翌日。
「困った」
「………どうしたんですか?」
俺にとっては、真面目に困ったこと。
それは、
「血が足りない」
「………レバーとほうれん草の炒め物でも作ってきます」
「そういう意味じゃない」
いや、一般的にはそうだろうけどね。
ほら、俺吸血鬼だから。
「………山芋と大蒜で、何か作ってきます」
「下半身に血が行かないわけでもない」
安心しろ。
朝の生理現象はちゃんと起こるから。
つーか、俺の話を聞け。
「正確にはな、吸血鬼の肉体を維持するための魔力が足りないんだ」
俺の吸血は早い話が、サーヴァントたちの『魂喰らい』と同じだ。
いや、割と色々と差異はあるが、根本的な部分に違いはない。
この肉体を維持するには莫大な魔力が必要であり、ここ数日行軍と戴冠式で血を吸っていない俺の身体は、割と限界に近かった。
「それからもう一つ、それに関係した問題がある」
「………何ですか?」
こっちも割りと重大なんだが。
「お前が欲しくてしょうがない」
「………私は、いつでも良いですよ?」
「意味が違うわ。欲しいのは血だ」
いや、思わせぶりな言い方をしたのは俺だけどさ。
それをやったらアウトだっての。
だから我慢してんだろうが。
「しかし、なぜ聖女の血を吸いたいのですかな?」
「もう何も言わんぞ?ジル・ド・レェ。そして理由は簡単だ。吸血鬼の生態って言うか本能でな、自分が好意を持った相手、特に恋慕の情を持った相手に対し強い吸血衝動を抱くんだ。そして、それは吸血をせずに飢えれば飢えるほど、渇けば渇くほど強くなる」
今までは我慢できたが、身体の影響かその理性も吹っ飛びかけている。
いや本当に、マジでヤバイ。
「それは、私ではどうしようもないですねぇ。陛下に頼んで、死刑囚でも融通して貰っては如何でしょうか?」
「アレに頼んだら、弱みを握られそうでヤダ」
あのベルバラめ。
あいつ絶対腹黒だぞ。
「「うーん」」
と、男二人で悩んでいると、
「………必要なのは魔力なんですよね?でしたら、なんとかなります」
「「え?」」
「………『
おっとぉ。
まさかのパターンだよ。
「その、『仮契約』とは何なのですか?」
「………魔法使いとの、従者の契約です。基本的に、魔法使いの世界に伝わる昔話にならって、魔法使いには『
「いや、そもそもなんで『仮契約』しようってんだ?」
まあ、俺は知ってるには知ってるけどね?
「………『仮契約』をすると、魔法使いはパートナーに魔力供給ができるんです。今回必要なのは、魔力ということなので」
「ああ、なるほどね」
理由は分かった。
つーか分かっていた。
さて、問題は、
「どうやんの?」
「……………一番簡単なのは、魔法陣の中でキスを「私は許しませんよ?!」「黙れ」「ふぐぉっ?!」………………」
腹に一撃を入れ、ギョロ目を黙らせる。
まったく。
「これでよし、と。じゃ、やろっか」
「………はい!」
さくっと床に魔法陣を書き、その上に二人で乗る。
「…………なんか、恥ずかしいな」
「………毎日してるんですけどね」
そして、どちらからともなく二人の顔が自然と近づき、唇が触れる。
発光の後現れたものは、
「ほう。これがパクティオーカードか」
「………はい!」
………………………なぜ、絵柄の俺は袴に上半身は羽織だけ?
おもいっきり、和風ネロ・カオスなんだが。
『水無月 六禄』のカード
称号:生きたがりの混沌
徳性:希望
方位:中央
色調:黒
星辰性:太陽
数字:666
といった感じですね。
アーティファクトは後々出てきますので、それまでお待ちください!