書いちゃってたんだから仕方がない。
聖夜の前日。
クリスマス。
それは、家族は集まり、恋人たちは愛を育む日。
「ジングルベ~ル!ジングルベ~ル!」
「その歌を歌うのは、明日だからな小太郎」
まあ、今日はまだイブだがな。
水無月一家、ただ今クリスマスツリーの飾りつけ中。
「というか父さん。こういうのはもっと前にやっておくべきなんじゃないのか?」
「そうやで父様。一週間くらい前にすることやないん?」
「おぉう。娘たちの正論が、心に痛いぜ」
しょうがないじゃないか。
放浪期間が長すぎて、こういうイベントに疎くなっちまってんだから。
ぶっちゃけ、シャークティーちゃんがツリーの不在に気付かなかったら、絶対にクリスマスをスルーしてた自信があるぞ。
「いやいや。町はもう、クリスマス一色じゃないか」
「真名、心を読むな。しかし、基本的に教会(兼自宅)から離れない俺に、外の様子が分かるわけないだろう?」
「ほう、この間分体を飛ばして、私たちが学校で虐められていないか見てたじゃないか」
「………父様、そんなんしてたん?」
「…………………」
なぜ分かった?
圏境まで使って、ばれないようにしたというのに。
「父さん」
「何だ、真名?」
「私は、父さんを愛しているよ」
「俺もお前を愛してるぞ。真名」
絶対に、お互いの言ってる意味合いは違うだろうが。
て言うか、愛してるから圏境も見破れると言いたいのかお前は。
クイッ、クイッ
「ねーねー。とーたん、とーたん」
「ん?どうしたー小太郎?」
小太郎が、俺の服の裾を引っ張る。
「おほしさま、どーやっててっぺんにつけるんー?」
「あー、それな」
うちのクリスマスツリーは元から教会にあったものらしく、家庭サイズの中でも一番大きい天辺の星をつけるには脚立が必要なやつだ。
しかし脚立を持ってくるのも面倒。
「心配するな、小太郎」
がしっ
「え?父様、小太君に何しとるん?」
刹那が訊く。
見て分からないか?
小太郎の腹を掴み、投擲姿勢をとっているんだ。
「発射五秒前。四、三」
「え?ちょっと?」
「二、一」
「やめっ!」
「小太ロケット、発射!」
ブンッ!
「小太くうぅぅぅんッッッ!!!?」
刹那うるさい。
しかし小太郎よ。
泣き声一つあげないとは、あの年でずいぶんと豪胆な。
まあ、結果はうまいこと小太郎がツリーの天辺に乗っかり、無事星をつけることができた。
が、
「………とーたん。どーやっておりるん?」
それを考えてなかった。
「刹那、飛んで回収しとけ」
よし。
ここは刹那に任せよう。
「それはええけど、連れて来るときにもふもふしたり、ぺろぺろしたりしてもええ?」
「俺に実害がないならかまわん」
「待ってて!小太くーん!」
「え?!ちょッ?!せつなねえちゃん?!やめて!もふもふしないで!ぺろぺろはもっとやめてええぇぇぇぇっっっ!!!」
やれやれ。
刹那のブラコンにも、困ったもんだ。
いや、まったくもって本当に。
「父さん。クリスマスの晩は、恋人同士が愛を育む日だと聞いたんだけど?」
「ちょっとその男連れて来い」
うちの娘に手え出す奴は、世界樹の肥やしにしてやるから。
「………私の目の前に」
「ごめんな。父さん、死んだお母さん以外には興味がないんだ」
やれやれ。
真名のファザコンにも、困ったもんだ。
いや、まったくもって本当に。
まあ、なんにしろ準備は完了。
さあ、明日はクリスマス。
かの聖人の誕生を祝う日だ。
あれ?
うちの教会も、なんかしないとダメか?
本気を出せば誰よりも聖職者になれるのに、いまいち聖職者としての自覚が薄い主人公でした。