「じゃあ僕は、すーちゃんのお婿さんになるね!」
「しかし、相変わらずお前はチビっこいな」
「ん~、成長期らしい成長期がなかったからね。第二次性徴はあったけど」
「それは知ってる」
いや、お前に初潮が来た時は、うちも混ざって赤飯でお祝いしたけどさ。
「で?お前が何でここにいる?」
「『完全なる世界』っていう組織の人に、自分たちに協力するならまーくんと暮らせるように取り計らうって言われて」
「お前は勉強ができたはずなのに、バカなのか」
「勉強はできないのに、変に頭の良いまーくんには言われたくないよ」
じゃかぁしい。
勉強なんて疲れるものに、頭を使ってられるか。
「父さん…この、女と……知り合い…なのか?」
「まーくんとはね、将来を誓い合った仲なんだよ!」
「父さん?」
「ガキのころの戯言だ。そして真名、しばらく黙って休んでろ」
そう言うと、口を閉ざして目を瞑る真名。
まあ、重傷なところも見た感じないし、ああやって休ませてればいいだろう。
しかし菫め。
こいつ、5歳の頃のことを話しやがった。
「じゃあ、問い2」
「まーくんの質問なら、私はなんでも答えるよ!ちなみに、ちゃんと処女です」
「知ったこっちゃない」
「ぶーぶー」
「豚かお前は」
こいつ、前はまともだったんだがなぁ。
まあ、そんなことはどうでもいい。
「じゃ、改めて問い2だ」
「何かな?」
「お前、いつ死んだ?」
「まーくんが死んじゃった次の日かな?まーくんが死んじゃって、ショックでフラフラしてたら私もトラックに轢かれちゃった」
「そうじゃない」
俺が訊きたいのは、前世でいつ死んだかではない。
「こっちでいつ死んだんだ?なあ、フランケンシュタイン?」
「アハハ!やっぱり分かっちゃうよね?」
頭にそんなゴツい
分かって当たり前だ。
「お前が『Fate/apocrypha』のフランケンシュタインに似ていると言ったのは俺だが、まさか本当になっちまうとはなぁ」
『メアリー・シェリー』作、『フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメテウス』ではただ怪物と呼称される存在だが、時の経過とともに怪物そのものを指す言葉となったそれ。
「で、いつだ?」
「死んでないよ」
……………?
フランケンシュタインは、死体を
「私は、死体でこの世界に来たから」
「おぉう」
なるほどねぇ。
「私が死んだ時にね、ほら、私のパパってお金を借りてたでしょう?そのかたにパパが私の死体を売っちゃったの」
「ほう」
確かに、あの親父さんならありうる。
事業に失敗してから、人が変わっちゃったからなぁ。
「で、その死体が神様の手に渡って「チョイ待て」なに?」
今、明らかにおかしな点があった。
「え?神の手に渡って?」
「うん。なんか死体を売られるって、神様的には凄く可哀想なことなんだって。だから死体を回収して、他の世界に送ることでどーこーとか言ってたよ?」
「どーこーの部分!」
そこが一番大事だろうがあぁっ!!
お前、高校の時には県下一の高校に行って、そこで一位だっただろう!?
なんでそんな大事なことを覚えてないの!?
「まあ、そんなことはどうでもいいでしょ?」
「よくねえよ!?」
「で、それでこの世界に私の死体が持ち込まれたわけなんだけど、埋葬されるはずだった私の死体は『ヴィクトル・フランケンシュタイン』に見つかって、晴れて『フランケンシュタインの怪物』が完成したというわけなのです!」
………頭を抱えるしかない。
フランケンシュタイン博士はバカだったのか?
「でさ、まーくん」
「なんだ?」
「私と結婚しよ!」
「俺は再婚しねえ」
久しぶりに会って、初めての要求がそれって、おい。
「再…婚?………結婚、してたの?私を捨てて?」
「いや、捨てたもクソも、そもそも、嫁は500年前に死んだぞ」
「じゃあ、私と結婚できるよね?なんでしてくれないの?私のことが嫌いなの?そんなことはないよね?結婚してくれるよね?約束したもんね?子供は何人が良いかなぁ?あ、そうか。私は死体だからまーくんの子供は産めないね。ごめんね、まーくん。でもでも、二人で愛し合えたらそれでいいよね?てゆーか良いって言え。そうだ、子供ができない代わりにペットを飼おうか?犬がいいかな?猫がいいかな?あ、でもまーくんの一番のペットは私だからね?お嫁さんでペットって、男の子は好きなんでしょ?さっそく明日から、ううん、今から私がご飯を作ってあげるね?まーくんの好きなから揚げだって、ハンバーグだって作ってあげる。そうそう。まーくんはお酒も好きだったから、お酒に合う物も作ってあげる。さ、今から教会に行こう?それとも、ここは京都だから神社がいいかな?まあ、結婚できるならどこでもいいよね?さあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあ」
「ことわる」
誰から何と言われようとも、誰からどう想われようとも、俺はもう、あいつしか愛せない。
「ア、アハハハハハハハハハハッッッ!!分かったよ、まーくん!まーくんがその前の奥さんに縛られているなら!!」
すっ
と、菫の手がかざされる。
その掌に見えたそれは、
プシッ!
パシュッ!
俺の身体に当たり、四散したそれは、
「………『茨の十字』?…てぇことは」
「まーくんを殺して、この『
エンバーミングだとぉっ?!
「まーくんの愛は、私にだけ向いていればいいんだよ?」
この小説中一番の長台詞が、ヤンデレによるものだという事実。