宜しくお願いします!
私の名前は『弌(いち)』。
歳は18で…まぁ普通の人間です。
私は自分のことを『私』と呼んでいますが、別に格好つけているわけではなく幼い頃から父の『私』という言葉をきいていたせいかもしれない。
つまり父の口癖がうつったということだ。
まぁ、そんな事はどうでもいいでしょう。
え…………?
どうでもよくない………?
もっと詳しく話せ、と?
………………………しょうがないですね。
…まず、私には少しだけ不思議な力のようなものがあります。
その力は、なんと言ったらいいんでしょうか…
簡単に言えば、少し先の未来がみえる、ということ。
みえるようになったのは六歳くらいのまだ私が小さい頃。
その時は、友達と一緒に走り回って遊んでいた。
一緒に走っていた友達…もう誰だかは覚えていないが。
その友達が目に入った瞬間、膝を抱えて地べたに座り込んでいる友達の姿が頭に浮かんだ。
まぁ、御察しの通りその友達は見事にすっころんで膝を怪我した。
いきなりの事に驚いたが、同時に多少の罪悪感もあった。
それから、様々な人の未来がみえるようになった。
もちろんその事を周りの人間に話しても信じる人はいなかった。
当時は、そういった事にたいして嫌悪感を抱いていたが、だんだんそんな感情はなくなっていった。
一つの原因として、その未来視という力を少しだけ自由に使えるようになったからなのかもしれない。
小さい頃はその力が発現してからというもの、誰に対しても問答無用でみえていたのだが、今はある程度制御出来るようになった。
普通に生活していればなにもみえないくらいまでには…
しかし、どうしても力を制御出来ないときがある。
それはとても 感情的になっている人 それと死んだ人や動物の死体を見たときである。
そんなときには嫌でもその人の未来と、死んだ人動物の記憶…だろうか…………
そんなものが頭に入ってくる。
例えば二人、誰かが口論している場面があった。
片方は怯え、もう片方はイライラしている、というふうな場面。
私はこれでも制御がきかなくなる。
怯えている方は殴られて前歯を折られ、殴った方は周りから取り押さえられる。
確かその時はこんなふうにみえた。
…その通りに現実になったのだが……
制御していても色々見えすぎると中々疲れる。
今さっきのもそうだが、人が殴られる様子が二度見えることになる。
もちろん精神的に疲れる。
もうひとつの『死体』の方はそのままの意味だ。
未来がみえる、といったがそれは不適切だったかもしれない。
……めったに無いことなのだが記憶も見えるのだから。
道端に死んでいる小さいネズミが目にはいる事がある。
その場合は、そのネズミの記憶やどうやって生きてきたか一瞬で頭に入ってくる。
………人の場合も同じだがこちらはかなりきつい。
その人の記憶は勿論、その中にある知識やちょっとした癖なんかが体に染み込んでくるように感じる。
筋力の使い方やものの考え方なんかすべて。
自分の知らない知識などが一瞬で頭の中に入ってくるが、便利だなどと思った事は一度もない。
これは私の考えだが……と言うか誰しもが思うことかもしれない。
その人や動物が生きていた頃の嫌だった事や、幸せだった事、全てを私が奪ってしまったように感じる…と。
だからなるべくそういう類いのものは遠ざけるようにしている。
……………………
と、ここまでが私についての話になります。
あ、因みに私は男です。
最初に言っておくべきでしたね。
他に何か質問はありますか?
……………え?
私が…普通の人間じゃない……と?
酷いですね…私はこれでもこの力があまり好きではありません。
それに『ここ』では私なんか普通です。
身近な人達の私に対しての評価は、少し珍しい、くらいです。
ここの人々全員に聞いたわけではないので詳しくはわかりませんが、私は普通でありたいと思っています。
『ここ』はそういう所みたいなので。
それに『ここ』来て日は浅いですが、心地のいい場所です。
……………ん?……さっきから『ここ』って何を言っているのか……ですか?
いや、それは決まってるじゃないですか。
ここは、『幻想郷』ですよ。
頑張ります!はい