「…よく北極まで着いて来れたね」
「君に逢うためなら、当然だ。さあ、帰ろう。僕の花嫁!!」
「…ごめんなさい。私の花婿は、何年も、何十年も、死ぬ前から決まっているんです。博士」
「アハハハハハハハッ!!!」
「ったく。ヤンデレはノーサンキューだっての」
巨大な骨の拳が、何度も俺に向かって振られる。
皮膚も何もない、クッション皆無の拳は正直さすがにキツイ。
一瞬、チラッと師匠を思い出したからな。
「ねぇ?女の子に殴られるのって、どんな気持ち?」
「二股バレて、両方からひっぱたかれた時より最悪だ」
いや、マジで。
しかし、運動神経特化、及びに筋機能特化により底上げされた速さで繰り出される拳。
その気になれば雷と等速で動けるその性能に偽りはなく、ぶっちゃけ避けるので精一杯。
しかも、さっきから『圏境』を使っているんだが、視界に入ったものを視たままに映す『人造人間』の、それも感覚特化の前では意味がないようだ。
まったく、面倒臭すぎる。
徐々に速度を上げているのか、だんだん回避しにくくなってきたし。
そう、思った瞬間。
バチィッ!!
「ウオァッ!?」
「アハッ!」
拳を避けた通り過ぎ様に、一気に放たれた放電により感電させられる。
さすがにこの身体でも、感電によるショック反応は消せなかったか。
身体が痺れて動かん。
そして、
ガシッ
………まさか、顔だけ出して全身丸々握られる日が来るとは思わなかった。
「500とちょっと生きてきたが、こんな日が来るとは思わなかったぞ」
「父さん、サバを読まないでくれ。そろそろ六百歳になるって、このあいだ言ってたじゃないか」
娘からの裏切り。
真名、後でアイアンクローな。
「アハハッ!でも、私もこんな日が来るとは思わなかったよ」
「思えたら怖えよ」
しかし、この状況はどうしたものやら。
だんだん握る力が強くなって、いつグチャッ!といってもおかしくない状況なんだが。
あれ?
俺の身体って、『十二の試練』でランクB以下の攻撃は通用しないはずだが?
そういえば、『
あれで召喚した海魔で攻撃されたらダメージを食らうのか、はたまた宝具そのもので殴って始めてダメージとなるのかは定かではないが。
まあ、そんなことはどうでもいい。
今はこの状況をどうにかせねば。
少なからず、こいつの生身による攻撃はAランク以上の宝具レベルなのは間違いない。
宝具というものは、『人間の幻想を骨子に作り上げられた武装』のことを指す。
そして、こいつは『フランケンシュタイン博士』によって創造(つく)られたオリジナルの『フランケンシュタインの怪物』。
その認知度は『世界三大怪物』の枠に入るほど。
子供でも知っているそれは、下手をすれば『約束された勝利の剣』よりも認知度が高い。
つまり、
「『フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメテウス』という幻想と、人々の想いで強化された、科学によって創造(う)み出された擬似宝具。それがお前の身体だ」
「アハハッ!私は分からないけど、まーくんは何でそう思ったのかな?」
「こればっかりは教えられんなぁ」
俺は秘密主義なんだ。
「教えてよ」
「グッ」
ギリッ
と、俺を握る力が強くなる。
「私はまーくんのことを何でも知りたいの。かわりに私のことも何でも教えてあげるし、なんでもしてあげる。だからさ、まーくんのこと、教えて」
そう言って、握る力を強くする菫。
これは、しかたないか?
「じゃあ、一つだけ」
そう言うと、喜色満面といった感じの表情を浮かべる。
「俺は吸血鬼だ」
その言葉と同時に解放され、菫に襲い掛かる分体。
「キャアッ?!」
菫が怯んだことにより拘束から逃れられる。
が、
「「「「「「「「キシャアアァァッッッ!!!!」」」」」」」」
即座に口から『
こいつ、手札が多すぎるだろ。
これまでにも少なからず、骨格機能、呼吸機能、消化機能、筋肉機能、感覚機能、循環機能、運動神経機能の能力を使っているぞ。
まあしかし、これで『世界三大怪物』の内二体が揃い踏みだ。
「『フランケンシュタイン』と『吸血鬼』。お互いに人外の怪物同士、いい加減決着といこう」
「アハッ!いいね」
菫の巨大な白骨の腕が縮み、骨が皮膚の中に戻る。
あ、今皮膚機能使ったな。
皮膚がくっつくの早すぎるし。
「筋ポンプ強化、心拍数、血圧増加、血中カルシウム濃度増加、噴出孔収縮、感覚機能特化による捕捉力強化、ガルヴァーニ電流増幅、消化機能低下による血管内血液量増加」
うおぅ。
何を言ってるのか分からんが、なんとなく『茨の十字』を最大威力でぶちかます気なのは分かった。
だったら俺は槍を出して、と。
「いくぞぉっ!!」
槍を構え、一気に駆け出す。
「アハハハッ!全部受け止めてあげるよ!!」
菫が右手を構える。
「『
命を奪う、命の源が放たれた。
ヤンデレが加速してとまらない。
それと、この小説の主人公がサーヴァントとなり、第四次聖杯戦争を戦う『Fate/chaos』を連載し始めました。
そちらも合わせて、お楽しみください!