魔法世界の混沌   作:逸環

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宴会って、よく分かんないけど楽しいですよね。


酒と月。

なんだかんだでテストも無事に終わり、ネギの正規職員採用が決定した夜のこと。

 

 

「ネギの正規職員昇格祝い兼テストお疲れ様でしたパーティー!!」

 

「「「「「「イエーイ!」」」」」」

 

 

俺の音頭で、一気に盛り上がる面々。

いや、まあ、盛り上がらなさそうなメンバーには予め酒を飲ませておいたけどね。

ちなみにこの宴会のメンバーは、

 

俺、真名、刹那、小太郎、ネギ、シャークティーちゃん、美空、ココネ。

教会メンバーと+αだね。

 

ちなみに、千雨ちゃんは今日中にやりたいことがあると、誘ったんだが来なかった。

 

しかし、

 

 

「ココネは酒を飲んでも無口だな」

 

「…………………」

 

 

…返事が、返ってこない。

え?

何、このむなしいのは?

 

 

「ココネちゃーん?」

 

「…………………」

 

「あの、ココネさん?」

 

「…………………」

 

「…ココネエェェェェ………………」

 

「…………………ん」

 

「よし」

 

 

満足した。

ただただ、満足した。

 

満足ついでに、ふとネギの方に顔を向けると、

 

 

「シスターシャークティー。この後僕と二人だけで抜けませんか?最近、良い店を見つけたんですよ」

 

「え?い、いやあ、ちょっとそれは」

 

 

ちょい待てや。

 

 

「おいこら薬味小僧。お前勝手に何してる?」

 

「誰が薬味ですか。それに、見て分かりませんか?」

 

「マセたガキが背伸びをしている」

 

「否定できない絵面ですが、あえてそこは否定しておきます」

 

 

否定するなよ。

 

 

「と言うか、子供に口説かれるなんて思いませんでした」

 

「普通は思わないから安心していいぞ。シャークティーちゃん」

 

 

君は間違いなく間違っていない。

間違っているのはこの薬味小僧だから。

 

て、ん?

中学生たちと小太郎は?

 

 

「おい、美空。それは父さんのワインだぞ」

 

「ダイジョーブだって。バレないって」

 

 

真名と美空の声のする方向を見る。

そこには、俺の酒を勝手にあけて勝手に飲もうとしている美空(バカ)がいた。

 

ふむ。

とりあえず、圏境を使って美空の後ろにコッソリと回る。

 

 

「み・そ・ら♪」

 

「………は、はい?」

 

「そんなに酒が飲みたかったのか?」

 

「え、ええ。まあ、興味本位といいますかぁ…」

 

 

はっはっはっ。

まあ、若い身空ではそんなこともあるだろうさ。

未成年での飲酒は、俺はむしろ推奨している。

 

ちなみに、俺が始めて酒を飲んだのは幼稚園の頃だ。

だから、お前がどれだけ酒を飲もうとも、俺は決して咎めない。

 

だが、

 

 

「俺の酒に手を出して良いわけじゃあねえんだよおぉぉぉっっっ!!!!」

 

 

メキメキメキッ!!

 

 

「フギャアアアアァァァァッッッ!!!!??」

 

 

俺の五指が、盛大にヤバイ音を立てて美空の頭に食い込む。

どうにか脱出しようと暴れる美空だが、徐々にその力も弱まり、

 

 

ぷらん

 

 

と、死んだかのように脱力した。

 

はっ!

人の酒を勝手に飲もうとするからだ。

 

 

「………父さんが、もの凄く悪人面をしている」

 

 

その自覚はある。

 

その後、小太郎が刹那に拉致されている現場を見たがスルーしておいた。

大人の階段、好きに登るといいさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

で、その後数時間経ち、子供組が寝静まった後バルコニーでシャークティーちゃんと二人で飲みなおすことになった。

 

 

「子供たちも、すっかり夢の中みたいですね」

 

「ああ。まったく、はしゃぎ過ぎだろう」

 

 

なんで素面であそこまではしゃげるのだろうか?

あれか。

あれが若さってやつか?

 

 

「私は、もう10年近く経ってますからね」

 

「俺なんか、ざっと500年だぞ」

 

 

気がつけば、そんなにも年を取ってしまったな。

光陰矢の如しとは言うが、本当にアッという間だった。

 

 

「ま、今夜はそんなことは忘れて飲もう。それが俺達(おとな)の特権だ」

 

「私たちは、聖職者ですよ?あまり飲み過ぎないようにしなくては」

 

 

固いねえ。

 

 

「お互いに、今はカソックもシスター服も着てないんだ。気にすることはない」

 

 

職業やその他諸々は、服の上から引っ被るもんだ。

つまり、私服時の俺たちは聖職者の枠組みからは外れている……………はずだ。

 

 

「ハア、分かりました。今夜はお付き合いしますよ」

 

「ククッ。そうこないとな」

 

 

溜息とともに出た言葉に、俺は笑いながら返す。

 

 

「じゃ、乾杯だ」

 

「乾杯」

 

 

チンッ

 

 

という音とともに、グラスが重なる。

 

ふと上を見ると、夜空には町明かりの中とは思えないほど、大きな月が昇っていた。

 

 

「知ってるか?」

 

「何をですか?」

 

 

月で思い出した、一つのこと。

 

 

「ロマンチストには、月が他人よりもデカく視えるらしい」

 

「ふふっ。その話自体が、ロマンチックな話ですね」

 

「だな」

 

 

確かにそうだ。

 

 

「…私には、少し小さく見えますね」

 

「ククッ。シャークティーちゃんはリアリストか」

 

「………かも、しれませんね。私はいつも、後悔していますから」

 

 

それは初耳だな。

 

 

「…何に後悔してるんだ?」

 

 

聞くだけなら、聞こう。

 

 

「…いえ、これは私が解決しなくてはいけませんので」

 

「だよなぁ」

 

 

後悔することなんて、みんな後悔している奴が自分でどうにかしなくちゃいけないことばかりだ。

 

 

グラスを揚げ、月と重ねる。

酒に透けて見える月は、歪んでも綺麗なままだ。

 

 

 

 

 

 

 

ああ、ジャンヌ。

お前にも、この月は視えているのだろうか。

いや、それはないか。

 

この月は、俺にしか視えないのだから。

 

 

 

 

 

 




~Sideジャンヌ~

私には、あなたの視ている月は見えません。


「………でも、私が視ているこの月も、とてもとても大きいんですよ?」


ほら、この手が届いてしまいそうなくらいに。




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