俺の顔を見て、ジャンヌは安堵の表情をし、エヴァンジェリンはその手から力が抜ける。
「何でお前がここにいる?!兄様は?!」
「そんなもんお前」
腹に手を当て、告げる。
「喰った」
数分前の話。
「まったく、『偽り写し示す万象』なんてふざけたもん使いやがって」
「…………ハハハ。どうやら、呪いの類は防げなかったみたいだな」
肉体に損傷は無い。
しかし、魂の方は違う。
正直、しばらく身体が動きそうに無い。
まあ、獣や今奴を捕らえている混沌は、問題なく動かせているが。
「ま、とりあえず遺言くらいは聞いてやるよ」
それがこれからこいつを喰らい尽くす者としての、俺の義務だろう。
「…………エヴァには手を出すな」
「正当防衛の範囲内で善処する」
快諾?
できるかそんなもん。
下手したら俺が死ぬわ。
「…………私もそれで妥協しよう」
「ありがたい。それじゃ」
「アッ!アガガガアァアァァァッッッッッッ!!!!!!!」
咀嚼の速度を一気に上げる。
できるだけ、痛みを感じる時間が少なくなるように。
そして、今まさに全てを食い尽くすというその瞬間。
叫び声が出せるのすら奇跡だというのに、その言葉は出た。
「アアアアッッッ!…………エヴァ、お前だけは幸せに」
「ッ!」
もはや痛みも感じなくなった最後の時、こいつの口から出た言葉は妹を想う言葉だった。
そして、奴の肉体は俺の内で混沌となる。
「…………ご馳走様でした」
手を合わせ、感謝する。
跡には、血の一滴も残っていない。
【真祖の因子を取り込んだことで、自我の消失がなくなりました。しかし、そのために真祖の力をすべて使用するため、真祖としての能力、及び『魔法先生ネギま!』における吸血鬼の能力は使用不可となります】
頭の中に、あの機械的な音声が流れる。
これで将来の不安が消えた。
さて、そろそろ軍と合流するかな。
カインを取り込んだためか、身体はふらふらするが、動けないわけではない。
「感謝する、『カイン・A・K・マクダウェル』」
去り際に、今はいない男に感謝する。
これが、俺なりのけじめだ。
そして冒頭。
ジャンヌは俯き、エヴァンジェリンは信じたくないという顔をしている。
まあ、当たり前だろうがな。
「う、嘘だ!兄様が死ぬなんて!そんなの嘘だ!!」
「………この世の万物は、生まれたと同時に死ぬ運命を背負っている。獣も、人間も、死徒も、真祖も、そして…………」
いや、この続きは、ジャンヌの前で言うべきではないか。
まさかキリスト教徒の前で、「神も死ぬ」なんて言えないな。
「あ、あっ、あっ」
それだけ言われたエヴァンジェリンの表情は、どんどん崩れてゆき、
「ああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっっっっっっっっっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
泣き顔で固定された。
…………ああ、これだから殺したくなかったんだ。
まったく、『偽り写し示す万象』より、よっぽどタチの悪い呪いだ。
はい。
混沌化が止まりました。
………話の流れ的にシリアスが続いてる。
ギャグが書きたい。