魔法世界の混沌   作:逸環

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お久しぶりです!
半年振りの更新ですが、どうぞ!


未来への悔恨。

「ふふふ~ふふ~♪ふふふふ♪ふふふふ~♪」

 

「六禄さん、僕は平成ライダー派です」

 

「俺は昭和ライダー派や」

 

 

ジャンヌとまた暮らし始めて二日経ち、昼頃に鼻歌交じりで教会内の掃除をしていると、小太郎とネギが話しかけてきた。

まあ、言わせてくれ。

 

 

「俺はウルトラマン派なんだ」

 

「「裏切ったな!?」」

 

「はっ!なんのことだか!」

 

 

子供たちが叫ぶのを、鼻で笑い一蹴する。

ほら、そこに立ってると掃除の邪魔。

 

 

「仮面ライダーの鼻歌を歌ってたのに、何でや!?」

 

「気分だったからだ。学校行けよ」

 

「今日は振り替え休日なんです」

 

「ああ、学祭のね。外行って遊んでこい。子供なんだから」

 

「「わーい!」」

 

 

あっという間に外へと駆けて行く2人。

もう昼頃なのに子供たちがまだいると思ったら、学祭の振り替え休日か。

あれ、2日もあったんだな。

俺が学生の頃なんか、一日だけだったぞ。

 

…学生の頃か。

復学、してみようかねぇ。

色々と中途半端に終わっちまってたし。

ジャンヌにも今の教育現場ってのを見せてあげないと、子供たちのことが心配だろうし。

そうなると、またコノえもんに頼るか。

借りを下手に作るのは嫌だが、これも愛する妻のため。

 

っと、考え事をしていたら、教会の扉が開き人影が差し込む。

 

 

「…懺悔を、聞いてくれるカ?」

 

「…懺悔室へどうぞ」

 

 

学園祭で大暴れした事件の首謀者、超 鈴音が懺悔室へと入っていった。

 

 

 

 

 

 

「…で?何を告解するよ?」

 

「イヤ、その前に定型句とかアルんじゃないカ?」

 

「そんなものは時間の無駄だ」

 

「無駄テ………」

 

 

狭苦しい懺悔室の中、椅子の背もたれに寄りかかりながら話を聞く。

どうせ知っている文句を、いちいち言わなくても良いだろう。

神と俺以外はいないとか言っても、この懺悔室内には防犯のために、盗聴器も監視カメラもあるからな。

後からパソコンに残った映像を見て内容を知ることなんて、誰にでもできるぞ。

ちなみに、設定は千雨ちゃんに手伝ってもらった。

あの子のパソコンと映像に関する知識、マジで凄い。

 

 

「ジャ、ジャア言うネ」

 

 

一息分の溜めがあり、決意を込めてその名の通り鈴のような声が紡がれる。

 

 

「………ワタシは、過去を改変するために来た、未来人ネ」

 

「…ふむ、それで?」

 

「過去を改変するということは、それが大局的にどのような結果をもたらす事であれ、決してしてはいけナイ」

 

「そうだな」

 

 

生まれるはずの命が、生まれなくなる可能性がある。

生まれないはずの命が、生まれてしまう可能性がある。

…世界そのものが、変わってしまう。

 

 

「…あまつさえワタシは、何も成せなかっタ」

 

「…そうだな」

 

 

原作では計画が失敗したとき、世界樹に残っていた魔力を使って世界に1日だけの平和をもたらした。

だが、この世界では違う。

残っていた魔力はエヴァンジェリンが使ってしまった。

超 鈴音は、何一つ結果を残せなかった。

 

 

「計画が失敗したときニ、せめてもと思って用意していた保険モ!何一つ!!」

 

 

感情が高ぶったのか、その声が慟哭へと変わる。

全てを変えると覚悟して、せめてもと思って。

そして全てが無になった。

その苦痛を、たかだか14の小娘が背負わなくてはいけない。

 

 

「…何も、できなかったわけじゃあない」

 

「………え?」

 

 

壁を隔てた向こうで、超が呆けた声を出す。

 

 

「ネギは成長し、世界は魔法を受け入れるための、初めての土壌を手にした。…成果は確かに、あった」

 

 

認識も疎外されるだろう。

CGだと誤魔化されるだろう。

声高に叫ぶこともできないだろう。

だが確かに、あの日多くの人々が奇跡を見た。

それは間違いなく、その後に続く奇跡を受け入れる土壌となる。

 

 

「お前は間違いなく、お前の世界のために成せたことがあるよ」

 

「そう…なのカ………?」

 

「ああ、そうだ」

 

 

ポツリ、ポツリと。

何かが落ちる音がする。

それは次第に間隔が短くなり。

 

 

「アアアアアアァァァァァアァァァアァアァァァァァァッッッ!!!!」

 

 

堰を切ったかのような、安堵の響きになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…今日は、ありがとう」

 

「ただの仕事だ。気にしなくていいさ」

 

 

教会の正面入り口。

そこで、目を赤くした超の見送りをする。

 

 

「それでも、ネ。私の心は、軽くなったカラ」

 

「ククッ、それは良かった」

 

 

それなら、本望だ。

微笑みながらそう言う超の姿を見て、わずかばかり安堵する。

 

 

「…それじゃあ、ワタシはそろそろ行くヨ」

 

「おう、またいつでも来な」

 

 

手を振って、立ち去ろうとする超を見送る。

 

 

「…ああ、そうだ」

 

「ん?」

 

 

数歩歩いてからこちらへ振り返り、鞄から一冊の冊子を出す。

なんだ?

 

 

「これは、私の秘密。御礼にはならないけど、あげるヨ」

 

「あん?」

 

 

受け取って、表紙を見るとそこには『超家家系図』と書かれていた。

………おい。

 

 

「おい、これがどうし…「再見、我的祖父」お、おい!」

 

 

超に問いただそうとすると、いつの間にやら随分と遠くまで歩いていた。

とりあえず、訊くことを諦めて本をめくる。

奴がネギの子孫だとは知っているが…。

『我的祖父』?

 

 

「………ククハハハハハハハハハッッッ!!!!!」

 

 

思わず哄笑する。

なるほど。

確かに間違いはない。

いったい、何がどうなったんだか。

 

 

「…クク、再見。我的女儿」

 

 

どうやら未来は、とても面白い流れになっていそうだ。

 

 

 

 

 




『我的祖父』=私の祖父
『我的女儿』=私の娘。

正確には違いますが、そういうことです。
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