魔法世界の混沌   作:逸環

119 / 124
今回は、真名がメインです。


期末テスト。

「とうとう…、今日か」

 

「………あの子達を、信じましょう」

 

「…ああ、そうだな」

 

 

7月中旬のとある日。

教会の中は、重苦しい雰囲気が漂っていた。

俺とジャンヌによって。

 

 

「…期末試験か………ッッ!!」

 

「………そうですね」

 

「いや、お二人とも、そんなにシリアスにならなくても…」

 

「シャークティーちゃんは子供がいないからそう言えるの!!」

 

 

今日は期末試験当日。

うちの娘どもの、頑張りが出る日だ。

小太郎?

あれは小学生だから関係ない。

 

しかし、問題がある。

うちの娘たちは揃いも揃って阿呆だ。

テストの成績に関しては。

何故か。

四六時中男のケツを追っかけ回して、勉強をしないからだ。

まあ、男と言っても家族なんだが。

 

そこで、この事態は流石に不味いと感じた俺は、試験一週間前にこう言っておいた。

 

 

「期末試験で全教科80点以上取れたら、度が過ぎない程度に好きなご褒美をあげます」

 

 

と。

そしたらビックリだよ。

無言で真名と刹那が部屋に戻ったかと思うと、机に向かって勉強を始めたんだから。

今まで見なかったよ、そんな光景。

驚いた分、何を要求されるのかが怖くてしょうがないんだが。

まあ、片方は俺に実害はないだろうし、それは良いんだけど。

 

問題は真名だ。

奴はヤバイ。

俺をまだ狙っている。

夫婦仲を引き裂くとこまでは行かないが、狙ってきている。

時々深夜に寝室へ入ってこようとするから、本気で拙い。

 

時計を見ると、17時ちょっと前。

そろそろ帰ってくる頃だ。

 

 

「…ジャンヌ、何があろうと俺は、お前を愛しているぞ」

 

「………私も、貴方を愛しています」

 

「いや、そこまで深刻になるようなことではないですからね?あと、私の前で惚気ないでくれますか?」

 

 

無理。

 

 

 

 

 

 

「「ただいまー!」」

 

「「「おかえり」」」

 

 

あの会話から僅か数分後。

問題児2人が帰ってきた。

 

 

「父さん!ご褒美は確実だぞ!」

 

「そっかー。とりあえず、何が欲しいんだ?」

 

 

真っ先に俺に駆け寄ってきて、自信満々に報告する真名。

嬉しいけどッ!

嬉しいけど…ッッ!

怖い!

 

 

「ふふ、私が欲しいのはね-------」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「父さん」

 

「はいはい」

 

「母さん」

 

「………はい?」

 

「ふふ!」

 

 

それから数日が経った夜。

俺とジャンヌと真名は、同じベッドで寝ていた。

俺とジャンヌで、真名を挟んだ川の字で。

 

 

「本当に、こんなので良いのか?」

 

「ああ」

 

 

真名は本当に、全教科80点以上を成し遂げた。

俺の娘ながら、凄いと本当に思う。

その前の中間試験は、60点以下だったのに。

 

その真名が欲しがったご褒美は、親子で川の字で寝ることだった。

そんなもので良いのかと何度も聞いたが、一貫してそれが良いと、真名は言い続けた。

刹那?

小太郎を部屋に連れて行ったよ。

 

 

「…ずっと、こうしたかったんだ」

 

「…そっか」

 

 

嬉しそうに囁く真名を、俺とジャンヌで両側から抱きしめる。

しばらくはくすぐったそうにしていた真名も、じきに穏やかな寝息を立てて眠りについた。

ずっと父子家庭で育った真名たちは、母親というものを知らなかった。

いや、知っていても、理解できていなかった。

真名と刹那は幼い頃には母親の姿を知っていたが、今となっては幼過ぎた。

小太郎も、母親を知る機会はなかった。

 

 

「…おやすみ、真名」

 

「………おやすみなさい、真名さん」

 

 

真名の額にキスをした後、ジャンヌと軽く唇を合わせて眠りにつく。

明日も、良い日であるように。

 

 

「……ふふ」

 

 

楽しげな夢を見ている真名を抱きしめながら、そう、願った。

 

 

 

 




初めての『両親との』川の字でした。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。