気持ち的には残機が一機減った絶望の日から数日後。
もうちょっと具体的に言うと、ネギが図書館島の地下で夕映ちゃんに魔法バレしてドラゴンから逃げ帰ってから、さらに一週間程度経った後。
帰りが遅い刹那のツイッターを見たら、とんでもない文章が書かれていた。
「弟と弟みたいのがが紳士にボコられてるなう?!」
それはツイッターで流すことなのか?!
そしてお前は助けろよ!
と、ん?
新しいツイートがきたな。
なになに?
「うちも友達と一緒に捕まったなう?!」
何でお前そんな状況なのに、携帯いじる程度には余裕なの?!
て、ん?
確かこの文章と同じ状況が、原作にあったような気が……………?
……ああ!
思い出したぞ!
悪魔で紳士な石化野郎、
確かスライム三匹も一緒で、水の牢獄にドボンだったか?
ふむ。
つまりだ。
「五体バラバラ世界樹の下コース決定だな」
俺の子供たちに手を出した報いは、受けてもらおう。
………そういえば、真名はどこだ?
~SIDE真名~
「ココネ?何を読んでるんだい?」
「…ん」
寮のココネの部屋に遊びに来たら、ココネが何かを読んでいた。
よく分からないが、気になったそれを見してもらう。
「なっ?!」
男と男がキスをしているだとぉっ?!
~SIDE主人公~
まあ、真名は原作でもあの時は出ていなかったし、大丈夫だろう。
それよりも今は刹那と小太郎だ。
さすがに、まだあいつらに爵位持ちの悪魔はきついだろう。
刹那のツイッターを、最後にもう一度確認しておく。
【今度は紳士をフルボッコなう】
どうやらネギが暴走したようだ。
これは早いとこ行かないとマズいな。
~SIDEヘルマン~
「アアアアァァァァァァッッッッ!!!」
水月、顎、胸、胃、肝臓、脊椎、顔面、眼球、太腿、脛、後頭部、金的、頸、咽喉、米神、眉間。
恐ろしい程的確に、私の急所を狙い攻撃してくるネギ君。
私はそれに対して、防御するのに手一杯だ。
魔力が暴走して理性がトンでいるはずなのに、何故こうも的確に攻撃できるのだ。
「オオォォアアァァァァアアァアァアァァァァッッッ!!!!」
「クッ!『悪魔パンチ』!!」
咆哮によりできた一瞬の隙を突き、拳を放つ。
が、
「俺を忘れちゃ嫌やで。『
「ヌグァッ?!」
後ろから体当たりのような攻撃をくらって吹き飛ばされ、それも逸らされてしまう。
しかも彼は、つい先ほどまで動けなかったはず!
なのにこの威力、どういうことだ!?
「へっへっへ。勝つためなら何でもやるのが『水無月家』や。さっきまで動けなかったのは、あんたが隙を見せるまで待つための
「な?!」
だとしても、私の攻撃をあれほど受けてまだ動けるとは、どれだけ頑丈なんだ?!
「ほら、こっち見ててええんか?」
「ガアアァァァッッ!!」
「グォッ?!」
小太郎君の攻撃と話により、完全に注意が散漫していた私の後頭部に、ネギ君の肘が入る。
その威力により、そのまま地面に叩きつけられてしまう。
いかん!
このままでは身体が動けなくなり再封印されてしまう!
「………
………なに?
今のは、古代語魔法?
「
「お。ネギ、意識戻ったんか」
古代語魔法?
意識が戻った?
つまりネギ君は今、詠唱している最中の魔法使いは!
「無防備だな!『石化光線』!」
振り向きざま、私の指から放たれる魔法。
それはまっすぐにネギ君の無防備な胸へと進み、
「それってさあ、葉っぱ一枚に中ったらそこで効果終了やよね?」
ネギ君と光線の間に入った、小太郎君の投げた木の葉一枚により止められてしまった。
どうやったら、木の葉をあんなにまっすぐ投げられたのかね?
「
そんなことを考えていたら、最後の詠唱をさせてしまったらしい。
ネギ君の手では、膨大な魔力が最後の一言で形を成されるのを待っている。
「なるほど。それが君が血の滲む思いで手に入れた、古代語魔法か」
あの日から君は、努力を重ねたのだな。
その魔法は、大人の魔法使いでも使える者は少ないというのに。
才能だけでは、この歳でここまでにはならなかっただろう。
「やるがいいさ。そのために覚えた魔法だろう?」
君にならば、殺されてもかまわない。
それだけのことはしたし、君にはそれを成すための力も、資格もある。
末期の瞬間を待つ私に対して、ネギ君は、
「………いえ。僕は、あなたを殺しません」
「…なに?」
そう言ったネギ君の手に集まっていた魔力が、霧散する。
この少年は、何を言っているんだ?
「それは、殺したくないとか、そんな甘い理由からかね?」
「違います。6年前も今も、貴方は使われただけ。それに」
「…それに?」
「貴方はそれほど悪い人には見えませんから」
………フハハッ。
なるほど。
『悪い人には見えないから』、か。
「本当に悪い人なのかもしれんぞ?なにせ悪魔だからな」
「それでも僕は、貴方を殺しません」
それは、確固たる意思を持った眼。
まさに、『英雄』となる者の眼と言えよう。
「君はいいのか?」
「俺はネギがええなら、それでええよ。俺はあんたを殺せへんし」
小太郎君にも確認するが、結論は同じらしい。
「そうか。では、またいつか会おう。その時までにその拳、しっかりと磨いておきたまえ」
言いたいことを全て言い、目を閉じる。
身体がこの世界から消え、私の世界へと帰る感覚。
私は、この世界から消えた。
~Sideネギ~
次に会った時には、魔力の暴走なんて不確かなものの入る余地なんてない、本当の勝利を手に入れてみせる。
それが、ヘルマンさんに対する礼儀なんだと思う。
………ところで、千鶴さんたちはどうしよう。
~Side小太郎~
ネギも強うなったな~。
あの短期間であれだけできるって、こいつどんだけ天才で、父ちゃんどんだけ教えるのうまいねん。
………ところで、さっきからこっちを見てる刹那姉ちゃんはどうしよう。
~Side主人公~
現場に来たはいいが、俺の出番はなかった。
いや、子供の成長を考えたら良いことなんだが。
とりあえず、刹那のツイッターを確認してみる。
【倒した敵を見逃す弟ハアハア】
………本当に、あのバカはどうしよう。
と、ん?
真名からメールだと?
なになに。
【私は腐れなかった】
なんとなく言いたいことは分かった。
だが、それを俺に教えてどうする。
バトルは書くのが難しい………。
今回は珍しく主人公が戦わない話でした。
最初から最後まで、娘のツイッターを見ていただけという。
ちなみに、ツイッターがサービスを開始したのは2006年からで、この小説は現時点では2003年ですが、そこには触れない方向でお願いします。