魔法世界の混沌   作:逸環

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saraさんのリクエストにお応えして、お約束のアシルの成り上がり記です。
まあ、2~3話でやると言っておきながら、アシルが成り上がるのを想像しきれなくて一話にまとまってしまいましたが、ご容赦ください。

では、どうぞ!


番外編的なの。
アシルの成り上がり記~どうしてこうなった~


どうしてこうなった。

 

 

あいつが嫁さんと一緒にこの国を出てから数ヶ月。

軍のお偉いさん方もピリピリしていたのが、徐々に緩和されてきた。

 

が、何でか知らんが、いまだに国王はあの二人を狙っている。

そのせいか、お偉いさん方の中でも、さらに上な人たちはピリピリしっぱなしだ。

このままだと、いつ他国にまで捜索の網を伸ばしてあの二人が捕まるかは分からない。

 

非力な俺だが、友達のために行動を起こしたい。

というわけで、

 

 

「さっさと成り上がるためには、どうしたら良いんでしょうね?先輩」

 

「俺に訊くか?それ」

 

 

まあ、答えられるようなら、30過ぎていつまでも一般兵卒なんかじゃあないだろうな。

 

 

「いやー、友達のことを考えると、成り上がらなきゃいけないんですよ。故郷のお袋にも楽させてあげたいし」

 

「まさか元盗賊の口から、そんなまともな話が出てくるとは」

 

「はったおすぞ」

 

 

そして、どこから俺が元盗賊だというネタを仕入れた。

 

 

 

 

 

 

 

さて、俺が成り上がるためにはいくつか必要なステップがある。

 

1,武功をあげる

2,上官に気に入られる

 

そして肝心な三つ目だが、

 

3,成り上がるために必要な椅子を空ける

 

カカカッ!

1と2はともかく、3は奪い取ってやるよ。

俺は、盗賊だからなぁ。

 

あ、元か。

 

 

 

 

 

 

で、戦場に来たわけだが、

 

 

「よっと」

 

「グァッ!」

 

「ほい」

 

「ギャァァァッ!!」

 

 

あの物理的に何も効かないムロクと短い間とはいえ一緒にいた俺からすれば、普通に剣が通用する兵なんて敵ではなかった。

そもそも、あいつそこら辺にあった枝で俺の攻撃を受け流したりしてたしね。

「やっぱりテツパイプの方がいい」とか言ってたけど。

 

………テツパイプって、なんだったんだろうか。

 

 

「グアアァァァッッ!!」

 

 

て、あ。

 

 

「敵将、討ち取ったりぃぃぃぃっっっ!!!」

 

 

考え事をしていたら、いつの間にか敵将を討ち取っていた。

 

 

 

 

 

「お前は何なんだ!」

 

「いや、何と言われましても………」

 

 

今回の功績で王と謁見することになり、扉を開けたら第一声がこれだよ。

しかし、うちの王様は随分と女っぽいな。

顔の骨格的には、完全に女の特徴が出てるし。

 

 

「あんなどこか遠くを見ているような眼で淡々と戦って!しまいには手柄首って!馬鹿か!?馬鹿なのか!?」

 

 

なんかすげぇ理不尽なことを言われてる。

て、こいつ喉仏もねえな。

ゆったりとした服のせいで分かり辛いけど、よく見たら胸もあるし。

 

て、ことは。

 

 

「ま、まあ、そんなお前にも今回の功績に免じてだな、お前に爵位と領地を「お前、女だろ」エドモン、処刑の準備をしろ」

 

「御意」

 

 

あれ?

墓穴掘った?

それも盛大に。

 

 

「ちょちょちょ!ちょっと待ってくれよ!」

 

「王に対して敬語なしか。表向きの罪状は不敬罪で決定だな」

 

「ちくしょおぉぉぉぉっっ!!」

 

 

掘っちゃったよ!

二度も盛大に墓穴を掘っちゃたよ!

俺を殺す口実を作っちゃったよ!

 

 

「………と、言いたいところだったんだがな」

 

「え?」

 

 

これは…、まさか………っ、

 

 

「それをしようとしたせいで英雄二人に逃げられてしまってな………」

 

「へ、へぇ?」

 

 

この俺にも………、

 

 

「一時期兵の士気もがた落ちしたし、もうやめにすることにしたんだ」

 

 

俺にも生存フラグが!?

 

 

「まあ、要するに飼い殺しにするというだけだが」

 

「…おぅっふ」

 

 

生存フラグは立っていても、どうやら別のロクでもないフラグまで立ったらしい。

 

 

「なに、君は今日のように、これからも武功を上げればいい。私はそれに対して、褒賞をしっかりと与える。無益な老害を消して、君のための椅子も空けよう。その代わり君は私の秘密を話さないし、私も君を殺しはしない」

 

 

どうだ?と問いかける王に、俺は返すべき答えを一つしか持っていなかった。

 

 

「………御意のままに」

 

 

ここで歯向かっても、良いことなんて一つもない。

 

 

 

 

 

それから数年が経ったある日のこと。

 

 

 

 

「いやー、まさか俺とお前がこうなるとはなぁ」

 

「ふふ。それは僕も同じ気持ちだ」

 

 

荘厳な協会の赤い絨毯の上で手を繋ぎ、二人並んで立つ。

目の前にいるのは、豪奢な法衣を着た神父だ。

 

 

「では、誓いのキスを」

 

 

神父の言葉に、お互い向き合う。

 

 

「幸せにしてくれよ?アシル国王様?」

 

「幸せにしてやんよ。シャルル女王様」

 

 

そして、お互いの顔が近づき、

 

 

「「「「「「「「ワアアァァァァァァッッッッ!!!!!!」」」」」」」」」

 

 

観衆の歓声の中、影は一つになった。

 

 

 

 

どうしてこうなった。

 

 

 

 




どうしてこうなったと言いつつも、幸せ絶頂のアベル国王。

というわけで、アシルの成り上がり記でした!
いかがでしたでしょうか。
本編ではどこまでもチョイ役な彼でしたが、本編で主人公が旅をしている間に、国王になってしまいました。
盗賊から国王への大幅すぎるクラスチェンジを遂げました。

やったね!

では、番外編はここまで。
次回からは日常編となります。

原作に入るのはいつの日か!?
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