「ふふふ、驚いたじゃろう。さあ、いつまでもそんなとこに突っ立ってないで、妾をお前の屋敷に迎え入r『バタンッ』おい」
………とうとう俺もボケてきたか?
ここにはいないはずの、角の生えた褐色美人が見えたんだが。
ああ、酔いが回って、幻覚が見えたんだな?
「おい、入れるのじゃ六禄!おい!この馬鹿者!」
どうやら幻聴まで聞こえてきたようだ。
基本的に酔えない俺だが、今日は随分と酔っているらしい。
「…ふふふ。お主がそう来るのなら、妾にも考えがあるぞ?」
幻覚が何かほざき始めた。
まったく、幻覚が何をしようと、無駄だと言うのに。
「ごめんなさいぃっ!妾が悪かったですぅっ!悪いとこ全部直すし、何でもしますうっ!だから捨てないでぇぇぇっっ!!!」
「入れバカ野郎!!」
扉を開け、とんでもないことを
「お前何してくれてんの?!」
これで明日からご近所さんに、また悪い噂が立つじゃねえか!!
真名のせいで、一時期娘に手を出した最低の父親とか思われたことあるんだからな!?
言っておくけど、俺は嫁が死んでから女性と関係を持ったことは一度もないからな?!
「ふふふ。どうじゃ!妾の秘策は!!」
「殺したくなった」
「え?殺したいほど愛してるじゃと!?」
「お前本気で帰れ」
何その嫌なポジティブシンキング。
というかこいつ、二十年でバカに磨きがかかってやがる。
とりあえず、さっきまで飲んでいた居間に通す。
「何しにヘラスの第三皇女様がこんなとこまで来たんだ?」
「お主に会いに決まっとるじゃろうが」
「もう一度言う。帰れ」
バリバリのプライベートじゃねえか。
公務ならともかく、プライベートならこの時間に外出はしちゃいかんだろうよ。
こんなバカでも皇女だぞ。
「そもそもお前、護衛はどうした」
「妾の護衛は、今も昔もお主だけじゃ」
「現職の連中に今すぐ謝りに行って来い」
俺はもう辞職してるからな。
雇用契約の更新をしないで。
「あ、そうじゃ。携帯のアドレスと電話番号教えてくれぬか?」
「何でお前が携帯持ってんの?!」
「父上に頼んだら、盗聴その他一切を寄せ付けない超高セキリュティのを用意してくれたぞ?魔法世界と旧世界ですら繋がる高性能じゃ」
………絶対それ、GPS搭載してるな。
魔法世界で使えるかはともかくとして。
まあ、確実にこの場所にいることは、分かっているんだろう。
「最近はツイッターも始めたのじゃ」
「ちょっと待て皇族」
いいのか?
それでいいのか皇族?
「ほれ、赤外線は使える機種じゃよな?」
「…いや、そうだけどさ」
「じゃあ、こっちが受信をするから、そっちから送るのじゃ」
なぜこいつは、俺がアドレスを教えると信じきっているのだろうか。
いや、別に教えてもかまわないけども。
「ほれ」
「…お、来たのじゃ来たのじゃ」
「五分に一回のメールとかやめろよ」
「せんわ!三十分に一回じゃ!」
「それでも充分多いぞ?」
「冗談じゃ。妾とて常識は弁えておる」
それならいいんだが。
「さあ、今度は妾から送るんじゃ」
「はいはい」
携帯を差し出し、受信する。
画面に映る名前は、
「名前と苗字だけになってる」
「フルネームは長すぎるから、それだけしか入れられなかったのじゃ………」
ああ、だろうなぁ。
でだ。
「何でこの時期に、このタイミングで着たんだ?」
別にメルアドの交換や、ツイッターの報告できたわけじゃないんだろう?
「ああ、それなんじゃがな」
護衛復帰か?
それだったら、速攻で断らせてもらうが。
「妾と一つ、賭けをしないかのう?」
………ほう?
日常的なシーンは書いてて楽しい。
次回は苦しい(作者が)頭脳パート。