季節に合わせたかった………。
あれから1年が経ち、桜が一番咲き誇る季節になり、とうとうこの日が来た。
「父さん!早く早く!」
「そうやで!今日はうちらの卒業式なんやから、絶対に遅れたらあかん!」
そう、真名と刹那の卒業式だ。
「なんか、父ちゃん無駄に気合はいっとる」
「小太君の入学式の時なんか、大して変わらへんって言っとったんにな」
「阿呆、入学式と卒業式は違う」
「?何が違うんや?」
義務教育終了のカウントダウンが進む実感が違うとは、決して言うまい。
「お、タカミチじゃねえか」
「あ、水無月さん。こんにちは」
会場である小学校に着くと、入り口近くの喫煙所でタカミチが煙草を吸ってたから、声をかけた。
しかし、まだ若いはずなのに、何だこの渋メンは。
なぜこんなにも煙草が似合う。
「そういえば、明日菜ちゃんも今日だったか」
「そうなんですよ」
タカミチが保護者をやっている、『神楽坂 明日菜』。
うちの姉妹とタメで、確か『黄昏の姫巫女』とかいったか?
まあ、なんか重要なポジションに居た気がするが、どうでもいいだろう。
タカミチと同じベンチにどっかりと座り、空を見上げる。
「………親父になってから、もう7,8年経つんだよなぁ」
「………僕もですよ」
いや、お前は違うだろうよ。
なに空気に酔ってんだ。
しかしまあ、ジャンヌと死に別れて、世界中を旅してたら生まれたばっかの真名を拾って、その後刹那と小太郎を拾って、ちっとは親父らしくしようと思って就職して、毎日毎日家事やら子育てやら、夜泣きは酷いは寝小便はするわ、やたら風邪はひくわで、どいつもこいつも手はかかったが、
「…まあ、悪くはなかったな」
見上げた空は、蒼かった。
「『水無月 刹那』」
「はい」
刹那が呼ばれ、壇上に上がる。
「水無月 刹那、右に授与する」
証書を受け取り、壇上を後にする。
あ、なんか泣けてきた。
一人目でこれなんだから、真名の番になったらどうなってしまうのだろうか。
「『水無月 真名』」
「はい」
お、真名の番だ。
「水無月 真名、右に授与する」
真名が、両手で証書を受け取る。
その顔はやっぱり、少し緊張しているみたいだ。
そして涙が止まらない。
事前に三脚を用意しておいてよかった。
「父ちゃん、涙なんか出とらへんよ」
「男は人前で涙を見せちゃいけない。だから心の中で泣くんだ」
というか、お前今心読んだろ?
で、娘二人と合流してから家に帰るんだが、
「ふんふん♪」
「…真名、腕を組むのを止めろ」
「嫌だ」
「………………………………」
「ふんふん♪」
「…刹那姉ちゃん、腕組むの止めてくれへん?」
「嫌や」
「………………………………」
男二人と、女二人のテンションの差が著しいにも程があった。
まあ、とにかく今日は赤飯だ。
「ああ、そういえば言ってなかった」
「「え?」」
「卒業、おめでとう」
そして、生まれてきてくれて、ありがとう。
次回は登場人物プロフィールです。
そしてなんと!
なんとなんと!
その後は原作入りです!
やったね!
原作に入るまで60話以上かかっていました!