あれから、ざっと一ヶ月強が経った。
「はい。運命の4月29日です」
「なにが運命かは知らんが、とりあえず身包みw「一ヶ月以上もクドイ」生活かかってんだよ!」
盗賊の家計なんて知らんがな。
「第一、盗賊になんぞなってからに、故郷の母ちゃんが泣いているぞ『アシル』」
「俺の故郷はここだ。それに、盗賊は爺さんの代からだ。前にも言っただろう『ムロク』」
「あ~、そういえばそうだったなぁ」
あ、『ムロク』は俺の名前ね。
漢字に直すと『六禄』。
こっちに来てから付け直した。
実際は前の名前でもよかったんだが、前の世界との決別の意味をこめて変えた。
ちなみに、前の名前は『柳田 正晴』。
まあ、そんなことは、どうでもいい。
「と、来たか?」
「ん~?おぉ!ムロクの言った通りになったな!」
森のはずれから、遠くに見える砂煙。
「ああ、聖女率いるフランス軍のお出ましだ」
歴史どおり過ぎて、思わず『ニィッ』と笑みが出る。
「おい、その顔やめろ。怖い」
「黙れ盗賊面」
「当たり前だバカヤロー」
アシルとは、この一ヶ月チョイでここまで軽口をたたける様になった。
こいつが腹を空かしたときに、ウサギをとっ捕まえて食わせたこともある。
逆に俺は調味料とかを貰ったりしたわけだが。
「………お前もう盗賊やめろよ」
「………他に職があればな」
世の中って世知辛い。
そうこうしている間に、だいぶ軍が近くまで来ていた。
「どれどれ?あの先頭で騎馬に跨ってるのがそうか?」
戦場に女なんて、他にいないだろうし。
そして、その顔がはっきりと(肉体のスペックのおかげで)見えたとき、
「………聖女、ねぇ」
他の者には顔を見せず、ただ、怯えた顔をした少女の顔が見えた。
「気にいらねぇなぁ」
周りの男どもは、いったい何をしてやがんだ?
女にあんな顔をさせないようにするのが、男の役目だろうが。
ふむ。
とりあえずここは、
「ちょっと出かけてくるわ」
「どうせ大丈夫だろうが、気をつけろよ。土産は期待している」
「盗賊がそんなもんを期待すんな」
アシルからもらった外套のフードを目深にかぶり、森を出る。
目指すはフランス軍陣。
聖女だろうがなんだろうが、女の泣きっ面なんざベッドの中以外で見たくねぇんだよ。
次回、特ににじファンからの皆さんはお楽しみに!