「よーし、お前ら」
後ろに立つ子供達に向かって、言葉をかける。
「Welcome to Magic World!!」
俺たちは今、魔法世界に降り立った。
数日をネギの実家で過ごした後、転移陣を抜けて辿り着いた魔法世界。
俺は二度目だが、それでもこの十年で変わった。
それもそうだろう。
旧世界も十年あれば様変わりするのだから、魔法によってあらゆることが簡素化されたこの世界なら、もっと劇的に変化できる。
この魔法世界と旧世界を繋ぐターミナルも、カウンターの数が増えて建物事態も新しくなっているようだ。
「すっご!外に船が浮かんでるよ!!」
「人が飛ぶんだー。船くらい飛ぶさ」
「ネコミミ!あの人ネコミミついてる!!」
「獣人だな、すぐに見慣れるぞ」
「吸血鬼!吸血鬼がいる!!」
「俺を指差すんじゃない」
騒ぐ子供達にツッコミを入れながら、入国手続きを済ませる。
これをしないと、魔法世界の国に入れないからな。
「ネギを始めに魔法使いー。魔法の発動媒体はこの中に入れろー」
「「「「「「「「はーい」」」」」」」」
受付で専用のケースを受け取り、杖を初めとする魔法の発動媒体を収納していく。
テロ予防のためだが、この後がな…。
年のせいか忘れがちになるが、前世の記憶ではこの後襲撃を受ける。
しかも、テロの実行犯にされるというオマケ付きで。
その気になれば先手を打てるが、それだとこっちが社会的に不利になる。
「…後の先を取るか」
ボソリ、と呟いた一言を、ジャンヌは聞き逃さなかったらしい。
そっと俺の手をとると、柔らかく微笑んだ。
「………大丈夫ですよ」
何も知らないはずなのに、ただそれだけを言い離れるジャンヌ。
…まったく、できた嫁だよ。
こんな旦那をあそこまで信じてくれるなんてな…。
…よし、後の先なんて緩いことは言わん。
先手を取るとしよう。
いざとなったら、テオドラに頼んで圧力をかけてもらえば良いんだ。
というか、テオドラを頼れば国家権力で7割方の懸念が解決するだろう。
この間の賭けの勝ち分を返してもらわないといけないし。
と、なるとだ。
「よっ」
ドグォッ!
「ガフッ!?」
黒いフードの男の傍へ走り、跳び蹴りを背中に叩き込む。
今ので背骨をやれるかと思ったが、音と感触は違うもの。
どうやら、そこそこ頑丈らしい。
「何ですか!今のは!!」
今ので警備員達が集まりだすが、そんなものは、どうでもいい。
まずはこいつを締めることg「冥府の石柱!!」
「おぉっとぉッ!!」
突如迫ってきた複数の石柱を回避するために、バックステップで後退する。
早速、白髪の小僧か。
「…今のを避けるなんてね。さすが英雄だよ」
「褒めるなよ、照れる」
ニヤニヤと、虚仮にするように笑いかけながら答える。
しっかし、無表情だなこいつ。
人形だ何だと、正直俺からしたらこういうのが一番やり辛い。
原作の最後の方に出てきた、あの二番目とかならやりやすいんだが。
予想外に早く出張ってきたな。
たぶん、今のフードから情報が漏れるのを防ぎたかったんだろうか。
「でも、僕たちの計画はここで君に勝つ必要がない」
ゴゥッ!と再び複数の石柱が出現し、ゲートである魔法陣に迫る。
ネギたちが迎撃しようとするも、杖がないためほぼ無力となっている。
体術組も、現時点の能力であの脊柱に挑むことは自殺に近い行為。
警備員達もそこそこの能力はあるが、所詮はそこそこ止まりでしかない。
ゲート破壊を止める手立てはない。
「…ククッ!じゃあその計画、潰させてもらおうか」
手立てがないわけではない。
「分体300体解放。『混濁の壁』」
突如地面から這い出た黒い壁が石柱を全て阻み、ゲートを守る。
随分と久しぶりに使ったが、ちゃんといけるもんだな。
「おっと、そうだそうだ」
周りが突然のことと展開に呆ける中、杖などを収納したケースを蹴り砕きしまっていた物をネギたちに投げ渡す。
とりあえず、これで戦闘準備は良いな。
そんじゃあまあ、
「さあ、殺し合おう。フェイト・アーウェルンクス」
魔法世界突入後、初の戦闘開始だ。
持っている能力と性格の影響で、実は守勢として戦った方が輝ける主人公です。
技能的には攻勢の方がやりやすいですが。
それでは、魔法世界の混沌。
魔法世界に入りました!
次回の更新を、お楽しみに!