「ふぃー。イギリスから日本まで、ずいぶんと長いことかかったぜ」
だがこれも、大恩ある兄貴のことを思えばこそ。
今オレっちは、道端で聞いた情報によると兄貴が居候しているという教会の庭にいた。
「手土産をたくさん持って、今行きますぜ!ネギの兄貴!」
オレっちの名前は『アルベール・カモミール』。
由緒正しき、誇りあるオコジョ妖精!
「ほう?手土産とはその手に掴んだ、干してあった私の勝負下着(黒のスケスケ)のことかな?」
兄貴、どうやら今生で会うことはもうできそうにありませんや。
オレっちの後ろには今、この世に存在してはいけない何かがいます。
「て、あれ?カモ君?!真名さん!そのオコジョ妖精は僕の友達なんです!」
おぉ!
この声はネギの兄貴!
「身元は僕が保証するので、その今にも振り下ろしそうな拳を解いてください!」
兄貴ぃぃぃっっ!!
あんた今、凄く輝いてるよぉぉぉぉっっっ!!
「そんなことは、どうでもいい」
「…僕は………無力だ……………」
そしてその輝きは、一瞬にしてくすんでしまったようだ。
「おい、どうした?」
「父さん」
おぉ!
『何か』の父親が来た!?
これは助かったか!?
「このオコジョ妖精が、私の勝負下着を盗もうとしたんだ」
「誰のための勝負下着かはあえて訊かんが、判決。『
後ろを向けないから見えないのに、なぜかは分からないが親指を下に向けられた気がした。
チ、チクショウッ!
「まだ裸エプロンを堪能しきてっないのにぃぃぃぃっっ!!」
「む?」
「え?」
「おい」
おっと。
死の間際になって、魂の慟哭が出ちまったぜ。
これは、さらにオレっちの残りの時間を、減らすことになっちまったかな?
「お前、ちょっと来い」
「おっ?!」
むんず、と胴体を掴まれ、どこかに連れて行かれる。
「ちょっ?!父さん?!」
「あ、僕も行きます!」
ネギの兄貴も、それについて来る。
それを確認すると、『何か』を視認しないように目をつむり、運ばれる。
あれを見てしまったら、色々と終わる気がしてならない。
~Side主人公~
原作にも出てきた、不届き千万なオコジョをふん捕まえて、ネギと一緒に自室に入れる。
さて、ひとまず殺されないように真名の手から離したわけだが、
「俺としては、基本に戻っての裸ワイシャツがいいと思うんだが」
まずはこの問題から片付けてしまおう。
「はい!僕の中では、最近裸スーツが熱いです!」
「いやいや兄貴たち。ここは裸エプロンですぜ」
「何を言っているんだお前たち。男物の大きいワイシャツに身を包むことで、大事な場所を表面的には隠せている安心感。しかし、少しでも汗をかけば簡単に透けるし、下を隠すものは何もないと言う羞恥心から来るエロチシズム。最高じゃないか」
「本来は素肌に着ることのないスーツを直接素肌の上に着ることで生まれるギャップ。さらにスーツゆえに大きく開いた胸元から見える二つの果実。最高じゃないですか」
「それ言うならお二方。前は隠れているのに、後ろは丸見えという日常生活の中の非日常。いつでもいいよと言わんばかりのその無防備な背中。最高じゃねえですか」
結論。
「「「全部最高」」」」
やっぱりそうなるよね。
~Side真名~
父さんがオコジョとネギと一緒に部屋に入ったため、扉に耳を当てて聞き耳をたてている。
「なるほど。父さんは裸ワイシャツが好きなのか」
これはいいことを知った。
早速今晩試してみよう。
~Side刹那~
小太君と一緒に窓の下に隠れ、中の様子を窺う。
それにしてもや、この会話の内容、
「小太君はどんなのが好きなんや?」
「え?言わなきゃいかんの?」
「言わなきゃダメや」
ここで小太君との、より充実した夜の生活ができるかどうかがかかってくるんや。
「………腋巫女」
うちの弟は、結構マニアックな趣味をもっとったらしい。
~Side主人公~
「ところで、これはなんだ?」
カモからある程度話を聞いた後、持参した風呂敷の中に入っていたビンの中身が気になったので訊いてみる。
パッと見は飴玉みたいで、それが三種類ある。
「あー、それだったら説明抜きにして、食っちゃってくだせえ」
「ん?そうか」
とりあえず、それぞれのビンから一つづつ取り出し、たまたま利き手に乗った二個を一気に口に入れる。
すると、
ボウンッ
「うわっ?!何この煙?!」
「落ち着くんだ兄貴!この煙は何の問題もない!」
突然現れた煙に驚くネギと、それを落ち着かせようとするカモ。
そして、煙が晴れると、
「ロリ父さん来たー---!!」
ああ、うん。
扉を開けて乱入してきた真名の発言で、どういう状況かは分かった。
今飲んだのは、年齢詐称薬と性別詐称薬だな。
とりあえず硝子に映った自分を見てみる。
………身長が低すぎて、そもそも映らない。
となると、だ。
「真名ー、鏡貸して」
「はい」
ドンッ
何故姿見が出てくる。
お前今、手ブラだったはずなのに。
「まあ、そんなことは、どうでもいい」
どれどれ?
ふむ。
一言で言うなら、ロリ可愛いな。
元の身体と同じ黒髪に、パッチリとした目。
目を細めると、どことなく妖艶に見えるから不思議。
「すいません。襲っていいですか?」
「いいわけねえだろうが、この薬味小僧」
元が男でも見境なしか。
「父さん。襲うぞ」
「宣言?!ダメに決まってるだろうが!!」
俺の娘は、俺だったらどんな状態でもいいのか?!
「ロリな父さんなら、筋力も落ちてヤリたい放題できるはず!」
「最低だからな!その思考!!」
「大丈夫。痛いのは最初だけだ」
「問題はそこにはないぞ?!」
俺が何を言っても、鼻息を荒くし迫ってくるだけの真名。
しょうがない。
「てい」
ビシッ
「あうっ」
真名の首筋に一撃を入れ、気絶させる。
これで俺の身の安全は守られるはずだ。
~Side小太郎~
うちにオコジョの家族ができた翌日のこと。
ひたすらに廊下を走る、走る、走る。
なぜなら、
「ぎゃああぁぁぁぁぁっっっ!!」
「待つんや小太君!!」
飴玉みたいなのが入ったビンを持った刹那姉ちゃんが、追いかけてくるからや。
待ったら年齢詐称薬いうのを飲まされると知ってて、誰が待つかいな!
いや、別に薬を飲むのはええんや。
問題は、
「逃げる小太君ハアハア」
追いかけてくる姉ちゃんが変態ってことや。
今日も俺の貞操が危ない。
はい。
真名が珍しく変態でした。
性別詐称薬は、年齢詐称薬があるならこれもあるだろうということで思いついたものです。
効果は単純。
飲んだら性別が外見だけ変わります。
所詮幻術と言ってしまえばそれまでですが。
ところで、ロリ主人公の需要はあるのだろうか?