魔法世界の混沌   作:逸環

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パソコンが壊れて、ワードが開けない。


加速する拳、加速する絶望。

近年、『伝統派空手』は『フルコンタクト空手』の影に押され、弱いと思われがちにある。

だが、『当てるから』強いわけでも、『当てないから』弱いわけでもない。

 

俺が知る限り、『伝統派空手』は世界最速の突きを放つ。

 

 

「セリャァッ!」

 

「ウグッ!」

 

 

先ほどまで当たらなかった拳が、『最強の眼』の視認速度を超えて動き、エヴァンジェリンの体に当たりだす。

小学生の頃、兄貴に勝ちたい一心で近所の空手道場に通っていたのが、まさかこういう形で功をそうするとは思わなんだ。

 

まあ、兄貴に勝つことは、一生できなかったが。

 

 

「それでも、お前を殴ることはできたみたいだがな!」

 

「クゥ…ッ!嘗めるなぁっ!!令呪をもって命ずる!キャスターよ、そいつとともに距離をとれ!」

 

「ッ!………また!」

 

 

令呪によって行動を強制され、ジャンヌが魔力を練り上げる。

その指輪をつけた手が、俺に向けられる。

おい、まさか、

 

 

「ラ・ピュセル・メイギス・メイガス!風の精霊17人(セブテンデキム・スピリトゥス・アエリアーレス) 集い来たりて(コエウンテース) 敵を射て(サギテント・イニミクム)魔法の射手(サギタ・マギカ) 連弾(セリエス)風の97矢(ルーキス)』!!」

 

「オゴゴゴォォォォオオォォォッッッ!!!??」

 

 

ダメージはないものの、大量の魔法の矢によって与えられた衝撃は、俺とエヴァンジェリンを引き離すには十分なものだった。

 

 

「クッ!」

 

 

飛ばされた先で、体勢を立て直す。

クッ、エヴァンジェリンはっ!?

 

 

 

 

 

 

 

「リク・ラク・ラ・ラック・ライラック氷の精霊17人(セブテンデキム・スピリトゥス・グラキアーレス) 縛鎖となりて(ウィンクルム・ファクティ)敵を捕まえろ(イニミクム・カプテント)魔法の射手(サギタ・マギカ)・戒めの氷矢《グラキアリース・カプトゥーラエ》』」

 

「ガァッ!」

 

「ふむ、こいつがお前の娘か」

 

 

…オイ、

 

 

「そういえば、随分ボロボロじゃないか」

 

 

ナンデマナノソバニ、

 

 

「ああ、武道会に出ていたのか」

 

 

オマエガイルンダ?

 

 

「一人で戦い続けても、厳しそうなのでな」

 

 

コラ、カミヲヒッパルナヨ。

 

 

「戦力は欲しいだろう?」

 

 

オンナノイノチダゾ。

 

 

「これは私が作った賢者の石の原料になった魂たちから、ある感情だけを抽出したものだ」

 

 

オイ、コラ、

 

 

「お前ならこれが、何か分かるだろう?」

 

 

マテ、

 

 

「幸い、これを注ぐ傷口にはこと欠かん様だしなぁ?」

 

 

ヤメロ。

 

 

「そら、ホムンクルス『強欲(グリード)』の誕生だ!!」

 

「やめろぉぉぉぉぉぉおおおぉぉぉおおぉぉぉっっっっ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エヴァンジェリンの手に握られた小瓶から、真名の頬の傷に紅い液体が注がれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




実はネギでやるか、真名でやるか悩んだ展開だったり。
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