なんか番外編がもう一つあった。
というわけで、どうぞ!
私の生涯は神の導きで始まり、あの男(ひと)との出会いで彩られました。
これは私、『ジャンヌ・ダルク』の死後のお話。
「………ここは?」
目を覚ますと、私は白百合の咲き誇る平原に居た。
おかしいですね。
私は確かに、彼の腕の中で死に、そして神の御許に居るはずなのに。
「うっ?!」
頭痛が襲い、頭の中をすさまじい量の情報が駆け巡る。
「あっああぁぁぁぁっっっ!!!」
痛い、痛い、痛い、痛い。
『世界』、『英霊』、『英霊の座』。
ありとあらゆる情報が、頭に詰め込まれる。
そして、それらが落ち着いた時、
「………そうですか。ここは、神の御許ではないのですね」
『英霊の座』。
それが今、私の居る場所の名前。
そして、私の置かれた状況を。
そう、理解した。
「………私は、待っていられるのですね」
頬を涙がつたう。
嬉しくて、仕方がない。
私の『座』は、他の英霊たちのものとは違い六禄さんの『座』と共有されているらしい。
ああ。
本当に、嬉しい。
「………そういえば、六禄さんは今、何をしているのでしょうか?」
私の死後、何年か経ってからどうにも六禄さんが気になり、遠見の魔法で見てみることにしました。
……………見えますかね?
結果から言えば、見えました。
ええ。
バッチリと見えましたとも。
「………浮気、ですか?」
赤毛の女に押し倒されて、キスをしている彼が。
「……………………」
……………………。
「……………………」
……………………。
「……………………………あ」
今、私しか想えないって。
………嬉しいです。
『世界』にアクセスして、彼のいる年代を調べたら1578年とのこと。
私が死んでから、もう百年は経っているのに想い続けていてくれるだなんて。
浮気だなんて疑って、ゴメンナサイ。
でも、心苦しくもありますね。
未だに彼は、私に囚われたままなんですから。
さらに数百年後。
「………格闘家に弟子入りですか」
彼ならば大丈夫でしょうが、あまり痛い思いはして欲しくないのですが。
て、あれ?
え?
師匠さん強すぎませんか?!
彼が吐血しましたよ?!
死にそうって言ってますよ?!
ちょっとおぉぉぉぉっっっっ?!
取り乱してからさらに数十年後。
「………子供、ですか」
可愛いものですね。
私たちの間には、結局授かれませんでしたが、あの子たちが六禄さんの虚ろを埋めてくれることを祈りましょう。
………欲しかったですね。
私たちの子供を。
神よ、どうかお願いです。
私の死した身はどうなってもかまいませんから、あの人たちに幸の大からんことを。
ああ、なんだか眠くなりました。
彼の夢を見れることを願いながら、眠るとしましょう。
「………おやすみなさい」
今はもう、届きはしない言葉。
それでも、口にしてしまう。
「ああ、おやすみ」
「!?」
思わず飛び起きる。
辺りを見渡す。
それでも、あるのは一面に広がる白百合だけ。
………………幻聴ですか。
「………おやすみなさい」
地に伏せ、目を閉じる。
頬が緩んで、笑みが止まらない。
そう、たとえ幻聴でもいい。
あなたの声が、聴けるのならば。
この話は、にじファンのときに初めてやった人気投票の時のですね。
一位になったキャラで番外編を書くと言ったら、主人公には一票も入らずジャンヌがぶっちぎりで一位になったのは良い思い出。
では、次回こそ日常編です!