「ん~♪んん~♪」
5月3日夜。
フランス軍陣内をフラフラする。
なんでかって?
吸血鬼だから夜は眠れないんだ。
でも、この時代の夜に開いてる店なんて、酒場か娼館くらい。
酒は呑めるが、飲み仲間がいないと寂しいし、吸血鬼ボディのせいで性欲も無い。
……………いや、あるにはあるんだが、とにかく薄い。
精力はむしろ増したんだが………。
後、病気も怖いし。
というわけで、夜は大概散歩をしている。
「んんんんん~~~~~♪♪」
鼻歌交じりに散歩をしていると、時々面白いものが見れる。
昨日も、「この戦いが終わったら俺t」な現場に遭遇した。
まあ、そいつは今日当たり前のように死にかけたので、分体を使って助けてやった。
あれを見た後で死なすのは、咽喉に小骨が五本くらい刺さったのと同じくらいつらい。
「んんんっんん~~~♪ん?」
昔あった64のソフト、バンジョー○カズーイであった音楽を鼻歌していると、少し遠めの場所で何かが光った。
「………しかもなんか魔力を感じたし。行ってみるか」
で、行ってみたら。
「……………『治癒(クーラ)』」
ポウッ
医療用のテント内で、眠りこけた怪我人を魔法で治しているジャンヌがいた。
「…………マジかい」
後に魔女として異端審問にかけられるジャンヌだが、まさか本当に魔女だったとは。
確かに、この軍は死者に対して負傷者が少ないのが気になっていたが…………。
とりあえず、仕事を終えて出てきたところを捕まえるか。
「………………はい。確かに私は魔女、いえ、魔法使いです」
「おおう。あっさりしすぎて拍子抜け」
とっ捕まえて目立たない場所に行き、さくっと聞いてみたら簡単に話してくれた。
まあ、俺なんて吸血鬼だしね。
正体がばれたらやばいのは、間違いなく俺のほうだ。
「んで?なんで正体がばれるかもしれないのにあんな真似を?」
「………………だって……痛そうだったから………………………………」
………………何この可愛い生き物?
顔赤くして俯いて、手を胸の前で合わせてもじもじしてって…………、
「ヤバイ。襲いたい」
「いきなりなんですか?!」
「本心だ。可愛すぎる」
「ちょっとぉっ?!」
ジャンヌの台詞から三点リーダーが消えたが、よほどインパクトがあったのだろう。
だが!
これは偽らざる本心だ!!
「抱かせてくれ」
「駄目です」
「一晩でいいから」
「大声出しますよ?」
「一発だけでいいから」
「もはやシタいだけ?!」
男なんてそんなもんだ。
「………最低ですね」
「そう。しかし男として生まれることは最高だ」
「………………………………………………」
もはや黙られた?!
「ま、今のは冗談として」
「………………いや、ものすごく目が本気だったんですけど」
当たり前だ。
「あんたが魔法使いってことは黙っててやるよ。俺も似たようなもんだしな」
そのままぷらりと立ち去る。
後には嵐の後のようにぐったりとしたジャンヌだけ。
さて、散歩再開だ。
そして翌日の昼下がり。
「悪かったと思っている」
「(つーん)」
「いや、本当にすまない」
「(ぷいっ)」
「……………せめてこっちを見てください」
「……………嫌です」
さっきから、こっちを見てすらくれない。
こうなったのには、訳がある。
昨日のヤラせてくれ発言が問題だったんだ。
まあ、処女相手にそんなこと言ったらなぁ。
「……………俺が悪かった。いきなりあんなこと言うなんて」
「……………本当です」
「でも、お前が魅力的だったのは、まごうことなき事実だ」
「……………そんなk「激しく同感です!!!」?!」
俺とジャンヌが話していたら、急に現れたやつ。
「……………ジル・ド・レェ、なぜここにいる?」
そしてなぜ出てきた?
空気を読んだらこれないと思うが?
「聖女あるとこに!このジル・ド・レェあり!」
「「……………………………………………………」」
それを世間ではストーカーと言う。
「まあいい。うせろ」
「私の扱いが酷くないでしょうか?!」
「
「……………私も、そう思います」
「聖女まで?!」
そのまま泣いて走り去るジル・ド・レェ。
それでも騎士か?
そして今は戦闘の真っ最中だったのでは?
抜け出してきたのかあいつは?
「……………あれを見たら、馬鹿らしくなりました」
「それは良かった。で?俺は許してもらえたのかい?」
「………もうとっくです」
…………………………はい?
「え?じゃあ、あんだけ必死になって謝ったのは?」
「………貴方の…慌てた顔が見たかったから」
………やっぱ可愛い。
惚れ直すね。
「んじゃま、許してもらったのはいいんだけど、何で魔法が使えるの?」
史実では、ただの田舎娘だったはずだが。
「……………母が、魔法世界というところの出身だったんです。魔法は母から教わりました」
母ちゃんのせいかい。
で、もう一つの疑問。
「何で従軍を志願したんだ?」
「……………『
「で、その結果が従軍と?」
「………はい。今は戦時。ならば戦場で兵士たちのためにと思って」
……………なるほどねぇ。
善行で自分の首を絞める、面倒臭えパターンだな。
やっていることがなまじ正しい分、押さえが効かねえし。
ったく、俺が守ってやらなきゃ駄目か?
さて、どうやって周りからこいつを騙くらかすかねぇ?
はい。
青髭さんの変態っぷりが露出しました。