あれから時は流れ、1978年。
俺は今、魔法世界に居る。
「ほれ、龍種の丸焼きだ」
「わーい!ありがとうなのじゃ!」
俺の目の前で、めっちゃはしゃいでいる幼女(褐色角付き)。
ふむ。
龍種の丸焼きで大喜びとは、なかなか喜ばせがいがありそうだ。
この幼女と俺の出会いは、ほんの30分前となる。
まあ、ぶっちゃけて言うと、この幼女が龍種の棲む森の中に迷い込んで龍種に襲われたんだが、それを俺が捕食したというだけの話だ。
だが、まあ。
「誰がやると言った」
「なぬ?!」
日々の糧が欲しくば働け。
婆ちゃんの教えだ。
最近になって、ようやく守れてきた教えだが。
「まあいいか。ほれ、適当に食いな」
「わーい!」
子供に働けとは、それはそれで酷なもの。
考えてみれば、このぐらいの時、俺働いてなかったしね。
「しかし、拳と槍だけで龍種を倒すとは。お主、何者じゃ?」
「『李書文』最後の弟子」
「?」
ああ、うん。
そりゃ分からんよね。
ここ、魔法世界だし。
こんなにチビッ子いし。
「簡単に言えば、史上最強の弟子さ」
「その発言、問題ないかのう?!」
お、サンデー読んでるか。
あれ?
まだこの時代に、ケンイチは連載していないような。
まあ、(どうでも)いいか。
「ところでじゃ、お主その武をわらわのために使ってみんか?」
「却下」
なんで自分以外のために、使わにゃならんよ?
「護衛としてじゃから!」
「阿呆抜かせ」
「給金は弾むから!」
「もう一声」
「え?え~と、じゃあ、わらわを」
「この話は終わりだな」
「世界樹と、魔力供給の契約をさせてやろう!」
「その話乗った」
これで安定して、魔力が補給できる。
「しかし、何で魔力供給なんだ?」
「いや、魔法世界に住む者なら、誰でも食いつくと思って」
その判断、間違ってないぞ。
現に俺が食いついた。
そういうわけで、俺はヘラス帝国第三皇女『テオドラ・ バシレイア・ヘラス・ デ・ヴェスペリスジミア』の護衛となった。
まあ、任期は半年という契約だが。
しかし、名前が長い。
で、半年後。
「ほい。ロイヤルストレートフラッシュ」
「………ブタなのじゃ」
任期が満了するまで、後数時間。
それまでの時間を、俺が教えたカードで過ごす。
「むー!今度は、『ラッキーセブン』で勝負なのじゃ!」
「お前、さっきから負けっぱなしなのに、大丈夫か?」
この勝負には、お互いが用意したお菓子が賭けられている。
これまで何勝負か繰り返したが、俺の方には山が、テオドラの方には丘ができている。
ようするに、俺の一人勝ち状態だ。
「今度は勝てるのじゃ!」
「あー、はいはい」
『ラッキーセブン』とは、以前俺が即興で考えたゲームで、まず、トランプの山から7のカードをダイヤだけを残して抜き取る。
もちろん、ジョーカーは二枚使用だ。
後は適当にカードを並べて順番にめくり、その中からダイヤの7を見つけ出せれば勝ち。
というシンプルなゲーム。
まあ、面倒臭いのはここからで、カードはめくるだけで元に戻すから場の枚数とかに変化はないし、ジョーカーを引いたらカードをシャッフルする。
そして、ジョーカーも場に残り続ける悪質さ。
正直、思いついた過去の自分を殴りたくなるゲームだ。
ちなみに、なぜダイヤかというと、金を現していて賭けの象徴として丁度良かったからだ。
「じゃ、俺からで。…あぁ、はずれだ」
「次はわらわじゃ!…むぅ」
ま、そう簡単にはいかんよ。
で、もう契約が切れるという間際。
「これで、最後の引きじゃな」
「まあ、時間的にな」
「………これでわらわが引いたら、契約更新といかんか?」
「じゃあ、俺はこのカードを引くから、俺が引いたらお菓子総取りな」
正直、レートがおかしい賭けだ。
だが、たまにはこんなのもいいだろう。
「「せーのっ」」
~Sideテオドラ~
「………馬鹿じゃ」
あいつが去っていった窓を見る。
「……馬鹿じゃ」
賭けは、あいつの勝ちじゃった。
というか、あいつはイカサマをしていた。
最初から、ずっとダイヤの7を袖に隠していたのじゃ。
「…馬鹿」
わらわが、どんな想いであいつといたか。
「あの!馬鹿者ーーーッッッ!!!!」
わらわの叫びは城中に響き、何人もの使用人が驚いて声を上げたようじゃが、既に城からずいぶんと離れていた六禄にも届いたのじゃろうか?
「………だーれが馬鹿者だ。クソガキめ」
やっとでました原作キャラ。
エヴァに続いては、ヘラスの第三皇女テオドラでした。