場内のざわめきが止む。
その時、神父が笑いながら言い出す。
「……………フフッ。では、誓いの言葉を変えなくてはいけませんね」
しーんぷ!?
すげぇ!
この神父すげえよ!!
今の俺の発言、異端審問にかけられてもおかしくはなかったぞ!!
「フフッ。神は愛し合う者たちの味方です」
「………ククッ、あんた良い性格してるねぇ。神父さんよぉ」
「そう仰るなら、お布施の金額を「上げないからな?新婚生活は金がかかるんだ」…………妥協しましょう」
それでいいんだ。
「ムロク。貴方は今、このジャンヌを妻としようとしています。貴方は真心から、このジャンヌを妻とすることを願いますか?」
「無論」
神父の進行のもと、宣誓をする。
「貴方は、この結婚が二人の愛によることを確信しますか?」
「当たり前だ」
神父の台詞が、少し変わっている。
本当に、俺に合わせてくれたらしい。
「では、後はあなた方に任せます」
任せろ。
まったく、さすがに緊張するな。
「ジャンヌ、俺はお前のことを愛している。たとえお前が先に逝こうとも、たとえどんなに惨めったらしい生き方になろうとも。だから、お前に誓おう」
一息吸い、
「死ぬまでなんて言わん。この身が朽ち果て消えた後でも、俺はお前のことを愛し続ける」
「………はい!」
ジャンヌの嬉しそうな、あと少しで泣いてしまいそうな顔。
ああ、この顔が見たかった。
「では、誓いのキスを」
二人で向き合う。
ジャンヌの顔にかかったベールをとり、その素顔をさらす。
「本当に、綺麗だ」
「………嬉しい」
ジャンヌが目を閉じ、お互いの唇が重なり合う。
と、誰もが思った時、
バンッ!
「ムロク大変だ!シャルル王にこの場所がばれた!!」
なんとも懐かしいアシルが、盛大に教会の扉を開けて侵入した。
空気読めってに。
「それどころじゃねっての!ここの領主がチクったらしい!軍隊が相当数来てるぞ!!」
「何でお前が来てんだよ?」
「斥候に志願したんだ!お前たちに知らせたくてな!てか俺も呼べよ!!」
「うるせぇ!オルレアン以降、お前の居場所がつかめなかったんだよ!!いつの間に軍になんぞいたんだお前は!?」
「オルレアンのドサクサだぁ!!」
「あの~?逃げなくてもよろしいのでしょうか?」
あ、そうだったなジル。
アシルと話してて忘れちまったよ。
「じゃ、行くか?ジャンヌ」
「………はい。……………あなた」
「よし、漲ってきた」
ドォンッ!!
教会の屋根に、無数の蛇を叩き込んで穴を開ける。
さてと、
「よっと」
「キャッ!」
ジャンヌを、俗に言うお姫様抱っこで抱えあげる。
後は出しっぱなしにしていた蛇を俺の体内に戻せば、
ギュルルルルルッッ!!
簡易エレベーターのできあがりっと。
「お姉ちゃん!ブーケ!ブーケ!」
下から聞こえる義妹の声に応え、ジャンヌは放り投げるようにブーケトスをする。
屋根に上がってから、下の様子がいまいち分からないが、どうやら義妹がブーケを取ったらしい。
よしよし。
後は、
「神父さんよーぉ!修理代はここの領主にツケといてくれや!!」
これで良し、と。
「さて、ジャンヌよ、どこに行こうか?」
「………その前に、することがあるのでは?」
「すること?何だ?」
「………もう。これですよ」
ちゅっ
「………まずは、あなたの故郷に行ってみたいです」
「……………ククッ!そうかい。じゃ、行こう」
こうして、誓いのキスはなされた。
二人の門出を祝うかのように、
カラーン、カラーン。
と、教会の鐘が天高く鳴っていた。
「あー、幸せだ」
鐘が鳴りました。
幸せを掴んだこの二人の未来には、何が待ち受けているのでしょうか。