魔法世界の混沌   作:逸環

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………三十話を超えているけど、いまだに原作に突入していないという事実。


結婚式と花婿。

「なあ、本当に良いのか?」

 

「良いんではないでしょうか?」

 

 

あれから一ヵ月後。

ある教会の一室、俺とジルが一緒にいた。

 

 

「本当に良いんだよな?大丈夫なんだよな?」

 

「大丈夫ですから、そんなにソワソワしないでください」

 

 

これが落ち着けるか!

 

 

 

 

 

「俺、本当にジャンヌと結婚していいのかなぁっ?!」

 

「マリッジブルーも大概にしなさい!!」

 

 

俺こと水無月 六禄、ただ今絶賛マリッジブルー中。

 

え?

なんでジルがいるかって?

 

式をあげるから呼んだだけだ。

こいつの城宛に手紙を送ったぞ。

 

分体の伝書鳩で。

鳩が出るまでに、鶏が二十四回、ダチョウが二回、絶滅種のディアトリマが一回。

節操なさ過ぎるだろ。

つーか、飛べるもん出てこいや。

 

 

 

 

「大体、既に入籍は済ませたのでしょう?」

 

「おう。お前が着くまでの間に、ここの教会に申請しといた」

 

 

この時代、結婚するときには教会に申請しないといけないんだよね。

 

 

「しかし、貴方も人の子なんですね」

 

「どういう意味だ、おい」

 

 

化物してるが、人間を辞めた覚えはねえぞ。

 

 

「いえ。ただ単に、自分を絶対に押し通す貴方の、そんな姿が珍しいだけですよ」

 

「………………しょうがねえだろう。………俺も人の子なんだ」

 

 

あー、こっぱずかしい。

俺今、絶対顔紅いわ。

 

 

「………ププッ、ククッ、あっはははははははっっ!!!」

 

「笑うなや!」

 

 

ゴドッ!

 

 

「鈍器っ?!」

 

「ったく」

 

 

手近にあった燭代で、ギョロ目の頭をカチ割る。

しかし、なぜ断末魔が「鈍器っ?!」なのだろうか?

最後の言葉が、それでいいのかお前は?

 

 

 

 

 

 

 

 

「ジャンヌ。貴方は今、このムロクを夫としようとしています。貴方は真心から、このムロクを夫とすることを願いますか?」

 

「………はい」

 

 

神父の前、ウエディングドレスを着たジャンヌが宣誓をする。

本当に、綺麗だ。

 

 

「貴方は、この結婚が神の御旨によることを確信しますか?」

 

「………はい」

 

「貴方は神の教えに従い、清い家庭をつくり、妻としての分を果たし、常に貴方の夫を愛し、敬い、慰め、助けて、死が二人を分かつまで健やかなときも、病むときも、順境にも、逆境にも、常に真実で、愛情に満ち、貴方の夫に対して堅く節操を守ることを誓約しますか?」

 

「………神と証人の前に謹んで誓約いたします」

 

 

ジャンヌの宣誓が終わり、俺の番となる。

だが、

 

 

「ムr「ちょいと待ってくれや神父さん」…なんでしょう?」

 

 

神父の言葉を止め、出席者たちの方を向く。

義両親は泣き、ジャック義兄さんとジルが肩を抱き合って泣いている。

………お前たちは、いったい何時仲良くなったよ?

 

まあ、良い。

 

 

「式の最中になんだが、まずはお集まりの皆に礼が言いたい。感謝する。」

 

 

出席者たちは、俺が何をするのかと思ってソワソワしている。

いや、ギョロ目の野郎だけ、笑ってやがる。

テメーは泣いてんじゃなかったのか?

 

 

「今、こうやって宣誓をしているんだが、俺はあえて言いたい。神様になんざ、誓いはしない」

 

 

場が騒然とする。

そりゃそうだ。

結婚をドタキャンするって言っているようなもんだからな。

 

そしてギョロ目、テメーは相変わらず笑ってんじゃねえ。

 

 

「静かにして欲しい。今のは別に、結婚しないという意味じゃない。ただ」

 

 

チラッ、と横目でジャンヌの顔を見ると、

 

 

 

 

ギュっ

 

 

 

と、手を握ってきた。

これはまた、なんとも信用されたもんだ。

 

ま、期待には応えよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺はただ、神様にでも、あんた達でもない、ジャンヌだけに誓いたいだけだ」

 

 

この誓いは、誰のものでもない。

 

 

 

 

 

 




次回はジャンヌ視点です。
お楽しみに!
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