「神はこう言いました。【この身の肉はパンであり、血は葡萄酒である】、と」
本日は日曜日。
今は、朝のミサ真っ最中だ。
聖書を開いて壇上に立ち、説教をする。
「つまり、何が言いたいかというと」
シンッ、と静まり返った教会で、ただ俺の声だけが響く。
「神様って、アンパンマンっぽくない?」
ドザァッ!
と、全員がずっこける。
長椅子に座っているのに、器用なこった。
「もうっ!水無月神父!」
どうやら、またシャークティーちゃんに怒られるようだ。
まあ、そうなるだろうとは思っていたが。
「じゃ、真面目にやろうか?つまり、その御業を信じていれば、とりあえずの飯には困らないよ?っていうことだ」
「その喋りの、どこが真面目なんですか?!」
「真面目なツッコミ待ち」
「怒りますよ?」
もう、怒ってるくせに。
さて、ちゃんと真面目に説教したり、掃除やら何やらしてたらもう三時だ。
「ところで、床の掃除は雑巾がけなんですね?」
「これが一番綺麗になるし、足腰鍛えられるしね」
日常即ち鍛錬。
これ、師匠から教わったことの一つ。
と、そろそろ来るかな?
ピンポーンッ!
お、来た来た。
「おーい、真名ー!出てー!」
「はーい!」
トタトタと音を立てて、裏にある自宅の方の玄関へ向かう真名。
その微笑ましい姿を、シャークティーちゃんと一緒に眺める。
「子供って、良いよな」
「良いですねぇ」
あー、癒されるー。
で、真名に連れられて来たのは、
「おじゃましまーす」
「おー。よく来たな千雨ちゃん」
懺悔室の一件以来、よくうちに来るようになった千雨ちゃんだ。
ちなみに、学校のクラスは真名と一緒らしい。
「じゃ、千雨ちゃんも来し、行こうか」
「「「「はーい!」」」」
今日は、皆でスイーツパラダイスに行く予定だ。
本日の目標。
元は取る。
~Side真名~
今日は、千雨とシスター・シャークティも一緒に、皆でスイーツパラダイスに来た。
三日前、父さんがどこからかチラシを持ってきて、「今度の日曜半額サービスだってから、千雨ちゃんとシャークティーちゃんも誘って、皆で行くぞ」と言ったことがきっかけなんだが、
「千雨。私の父さんに、そんな熱っぽい視線を向けるな」
「はぁ?別に良いだろ、そのくらい」
良いわけがないだろう。
このちょろ眼鏡め。
父さんに優しい言葉をかけてもらったら、コロッと落ちたくせに。
いや、千雨なんかはどうでもいい。
それよりも、
「ん?どうもごした?ももごう腹もご一杯もごか?」
あなたのせいで、胸焼けがしそうなくらいです。
ああ、もう。
口の中に物を入れたまま喋るから、もごもご言ってるし。
「て言うか父さん。その惨状は何だ?」
「あ?」
父さんの前に積まれた、ケーキと皿の山。
空っぽの皿は非常に綺麗で、ケーキの乗った皿は、それはもう凄い量が乗っかっている。
なんと言うか、さすが甘いもの好き。
「水無月神父、貴方が暴食の大罪を犯してどうするんですか」
シスター・シャークティ-が、父さんにツッコミを入れる。
「知ってるか?かつて『マリー・アントワネット』が残したとされる言葉の、【パンがなければ、バター入りのお菓子を食べればいいのに】という言葉だが、当時のお菓子とは、高級なパンを指す言葉だったらしいぞ?」
「………ですから?」
「そして神はこう言った。【この身の肉はパンであり、血は葡萄酒である】、と」
………今朝の説教を、こんなところで利用するとは。
そう言いたいのか。
「は?」
「いや、だから」
「は?」
「えっ、と」
「は?」
「マジごめん!」
父さんの屁理屈は、シスター・シャークティーの威圧の前に敗北したようだ。
私と千雨はその光景を見て、お互いの手を組んで震えることしかできなかった。
「あーん」
「刹那姉ちゃん。俺、一人で食えるんやけど」
「いいから。あーん」
もう一つのテーブルでは、小太郎が刹那に、無理やり甘い空間を構築されていた。
羨ましい。
私も父さんとあーんしたいな。
聖職者なのにそう見えない。
そんな主人公でした。
姉弟なのに一線を見ない。
そんな刹那でした。