魔法世界の混沌   作:逸環

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さぁて!
ギャグだ!(めっちゃ生き生きしている)


ふわりと。

さてその夜、祝勝会の席だが、

 

 

「不味い」

 

「………ですが、これを食べてしまわないと、勿体無いですから」

 

 

なぜだ?

なぜ、

 

 

 

 

 

 

「祝勝の夜に、不味いパン粥を食わにゃあならんのだ!?」

 

 

米の粥を出せぇぇぇっっ!!!

こちとら日本人じゃぁぁぁっっっ!!!

 

 

「…………想定した以上に早くオルレアンを解放できたため、兵糧のパンが余ってしまったからです」

 

「いや、確かに腐らすのは勿体無いけどね?それでも祝勝会なら、固いパンから作った粥は出さないでしょ?!」

 

「………天の父はこう言いました「私の肉は、パンである」と」

 

「いや、俺キリスト教徒と違うし」

 

 

むしろ、「お米には、一粒一粒に神様が宿っている」って婆ちゃんに教わった人間だしね?

俺。

そんな人間にキリスト教の神様の言葉なんか、ありがたくもなんともない。

 

 

 

 

 

 

 

「………貴方の分は、私が作ってみたのですが」

 

「不味いが、食えないことはない」

 

 

食ってやろうじゃねえか!

それが男の務めだ!

 

 

「………無理をしなくても」

 

「………いや、死んだ婆ちゃんに「食い物を残すな」って教わったのを思い出してしまった。婆ちゃんには逆らえん」

 

 

ああ、レバーが嫌いで、こっそり捨てたことを知ったときの婆ちゃんを思い出す。

 

 

「ゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイ」

 

「大丈夫ですか?!」

 

 

…………婆ちゃん、あの時はマジでごめん。

でもね、小学生の孫に石を抱かせるのはどうかと思うんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

で、ジャンヌに介抱されながら外に出て気分を変えたわけだが、

 

 

 

「………落ち着きましたか?」

 

「………ああ、迷惑をかけた」

 

 

トラウマって怖いよね。

PTSDってやつだ。

 

 

「…………そういえば、私たちが出会って、まだ一週間くらいなんですよね」

 

「えらく密度は濃かったがな」

 

 

会話が止まる。

………ヤバイ、会話のネタが思いつかない。

 

あ、そうだ。

 

 

「さっきのパン粥の余韻が残ってるから、口直しさせてくれ」

 

「………え?」

 

 

ふわり

 

 

そんな音が似合う、触れるだけのキス。

 

 

「ククッ、やっぱこっちのが美味いな」

 

「………え?ふえ?ええ?」

 

 

見る見るうちに顔が赤くなり、

 

 

「ええぇぇぇぇっっっっっっ?!」

 

「耳がああぁぁぁぁっっっっっ!?」

 

 

近距離で大声を出してはいけない。

特に吸血鬼の近くでは。

人間より耳がいいからな。

 

 

 

 

 

 

「落ち着いたか?」

 

「………はあっ、はあっ。ええ、大丈夫です」

 

 

なんか、さっきと立場が逆転したな。

ああ、このことは言っておかなくてならない。

 

 

「実はな、お前とエヴァンジェリンの会話、チロッと聞こえてた」

 

「……………………え?」

 

 

ジャンヌが、「まさか」という顔をする。

そう、そのまさかだ。

 

 

「いやまさか、お前が俺をあんなふうに思っていたとは」

 

「いやあぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっ!!!!」

 

「またあぁぁぁぁっっっ?!」」

 

 

ダメだ。

鼓膜がもちそうに無い。

 

 

 

 

 

 

 

 

「………すみません」

 

「………いや、大丈夫だ」

 

 

割とギリでだが。

しかし、小声で「…………うう、聞かれてた。………恥ずかしい」とか顔を真っ赤にして言っているが、

 

 

「可愛いな、おい」

 

「………もう、叫びません」

 

 

それは良かった。

 

 

「……………貴方はどうなんですか?」

 

「………なにが?」

 

いや、分かってるけどね?

 

「………もう。…………貴方は私を、どう思っているんですか?」

 

「さっきのキスが答えだ」

 

 

言葉で言うと、恥ずかしすぎる。

 

 

「………言葉で、言ってください」

 

「………こだわるね」

 

「………貴方の言葉が、欲しいんです」

 

 

………………………なら、しょうがない。

 

 

 

 

「俺はお前が、初めて会った時から好きだった」

 

 

言っちまったよ、こんちきしょー。

 

 

「…………嬉しい」

 

「それは良かった」

 

 

ああ、そうだ。

 

 

「もう一度、キスしてもいいか?」

 

「………今度は、こっちから」

 

 

ジャンヌの顔が近づき、

 

 

ふわり

 

 

と、また重なるだけのキス。

 

 

「ククッ、今はここまでだな」

 

「………そうですね」

 

 

名残惜しそうな顔をされるが、明日からまた行軍をしなくてはいけない。

ここでお仕舞にしなくては。

だが、

 

潤んだ瞳、紅く染まった頬、濡れた唇、火照った身体。

今のジャンヌは魅力的にも程があり、

 

 

「きゃっ?!」

 

 

気がつけば、俺は彼女を押し倒していた。

 

 

「ごめん、やっぱダメだ。我慢できない」

 

「………はい」

 

 

そして、二人の身体は重なり合「ダメですよ?明日からまた、行軍があるのですから」んぉ?!

俺たちを見下ろすように立つ、一人の騎士。

 

 

「………ジル・ド・レェ、何でここにいる?」

 

「聖女あるとこに!このジル・ド・レェあり!」

 

 

………デジャヴか?

前にもこんなやり取りをしたような?

まあいい。

 

 

「おいこら、ギョロ目」

 

「なんでしょうか?と言うか、貴方とうとう私をギョロ目と呼びましたね?」

 

 

そんなことはどうでもいい。

 

 

「契約しよう。お前は生きたまま、溶かすように咀嚼してやる」

 

「………………では、私はこれで」

 

 

そそくさと立ち去ろうとするが、そうはいかん。

奴の周りに、獣たちを出現させる。

 

 

「に・が・す・か」

 

「戦略的撤退!!」

 

 

全速力で逃げるジルだが、それも何時まで続くか。

 

 

「………戻りましょうか」

 

「そうだな」

 

 

立ち上がり、宴会場に足を向ける。

そうだ、その前に、

 

 

「ジャンヌ」

 

「………何でしょうか?」

 

「ギュってさせて」

 

 

 

 

もう少し、こいつの温もりを感じていたい。

 

 

 

 

 




あれ?
なんか甘くなったぞ?

次回はキャラ紹介です。
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