魔法世界の混沌   作:逸環

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なんで、なんでしんじゃったの?
じぶんいがいはどうでもよさそうなかんじのあなたが、なんでこどもをたすけたの?
ねえ?
なんでしんじゃったの?

このおもいを、まだ、まだ、まだ、まだ、まだ、つたえていなかったのに。







死ねない。

俯き、顔を上げられなくなる。

思考に浮かぶのは、ただただ後悔。

 

 

「あれ?どうしたのまーくん?」

 

 

俯いた俺に、何時の間にか近づいてきて俺の顔を覗き込む菫。

その目は相変わらず狂喜に染まっていたが、どこかあの頃の色が残っているようで。

 

 

「………すまない」

 

「?」

 

「………勝手に死んで、いなくなって、すまなかった」

 

 

首をかしげる菫に、謝ることしかできなかった。

しかし、菫の口から出たのは、

 

 

「…まーくんは、悪くないよ。私が死んじゃったのも、私が『人造人間』になったのも、私が狂っちゃたのも、全部全部私の不注意」

 

 

そう、俺の頬に両手を添えて言う菫。

それは俺を赦す言葉ではなく、俺に罪がないという言葉。

 

赦すべき罪すらない。

悪いのは、全部自分だったのだから、と。

確かにそうなんだろう。

 

 

「でもな、それでも俺は、俺を赦せねえんだよ」

 

 

自分が死んだせいで、こいつは死んだんだ。

だったら、俺が俺を赦すのはお門違いだ。

 

 

「じゃあ、私のために死んでくれるの?」

 

「いや、それは無理だ」

 

 

それをすることは、俺にはできない。

なにせ、今は三人の子持ちだ。

 

それに、あいつとの約束もあることだしな。

 

 

「じゃあ、私のために殺されて?」

 

「嫌なこった」

 

「ふぅーん」

 

 

つまらなそうに頬を膨らます。

それがどうにも、昔のこいつの姿とダブる。

 

 

「ねえ?まーくんは、生まれ変わって幸せなの?」

 

 

随分と唐突な質問だが、簡単に答えられるな。

 

 

「まあな。お前は?」

 

「まーくんと逢えただけで幸せです!」

 

 

そう言いながら、目をチカチカさせる。

って、点滅光を見せて催眠状態にする『光彩点滅催眠(フラッシュポイントヒュプノス)』かよ。

こいつ、昔からだけど結構強かだったなぁ。

 

 

「が、甘い」

 

 

ゴドッ!

 

 

「ふみゅっ!?」

 

 

身長差を生かした頭突きを行い、強制的に催眠を中止させ、ついでに衝撃でかかったであろう催眠を解く。

さて、このまま至近距離にいたら、何かをされた時に対処しにくいし、少し離れるか。

 

そう思い一度距離をとろうとした時、

 

 

バチィッ!

 

 

「?!」

 

 

聞こえてきたショート音。

そして、

 

 

ゴッ!

 

 

「グゥッ?!」

 

 

いきなり眼前に現れた、白い巨塊。

それにぶち当てられ吹き飛ばされる。

 

俺を吹き飛ばしたそれは、

 

 

「アハハハハ!『茨の十字』や圧縮空気で無理なら、破壊力そのもので行くよ!」

 

 

菫の右腕を突き破って現れた、巨大な骨の腕だった。

しかも帯電していることを考えると、同時にガルヴァーニ電流の操作によって速度を上げ、なおかつ威力も上げているらしい。

 

まったく、やっかいなことだ。

 

 

 

 

 




はい。
『人造人間』としての力をフル活用する菫でした。
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