魔法世界の混沌   作:逸環

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今話で百年戦争編が終了します。


剣戟と獣。

「何でかは訊かなくても分かるが、お前」

 

 

ここ最近出せるようになった、殺気っぽいのを出しながら問う。

 

 

「俺に勝てるとでも?」

 

「いえ、まったく」

 

 

………うぉい。

そこは嘘でも、『ある』って言うとこだろうが。

 

 

「所詮、変態はストーカーか」

 

「そこは違う言葉で貶すべきではないですよね?!」

 

「広義的には同じ意味だ」

 

 

何か問題でもあったか?

 

 

「………まあ、いいです。この剣と誇りに賭けこのジル・ド・レイ!この決闘に勝利し、貴方たちを連れ戻します!」

 

「連れ戻されたら、俺たち火炙りという現実」

 

「………火炙りは、嫌ですね」

 

 

ほんっと、数ある死に方の中でも、焼死だけは俺はヤダ。

熱くて苦しくて死ぬ。

やってらんねえな。

 

 

「ご安心を。貴方たちは、我が領地に隠れ住んでいただく予定ですので」

 

「阿呆ぬかせ」

 

 

何気にジャンヌの両親への挨拶が終わった後のことを考えていたんだぞ、俺は。

旅に出る気だったんだぞ。

具体的には、ルーマニアのワラキアに行って串刺し公に会ってみたりとか。

時期的に、もうそろそろ生まれるはずなんだが。

 

 

「そもそも、ジャンヌだけなら分かるが、何で俺まで連れ戻したいんだ?」

 

 

お前はストーカーだろう?

だったら、俺は基本的に邪魔じゃねえか?

 

 

「貴方たちといる時間が、楽しかったということと」

 

 

ジルが剣を構えて告ぐ。

 

 

「貴方が、私の友達だからですよ」

 

 

……………ククッ!

 

 

「なるほど。確かに、十分すぎる理由だな」

 

 

こりゃあ、今まで出していなかった奴を出さないとダメだな。

 

 

「俺の内なる系統樹には、人間の域を凌駕した生命があることを教えてやる」

 

 

ここで全力で相手をしないくらいなら、いっそ俺は死んだ方がマシだ。

 

 

 

 

 

「「おおおおおおぉぉぉぉぉぉぉっっっっっっっ!!!!!!!!!!!!!」」

 

 

ガキンッ!

キィンッ!

 

 

と、剣戟と獣がぶつかり合う音が響く。

 

 

「やるじゃねえか!見直したぞギョロ目ぇっ!!」

 

「貴方には劣りますよ!野良犬ぅっ!!」

 

 

憎まれ口をたたきながら、ぶつかり合う。

つーか、こいつ化け物か?

『十二の試練』のおかげでこっちが傷つかないってのに、剣一本でこれだけの猛攻を捌ききるって、おい。

こいつ、既に英霊化してねえか?

世界と契約でもしたか?

 

 

「ま、何だっていいがなぁっ!!」

 

 

俺の背後に、巨大な蜘蛛を出す。

こいつを出したからには、殺さないようになんていう配慮はできない。

 

 

「死ぬ覚悟はしておけよ?」

 

「遠慮しておきますよ。私の人生は、まだまだ死ぬには惜しいのですから」

 

 

だよなあ。

そうこう言っている間に、蜘蛛の足を一本叩き込む。

 

 

ガッキャァァァンンッッッ!!!

 

 

うおぉぉっ?!

 

 

「お前、何を平然と受け止めてんだ?!」

 

「気で身体を強化したのですが、気を知らないのですか?」

 

「気?!ドラゴ○ボールかよ?!」

 

「意味が分かりません」

 

「とりあえず、凄い物とだけ理解しろ」

 

 

いや、この世界はドラゴ○ボールじゃなくて、ネギまだったな。

まあ、いいか。

 

 

「「ぜらあぁぁぁぁっっっっっ!!!!!!!!!!」」

 

 

 

相手が強い。

その方が、段違いに面白い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここまで派手にやっておいてなんだが、あえて言いたい。

まあ、ぶっちゃけこんなものは決闘ですらない、デキレースだ。

 

 

「ま、こうなるよな」

 

 

俺の足元で、気絶するジル・ド・レイ。

この結果は当たり前だ。

傷すらつかない獣たちが、圧倒的な物量で迫ってくるのに対し、こいつは単騎。

勝てるわけねえだろうが。

 

 

「ククッ、悪くはなかったけどなぁ」

 

「………生きているんですか?」

 

「とりあえず、鎧の上からサイにどつかせたからな。気絶してるだけだ」

 

 

ジャンヌの問いに答える。

さて、そろそろ行くか。

 

 

「馬は貰っていくぞ?」

 

 

どうせそのつもりだったんだろう。

15M離れたところに、もう一頭繋いであった。

 

馬に跨り、その場を立ち去る。

ああ、これだけは言っておかねば。

 

 

「また会おうぜ。ダチ公」

 

「………また、いつか必ず」

 

 

じゃ、行くかぁ。

あ、ジャンヌの両親への挨拶、なんて言おう?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~Sideジル~

 

 

二人が立ち去る瞬間、私は目を覚ましていた。

あの心地良い時間が、失われてしまいますか。

まったく、二人を止めることの適わない、この身が本当に恨めしい。

 

ああ、それにしても、『ダチ公』ですか。

 

 

「フフッ。ええ、また会いましょう。その時はまた、三人で飲み明かしましょう」

 

 

かけがえのない、私の聖女と親友よ。

 

 

 

 

 




男を見せましたジル・ド・レェ。
これがZeroでの、あのキャスターになるとは。

次回はIFルート。
『もしも主人公がアベルを取り込まず、ただの混沌になったら』です。
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