出発された。
娘たちが中三になったある日の、まだ日も昇っていない早朝の玄関。
「いいか?未知の敵に襲撃されたとか、ネギにセクハラされたとか、マジでピンチな時に使えよ?」
「…父様。心配なのは分かるけど、修学旅行に超長距離召喚符(一枚55万円)を持たせるって………」
「分かった!最後の夜に使わせてもらうことにするよ!」
「真名?最後の夜って、父様喚んでどうする気なん?」
「女にしてもr「いってらっしゃーい」行ってきます」
「いってくるえー」
今日から4泊5日で、娘たちが修学旅行に行く。
ネギは教員の仕事があるから、もっと早くに出ている。
ちなみに、小太郎も今日から4泊5日で林間学校だ。
原作では『完全なる世界』の白髪とバトッたりするわけだから、お父さん心配。
だから近右衛門を強請って召喚符買っちゃったわけだ。
召喚の対象は俺に設定してあって、破れば発動のお手軽仕様。
いやー。
便利な世の中になったもんだよね。
そんなこんなで娘たちを送り出して、ボーっとしてたら小太郎が起きてきた。
「おはーよーさん」
「はい、おはよう」
小太郎が顔を洗ってくる内に、小太郎の分の朝飯を用意する。
炒飯に牛乳。
今日は炒飯の味付けに魚醤を使ってみた。
日本人には、この香りが懐かしい感じがして美味しくなる。
と、美味しんぼでやってた。
贅沢をするだけが美味しいご飯を作るわけではないのだよ。
「と、そんなわけで魚醤を入れてみたわけだがどうだろうか?」
「普通に美味いと思うで」
ならば良し。
小太郎も出た後、出勤(?)してきたシャークティーちゃんと一緒に教会の掃除をする。
その後は適当に神父としての職務をこなし、来週のミサで何を話すかを考える。
「んぁ~。…もう5時か」
いつもなら子供たちがとっくに帰っていて、騒がしくなる時間。
いつもと同じ広さのはずの家が、ガランとしているように感じる。
「………なんだかなぁ」
どうにも調子が狂う。
「暇だあぁぁぁ………」
「典型的な子供が出掛けてやることが何もなくなった親ですね」
「じゃかあしい」
うだーっとなった俺に、シャークティーちゃんが話しかけてくる。
しかし、暇なことには変わらない。
「あ、そうだ」
「どうされました?」
「カラオケ行こう」
暇つぶしの定番だよね。
で、カラオケ屋に着いた。
フリータイムで会員料金650円。
ドリンクバーとアイスが着いて、お一人様計1200円だ。
ここにフライドポテトとパーティーセットという、明らかに二人分より多い料理を頼んで、二人合計で3400円。
ちなみに、男としてと、年上としてのプライド的に俺が全部払うつもりではある。
「そういえば、水無月神父の歌っているところは見たことありませんでしたけども、実は上手だったりするのですか?」
「エルヴィス・プレスリーにロックを教えたのは俺だ」
「え?!」
学生時代にはバンドを組んでたしね。
ギターとボーカルをやってたよ。
「そうそう。シャークティーちゃん、相当歌が美味いらしいね。高校の時にはガールズバンドを組んでたとか」
「だ、誰からそれを?!」
「麻帆女中の教師」
「…その人の名前は?」
「瀬流彦」
「ほ、他に何か言ってましたか?」
「曲のチョイスがデスメタル」
「黒歴史いぃぃぃっっ!!」
まあ、ミッション系の学校を出たシスターの十八番がデスメタルなのは黒歴史だよなぁ。
「しかし、なぜにデスメタル」
「若かったんです!神様とか親とか教師とかに反発したかったんです!!」
もういいじゃないですか!
と、泣き崩れたシャークティーちゃんに、俺は何も言えなかった。
その二日後、部屋でベッドに転がり天井を見つめていると、俺の全身が光に包まれた。
意味するものは、召喚符が使用されたということ。
そして、
「俺の娘に手ぇ出すとは、良い度胸じゃねえか」
俺の娘が危機的状況にあるということだ。
『完全なる世界』を、『造物主』とやらを後悔させてやると誓い、召喚される。
が、
ドゴスッ
「オゴォッ!?」
横になったまま転送されたのが原因か、丁度出たとこに突き出ていた置石に頭を強打した。
能力のおかげで瘤一つないが、いきなりのことで驚いた。
で、どっちに
「アハハッ!『まーくん』は相変わらずだね」
「と、う…さん……」
後ろから聞こえる、弱った真名と『アイツ』の声。
「…はぁ………」
ため息をつき、後ろを向く。
そこには、ボロボロの真名と、
「久しぶりだな。『菫』」
「久しぶりだね。『まーくん』」
ここに存在しないはずの俺の幼馴染、『
伏線回収しました。
ちなみにですが、この小説は全体を通して大きな伏線がひとつあります。
誰か分かるかな?