クリスマス当日の深夜0時だ。
さて、お父さんの義務を果たすとしよう。
ガチャッ
まずは最年少、小太郎の部屋からだ。
「なになに?」
ベッドの横、靴下の中に入ってた紙を読む。
【週刊少年ジャ○プ定期購読一生分に必要なお金】
いやにリアルだ。
と言うか、五歳児が定期購読を知ってたか。
そもそも、なぜ漢字がバリバリ書ける。
とりあえず、今後もジャ○プは買ってきてやろう。
俺も読みたいし。
次は刹那だ。
ガチャッ
「すー、すー」
よしよし。
ぐっすり寝てるな。
10歳にもなると、起きていてサンタの正体を暴こうとするからな。
さて、刹那の欲しい物は?
【小太君】
それはお前の努力しだいだ。
とりあえず、お父さんは反対しないでおく。
よし。
最後は真名だな。
ガチャッ
「ん………とう…さん………」
寝言を言っている。
大丈夫そうだ。
さて、真名の欲しい物は?
【ジャンヌ母さんに会ってみたい】
無理です。
約600年前に死んでます。
て言うか、三人揃ってボケ倒すかもと不安だった俺としては、まあ安心したよ。
しかし、どうしたものか。
おそらくは『英霊の座』に居るであろうジャンヌ。
一時的に精神をリンクさせて、『座』で面会くらいならできるか?
いや、無理か。
俺はまともな魔法は使えないし。
そもそもアインツベルンや遠坂、間桐とは違うしな。
「困ったもんだ」
真名の髪を手で梳きながら、思案する。
まったく。
自分の欲求に素直なところは、俺の子供らしいと言えばらしいが。
「しょうがない」
朝起きたら、あれを見せることで我慢してもらおう。
とりあえず今は、
「よいしょっと」
真名のベッドに潜り込む。
今晩は一緒に寝てやるから、それで我慢してくれ。
ギュッ、と真名が抱きついてくる。
この人肌が、心地良い。
「おやすみ、真名」
その日の朝。
真名が起きるちょっと前にベッドを抜け出した俺は、朝飯を作っていた。
「「「おはよー!」」」
「はい、おはよう」
子供たちの、元気な声が聞こえる。
父親になってから、それがどうにも嬉しい。
「あ、そうだ。真名ー」
「なんだい?父さん」
「後で、ちょっと見せたいもんがあんだけど」
とりあえず、まずは飯だ。
ちなみに、献立は五目炒飯と牛乳。
クリスマスに炒飯はどうかと思われるかもしれんが、朝飯だからいいだろう。
で、朝食後。
俺の自室にて。
どうせだから、全員に見てもらうことにした。
「ほらこれだ」
ずいぶんと久しぶりに出す、あいつの姿が唯一残ったもの。
「………これが、母さん」
「そうだ」
あいつと旅をしているときに、イタリア辺りで絵師に描いてもらった、二人が写った肖像画。
「あいつの姿が残った、俺の手元にあるもので唯一のもんだ」
絵に描かれた二人は、笑っている。
果たして今の俺は、キチンと笑えているのだろうか?
「かーさん、きれー」
「本当やね」
「むぅ」
………まあ、そんなことはどうでもいいか。
まずは、こいつらをちゃんと育てなくては。
ふと、窓の外に目を向ける。
「雪か」
空からは、関東では珍しく、雪が降ってきていた。
「あ、そうだ。あれをまだ言ってないじゃないか」
真名が、何かに気付く。
なんだ?
「「「メリー・クリスマス!!」」」
………ククッ。
「ああ、メリー・クリスマス」
今日は聖夜。
こんな日に、センチな気分は合わない。
今日は久しぶりに、外見年齢よろしく楽しもうか。
扉を開け、子供たちに外に出るよう促す。
正直、自分も自分で雪にワクワクしたりしている。
そして、扉を閉める直前、
「メリー・クリスマス。………ジャンヌ」
パタンッ
~Sideジャンヌ~
「………フフッ。メリー・クリスマス」
愛しきあなたに、この言葉を。