春休みに入ったある日のこと。
近右衛門に呼ばれ学園長室に行くと、
「見合いをして欲しいのじゃが」
「見合いだぁ?」
「うむ。貴方と木乃香の見合いを「張り倒すぞ小僧」すいませんでした!!」
俺と木乃香ちゃんが見合いって、年齢差いくつあると思ってるんだよ。
500歳以上あるからな?
余裕でギネス記録更新だぞ。
「そもそもなんで見合い」
「…いや、木乃香の見合いが儂の趣味と言いますか、その………」
「なんで俺」
「よく知った人なら、木乃香も逃げないでくれるのではないかと思いまして……」
いつも逃げられてるのかよ。
てか、あの子まだ14だろ?
そんな歳で見合い薦められても、そりゃあ嫌だろう。
「結論。全面的にお前が悪い」
「とは言われましてものう。それはそうなんじゃが、可愛い孫娘の幸せを考えると………」
「俺も親だから気持ちは分かるけどさ、子供からしたらありがた迷惑もいいとこだろ」
「うぅむ」
近右衛門が呻いて頭を抱えたので、ほっとくことにしよう。
茶菓子の羊羹を一切れ口にいれる。
うむ。
美味い。
「でだ、こういうのはやっぱり、木乃香ちゃんが30過ぎても良い人が見つからなかった場合にするべきだと思うんだ」
「やはりそうなのかのう」
「ああ。だが、器量良し、正確良しの木乃香ちゃんがそうなるとは思えない」
「うむ。それはそうじゃ」
「しかしだ、ここで一つ懸念事項がある」
「む?なんですかの?」
本当に大事で重大なことなんだが、
「木乃香ちゃんが悪い男につかまらないとも限らない」
「!!」
そう。
それが一番の問題だ。
娘が選んだ男ならばと結婚を許して、娘が不幸になった例なんて腐るほどある。
「…小太郎君なら」
なにを良いアイディアが出た的な顔をしているんだ。
「残念だが刹那が狙って離さない」
「姉弟じゃろ?!」
しょうがないだろう。
ブラコンなんだから。
別にいいだろう。
血縁関係はないんだから。
「やはり、ネギ君かのう?」
「だからなんで見合いをさせる気でいるんだよ」
「悪い男につかまらないためじゃが?」
いや、そんなにまっすぐな眼で言われましても。
「よし、わかった。続きは飲み屋だ」
「行きましょう」
人んちの孫の見合いがどうとかなんて話、素面でしていられるか。
「明日菜君と付き合うからには、やはりそれなりの男性でないとダメだと思うんだよ」
「やっぱり娘はちゃんとした人じゃないと渡せないよね」
「うむ。その通りだ」
「でもさ、そんなこと言ったって娘が父親離れしないのも考え物だと思うよ?僕の家とかみたいに」
「明石も?うちも上の娘がさ」
「しかしのう、離れられても寂しいものがあるぞい」
「「「「「あー、うんうん」」」」」
飲み屋に行ったら、父親共が集まって飲んでいたから合流して飲んでるんだが、
「そういえば水無月さんって今フリーなんですよね?」
「そうだけど?あ、おねーさん生おかわりー!」
「はーい!」
「あ、僕もお願いしまーす!うちの裕奈をもらってくれませんか?」
「ひどい人選ミスだし、俺は死んだ嫁以外と連れ添う気はないしなぁ」
「そうですか…」
「弐集院君とこは、今小学生だったか?」
「そうですね。すいませーん!ナンコツくださーい!」
「うちもだが、やはり今の時期が一番可愛いね」
「それは明日菜君もそうだったけど、女の子は中学生に上がったら、またグッと可愛くなるよ」
「木乃香もじゃったのう」
「まあ」
「「「「「「結局うちの子が一番可愛いと思う」」」」」」
こんな感じの会話が、閉店間際まで延々と繰り返されることとなった。
父親たちが集まったら、こんなんになりました。
タカミチは父親ではない?
父親みたいなものには違いない。