギリス人は家にお金をかける文化があり、地震とほとんど無縁な土地柄もあってよく保存された歴史的建造物が多い国です。
また、怪談好きなお国柄もあって幽霊屋敷ものは一大ジャンルを築いています。
実際、イギリスの歴史的建造物にはちょっとした幽霊話が伝わっているものが多く、そういう場所をめぐるウォーキングツアーもよく開催されています。
イギリスの文豪には怪奇小説を書いている人も非常に多く、このエピソードは青空文庫で読んだエドワード・ブルワー=リットンの『貸家』から着想を得ています。
(もはや完全に別物ですが)
日本人にお馴染みのところだとスタジオジブリがアニメ化した『思い出のマーニー』など典型例でしょうか。
『思い出のマーニー』の古い邸宅には「湿っ地屋敷」という名前がついていましたが、古い邸宅に名前がつくのもイギリスの伝統ですね。
劇中にちらっと名前のでたウィンチェスター・ミステリー・ハウスは実在します。映画の題材にもなっていますね、
https://filmaga.filmarks.com/articles/2062/
ラヴクラフトを出したのはFGOの異星の神をちょっと意識しました。
この幽霊屋敷ネタですが、気に入ってしまい日本とアメリカを舞台にしたやつもオリジナルで書きました。
こんな感じになっています。
アメリカ編
https://ncode.syosetu.com/n7210cf/113/
日本編
https://ncode.syosetu.com/n9384es/37/
■ディック・フランシス
劇中に登場したロバート・ウェブスターはもちろん架空の人物です。
彼のスポーツ選手としてのキャリアは活躍時期を除けばほとんどまんまジョニー・ウィルキンソンです。
ダラム大学に在籍していたキャリアもまんまウィルキンソンですが、ダラム大学は「シャーロック・ホームズ」シリーズの敵役である
モリアーティ教授が教鞭を執っていた(と考えられている)大学でもありますね、
トップアスリートから作家に転身して成功した例ですが、これは劇中で挙げた通りディック・フランシス(1920-2010)という偉大な実例があります。
障害競馬のリーディングジョッキーだったフランシスは30代後半に競技を引退するとなんとびっくり作家に転身。
主に競馬界を舞台にしたミステリー小説を多数発表し、英国推理作家協会賞(CWA賞)、アメリカ探偵作家クラブ賞のエドガー賞長編賞など
ミステリー界の錚々たるビッグタイトルを獲得しています。
『Fate/in UK』は各話のタイトルを無理やり漢字二文字にしていますが、これはフランシスの作品がすべて漢字二文字の邦題で出版されているためです。
(原題は単語二つ)
フランシスの作品はほぼ毎回主人公が後退していますが、例外的に複数回主人公を務めた隻腕調査員シッド・ハレーの登場作品が人気。
特に『利腕』はイギリス製ハードボイルドミステリーの名作として名高いです。
■バース
幽霊屋敷ものなのでぶっちゃけ舞台はどこでも良かったんですが、今まで筆者が行ったことのある場所でまだ舞台になっていない場所からバースを選びました。
バースはイングランド西部、サマセット州にある小さな街です。
ローマ時代に温泉保養地として歴史が始まった非常に深い歴史を持つ古都です。
以前のエピソードで舞台にしたコッツウォルズと地理的に近いことから、コッツウォルズと同じ種類の建材が使われており18世紀に出来た町並みは蜂蜜色がとても美しいです。
筆者はオックスフォードに泊まって日帰り観光しましたが、歩いて回れる程度の範囲にメインスポットが固まっているので観光しやすいです。
サッカーよりもラグビーの方が人気がある土地柄らしいです。
■2006年ごろのアーセナル
サッカー中継の場面が2006年ごろにアーセナルに在籍していた選手をイメージして書きました。
当時の主力だと、アンリ、ロシツキー、ファン・ペルシーあたりでしょうか。
怪我で長期離脱してた選手もいたようですが、その辺は勘弁してください。
そんなに熱心なフットボールファンでもないのでご容赦を。
■オマケのオマケ 1994年ごろの時計塔と2006年ごろの時計塔
すさまじい爆音で目が覚めた。
その音は、アラン・ホイルの尻から放たれたものだった。
音と一緒に凄まじい悪臭が漂ってくる。
ケイネス・エルメロイ・アーチボルトは無視を決め込もうとしたが、ホイルの放屁がもたらした影響は無視できる範囲に留まっていなかった。
「……ホイル君、君は五分に一度放屁することで何を訴えようとしているのかね」
ホイルはまるで悪びれる様子でもなく答えた。
「そこに気付くとはさすがはアーチボルト先生です……俺は、今、屁でモールス信号が出来ないか試しているところです。ですのでお構いなく」
「私も出来れば構いたくないのだがね。その音と悪臭はもはや無視できる範囲を大きく逸脱している」
「わかったぞ」と誰かが言った。
発言の主はサマセット・クロウリーだった。
クロウリーは魔法の域に肉薄した本物の天才で、すべての学科に出入りをしては講師をからかって遊んでいた。
今日はアーチボルト先生が犠牲者に選ばれていたが、思うところがあったのか今の今まで大人しかった。
「アラン、君が授業開始直後に放った屁はトンツートントン……つまりLだな?合っているか?」
「さすがはサミー、お利口なファック野郎だ。ご褒美に俺の握りっ屁をくれてやる」
「それは興味深いが遠慮する。二文字目はI、三文字目と四文字目はTだな?」
「よくわかってるじゃねえか!大ヒント、総文字数は11文字だ」
クロウリーは目を閉じで数秒考えると答えた。
「……ひょっとして
「大正解!百億点だ!」
二人の歪んだ天才は沈黙した。
沈黙すると、やがて爆笑を始めた。
「確かに僕もアーチボルト先生は貧相なナニをお持ちなのではないかと思っていたんだ!君は本当に下品だな!」
「だから配慮してモールス信号にしたんだろうが!屁をこきまくったのがちっとばかし下品だったのは認めるけどな!」
笑いすぎて油断したのだろうか。
ホイルのケツから「ブリッ」という不穏な音がした。
「……アラン、今のはどういう意味なんだ」
「……今のはな、『実が出た』だ」
教室中から黄色い悲鳴が上がった。
ホイルは徐に立ち上がると教壇に向かって発言した。
「アーチボルト先生、クソが漏れたのでオムツを変えてきます」
「さっさと出ていけ!」
ホイルが机の間を縫っていくと、モーゼが海を割ったように生徒たちがホイルを避けて行った。
「アラン、臭いよ!」
「悪いな、メルヴィン。お詫びに俺の使用済みオムツをくれてやるよ」
「要らないよ!」
「ウェイバーちゃん、俺のオムツに興味はねえか!」
「来るな!来るなー!!」
〇
ちょっとした雑談が本格的な雑談になると、聞き役の生徒たちが増えていた。
その輪の中に今代のエルメロイ教室を率いるロード・エルメロイ二世……ウェイバー・ベルベットも加わっていた。
「……思い出すと、胃痛がしてくる。ホイルとクロウリーとお前がいない分、今のエルメロイ教室は相対的に遥かにマシと言わざるを得ないだろう」
私は渋面の彼に行った。
「そうか?」
彼は言った。
「そうだ。今のエルメロイ教室に問題児がいることは認めるが、講義を聞く姿勢がある分、お前たちよりは遥かにマシだ」