唐突だが、俺は地味に世界史が好きだ。
いや、訂正しよう。
世界史を教えていたうちの高校の新任女教師が好きだった。
まあ、タイプ的にというだけの話ではあるが。
そんなんだったから、授業中は頑張った。
他の教師から嫌われるくらい頑張った。
友達から蔑まれるくらい頑張った。
でだ、その先生は百年戦争の辺りが好きだったわけだ。
俺はそのことを知ると、例のごとく頑張った。
結果、
先生にヒカれるくらいに詳しくなっていた。
うん。
相手はそこまで求めていなかったらしい。
普通にキモイって言われた。
そのことは置いてだ。
史実によると、ヘンリー5世が死んだのは1422年。
その7年後の今は1429年。
1429年、てぇと………………。
ジャンヌ・ダルクがオルレアンを解放する辺りじゃねえか!?
「質問4・今何月何日だ?!」
「ああ、それなら分かるぞ。3月4日だ」
オルレアン解放は4月29日~5月8日だったはず。
時間は大丈夫だな。
「質問5・ここはどこだ?」
「オルレアンだけど………」
奇跡か?!
最悪カンだけで動く覚悟をしたぞ!
ん?
いや、考えてみれば神の采配か。
いったいあの神は、何を思ってこの時代に俺を放り込んだ。
まあ、そんなことは、どうでもいい。
とにかく、これでとりあえずの指針は決まったな。
・しばらくこの土地にいること
・そのために職、もしくは安定した狩場を探すこと
・聖女と呼ばれた女を見物すること
・ジャンヌ・ダルクの処刑を阻止すること
・長期的には混沌化を止める手立てを考えること
・そもそも獣を御する訓練とかもすること
「じゃ、色々ありがとうね。俺、しばらくこの辺りにいるからさ。またね~」
「ん?ああ、いやいやこれくらい」
そう別れのあいさつをして、立ち去るいい人。
「て、身包み置いてけやぁっ!!」
「嫌だよ」
「お前から略奪できないと、とうとう盗賊失敗回数が三桁になっちまうんだよぉぉぉぉっっっ!!」
「それこそ俺の知ったこっちゃねえよ!?」
「頼むから奪われてくれ!!」
「ふざけんなぁっ!!」
こうして、盗賊と俺のコントは三日間続いた。
はい。
方針固めが始まったら、あっという間に終わりました。