ああ、思い出した。
ジャンヌの両親に、挨拶に来たんだったわ。
「あ、どうも。挨拶が遅れましたが、お嬢さんと結婚手前までの付き合いをさせて頂いてる、『水無月 六禄』と申します」
「「これはこれはご丁寧に」」
え?
キャラが違う?
当たり前だろう!
義両親の前だぞ!!
「と、父さん!母さん!こいつはダメだ!彼女の兄である俺「あぁん?」に跳び膝をくらわす奴だぞ!!」
なにぃ?!
俺に威嚇されてなお、言い切っただと?!
あのジルですら、ランスの時には顔を青くして黙ったんだぞ?!
「………ジャックお兄ちゃんは、変なところでオーバースペックなんです」
「ようするに、変態(シスコン)ってことだな?」
「………ええ」
うっわ。
あの誰にも優しいジャンヌが、心底嫌そうな顔をしてるよ。
「ジャック義兄さん、今までどんなことをしてきたんだ?」
「おい、何を自然な感じで『義兄さん』と呼んでるんだ」
気にすんなって。
どうせ直に違和感なくなるから。
「………ジャック兄さんは私とヨハネがまだ幼い頃に、男の子と遊んでいたというだけで、三日間家から出しませんでした」
「おい」
「アレは保護だ!外にいる男たちは、みんな獣だからな!」
ここまでプラトニックな交際を続けた俺の立場は、そうなるとどうなるのだろうか?
「そういえば、あの晩のお父さんは確かに、獣だったわね~」
「はっはっはっ。それはむしろ、母さんだったろうに。村中に声が「「「arrêt!!!」」」…………すまない」
ジャンヌを除く、子供たち全員に待ったをかけられる両親って……………。
ちなみに、arrêt=stopだ。
「そういえば、何でお前は待ったをかけなかったんだ?」
「………ちょっと」
「おい、何で顔が紅い?」
まさか、両親の会話から想像したのか?
「………貴方との結婚生活を考えていました」
「こんな男で、すまないと思っている」
邪なことを考えて、本当に申し訳ないっ……………。
「………それと」
「ん?」
「………子供は、5人は欲しいです」
ほう。
5人か。
元現代日本人の俺からしたらえらく多いと感じる人数だが、この時代ならば普通だ。
「お前の部屋はどこだ?」
「………それよりも、離れの物置の方が「「「arrêt!!!」」」音も漏れないのでいいかと」
「「「止まらなかった?!」」」
「さて、行こうか」
「「「あのおっ?!」」」
離れに行くため、玄関へと向かう。
「待つんだ」
その足を、義父さんの声が止める。
「なんですか?」
「結局、君は何をしに来たんだ?」
正座をし、床に拳をつけ、頭を下げる。
「娘さんと、結婚させてください」
主人公が主人公しました。