1578年。
俺は今、南米のペルーにいた。
しかし、ヴラドとやり合ってから百年強。
世界もずいぶんと様変わりしたもんだ。
航海技術が発達し、欧州からこうして南米に来れるようにもなった。
人はこの時代を、大海賊時代と……………間違えた。
航海時代と呼ぶ。
誰も悪魔の実なんて食っとらんよなぁ。
「そこんとこどうなんだ?………なあ、『エル・ドラゴ』船長?」
「そんな人間も、おかしな木の実もありゃしないよ」
「それは残念だ」
俺がいる所を正確に言うならば、南米ペルーの洋上。
一隻の軍艦の船首。
そう、海賊女傑。
『フランシス・ドレイク』の船に乗っている。
…………完全に、歴史が型月遵守だな。
「まあしかし、南米に行きたいと思って密航した船が、かのエル・ドラゴ船長の船だったとはな」
え?
密航したのに、何で堂々としてるのかって?
バレた時に暴れたら、臨時の戦闘員として雇われた。
「………あんたにかの、とか船長、とか言われると、どうにも調子が狂うねぇ」
おい、どういう意味だこの女。
「………お前は年長者を敬えないのか?」
「あんたはそうは見えないし、そもそもそれができるなら、海賊なんてやってなかったさ」
そりゃそうだな。
「しかし、あんたも不思議な身体をしてるねぇ。……………気に入らない」
「黙れ享楽主義者。吸血鬼ボディだ阿呆め」
一夜で尽きる財を好むこいつとしては、俺の朽ちぬ身体が気に食わないのは分かる。
まあ、それで嫌われたら、こっちもやっていけないってもんだが。
「しかしまあ、この船上の景色ってやつも、あいつに見せたかったもんではあるが」
一口に船上といっても、船のサイズや場所、気候や季節による違いを見せたかったが。
………いや、このサイズの船が建造されるようになる前に、どっちにしろ寿命が来たか?
「………あんた、二言目には死んだ嫁さんのことを言うけど、いい加減吹っ切れないのかい?」
「吹っ切る?何を言ってるんだ。俺はあいつを引きずってなんぞいない」
「へえ?じゃあ、何だって言うんだい?」
「背負ってる」
「…………………………………」
あ、黙っちまったよこいつ。
あれか?
惚気すぎたか?
「………あんたの愛が、重すぎるだけさね」
正直、俺もそう思う。
しかし、それで俺たちが成立していたのもまた事実。
結局、いちゃついている本人たちにしてみれば、何だって良いわけなんだよね。
「ああ、それと一つ訂正させてもらうよ」
「んあ?何だ?」
こいつが何かを訂正するのか?
裏がありそうで、嫌なんだが。
「あんたが気に食わないって言ったのは、あんたの身体だけ。あんたのその生き方は、割と嫌いじゃないねぇ」
「お褒めに預かり、恐悦至極」
「あんたにそんな言い方は、似合っちゃいないよ」
分かってるさ。
だからやったんだ。
というわけで、EXTRAで出た女傑、『エル・ドラゴ』さんでした!