全裸転生~気が付いたら、フル・フロンタルになっていた~   作:アムル・ガイ

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しばらくはオリジナル展開が続きます。
強化人間、デザインベイビーとして作られた彼の研究所時代、そして袖付き発足まで書くのが取りあえずの目標。

あ、プルとか出します。


第1話 サングラスと仮面じゃ、サングラスの方がかっこいいと思う

星の大海に、MSが駈ける。赤いMSと、数基の青白いMSたち。多対一の圧倒的不利な状況かで、しかし赤いMSは不利を感じさせることなく、縦横無尽に火線をすり抜け、反撃を与えていく。

 

……うん。つまりシュミレーターなんですけども。

 

私こと、フル・フロンタル。あれから一か月たって、今はバハロ国防大臣旗下の研究所で未だ調整中である。MSの操縦なり、他の知識なりは外部から睡眠学習的なものをしたのだろう。問題なく発揮されている。前世の知識ではマキブとか苦手だったので最初は「大丈夫か?」と結構ビビったが、なんだかんだなんとかなるものだ。やっぱりゲームと実際の戦場は違うらしい。シャアっぽい恰好、シャアっぽい台詞で俺ツエー出来るだけの環境。実際、イイ!

と、まぁ冗談はともかく。あれから自分なりに行動の整理、計画の変更などをしているところなのである。うろ覚えだが、フル・フロンタルはネオジオン残党を纏め上げ、袖付きを組織した張本人……ということになっていたはず。おそらくジオン共和国の急進派とか風の会なんかの後ろ盾あってのものだろうが、これからそういう行動をとる(取らせれる)ことになるわけだ。ここで逃げる……というのも有りかもしれない。箱なんてものを巡る騒動は起きず、フロンタルの謎論理も発揮されずに世は並べてことも無し……と終わってくれることだろう。が、そんなことをすれば共和国からの刺客とかが現れてえらいことに為るかもしれないので却下。

まず、ジオン残党をまとめあげ、実質的な首魁になる……そこまでは連中のシナリオ通りに踊ってもいいだろう。

 

と、考え事をしているうちにシュミレーターも大詰めか。相手MS「ジェガン」の右足を切り、動きが鈍ったところにビームライフルを直撃させる。

データー上の自機はザクⅢ。ネオジオンが開発した、なんちゃってザクである。ネオジオンの迷走具合がうかがえる本機だが、個人的にギラ・ドーガよりは合っているだろうという期待を持って要請した。そういう前提でシュミレーターも使っている。

ネオジオンの機体は原則、ハマーンの時期の方がスペックが高い。ドーガ系は特徴が無い代わりに運用能力が高い、というザク、ハイザックの正当進化の末の機体だ。が、なんちゃってフロンタルな俺にとって、少しでも装甲が厚く、出力もちょっと高いザクⅢの方がよさそうに思えるのである。

「なんちゃってにはなんちゃってがお似合い、ということさ」

キリッ!ドヤ顔とともに最後の一撃を決める。

シュミレーターは終了。今日の業務も終了だろう。そこに、研究員がやってきた。

「フロンタル、調子、いいみたいね」

「ああ、ドクター」

女性の研究員である彼女はフロンタルの専属調整係……といったところか。あるいはお目付け役、かもしれないが。

「いいというほどではないよ。私も……そうだな。いい加減こんなところに缶詰では、気も詰まる」

言うと、急にドクターは笑い出した。人の発言に笑い出すとは、どういう了見だこいつ。

「いえ、ごめんなさいね。結構人間らしくなってきた、と思って」

そりゃ、最初は混乱して、警戒していたからな……。どうすれば強化人間らしいか、という小賢しい愚考を重ねていたのだから、当然だろう。途中でバカらしくなってやめたが。

「まぁ、『籠の中の鳥は鑑賞されるための道具』でしかないとは分かっているが。人間扱いされないのも、あまり心地いいものでは無いよ」

「全く……あなた、はばかりというものを知らないわね?」

「報告するか?あの何某国防大臣に。『シャアの再来は調整に失敗しました!何の成果も得られませんでしたぁ!』とでも。女性が泣けば、あんがい許してくれるかもしれんぞ」

「しないわよ。今のところ、性格以外完璧に『シャア・アズナブル』だと思えるわ」

……またこれだ。この世界のシャア信仰とでもいうべきものを思い知らされる。

「シャアがそこまで完璧だったとは思えんがね。彼も一人の人間だ。ホラ、ロリコン説とかあるだろう?」

「あなたもそうなの?」

「いや、違うが」

いや、ロリって言っても色々あると思うんですよ。二次ロリとか合法ロリとかロリババァとか。いずれも無理やりとか、売春とかじゃなくてプラトニックな愛の末にあるべきものだと思っていて……これって合法ロリコンに入りませんかね?

そういうことを前世で熱弁したらしばらく「ロリコン」とからかわれたので絶対に言わない。大体、ロリじゃなくちゃ起たないんじゃないのである。ロリでもいけるだけなのである。これは断じてロリコンではないのだ。

「まぁ、そんなことわかってるわよ。シャアは私たちの希望。でも、そこにあるのは私たちの願う偶像だってことくらいね」

「私にそれになれと?全く。ならば偶像に意志など持たせるなという」

「ここまで感情豊かになるとは想定外よ、こっちも」

ドクターは苦笑交じりにいう。でも、と付け足した。

「貴方が、偶像でしかないにしても。熱を持った人間だというのは、きっと人々の救いになると思うの」

……なんというか、卑怯な物言いを感じた。まるで逃がさないとでも言いたげだ、シャアという偶像を演じることから。正直、過ぎた大任としか思えないぞ。

「ふん。勝ってに言っていろ。それより、例のモノは?」

とりあえず話をそらす。これ以上、このことを考えるのは泥沼だと判断した。

「ああ、サングラス?これでいいかしら」

これは前々から以来していたものだ。あのクソダサい、シャアの仮面の劣化版をつけるのはどうしても我慢ならない、という思いがあった。取りあえず先手を打って「サングラス」と指定したのだ。

彼女が白衣から、「試作品なんだけど」と取り出したそれは、紛うことなきフル・フロンタルの仮面だった。無言で地面に叩きつける。

「仮面じゃねぇか!」

「何言ってるのよ。グラスはきちんとサングラスよ」

彼女は拾って埃を払うような動作をした。無駄に頑丈なことにムカつく気持ちが止められない。

「いや、そういうことでなく。……えっ?つけるのか、私が?これを?本当に?」

「シャアと言えば仮面でしょう?」

「いや、待ってほしい。シャア・アズナブルがシャアの叛乱のころに仮面つけていたか?答えは否ではないだろうか。そう考えると、仮面よりサングラスとかの方が良いと思うわけで……」

「でもシャアと言えば仮面って人、未だに多いわよ」

「このにわかどもがっ」

絶叫する。シャアってそういうんじゃないだろ?仮面は若さゆえの過ちだと思うぞ。認めて糧にするにしても、その結果がまた仮面では救われない。

「分かった分かった!仮面の方は強制はしないわ。一応預けておくけどね」

「絶対つけないからな!」

「……思うんだけど、実はあなたのほうがシャアに対するこだわり、強いと思うわよ?」

反論の次第もない。基本的に俺はシャアは好きなのである。そうなりたいかは別にして。

 

 

 

 

さて、翌日の話である。その日もその日とて、俺はシュミレーションに精を出していた。

当然の話だ。知識はあるが、実感が足りないのが今のフロンタルである。

「当たらなければどうということは無い……それってつまり、当たったら大変なことになるってことですよね?根本的な解決になっていませんよね?」

脳内のミストさんの言うとおりだ。如何にシャアの真似の真似をしようと真似は真似である。

当たったらヤバいからザクⅢなんてものを望んでいるし、せめて当たらないように訓練しているのだ。

「今日もシュミレーションというのは精が出るわね?」

今回も無事、六機撃墜。ちょっとした自信をつけつつ、笑みを上に出さないでシュミレーションマシンから

出てきた俺を出迎えたのは件のドクターである。

「ふむ……なんだな。君は暇なのかな」

「暇じゃないわよ。貴方の調子を確かめるのも私の仕事。いうなれば義務なの」

「まぁ、いいが。それで?サングラスはどうなった」

「まだ届いてないわ。いい加減諦めて仮面を被ってもいいと思うけど……ま、その話はどうでもいいの。貴方、このシュミレーターにも慣れてきたでしょ?」

「うん?まぁ、ザクⅢの操作性もそれなりに掴んできたところだが。ジェガンが六機相手でも、宇宙なら完封する自身がある」

「そう……そいつは丁度いいところね。今日はシュミレーションにちょっとした趣向を凝らそうと思っているの。……さ、来なさい、エイト」

エイト、と呼ばれてきたのは、一人の少女だった。淡い栗毛と碧眼、どこかで見たことのある顔だった。具体的に言うと、多くのダメお兄ちゃんを作り出してきた、伝説のロリ、エルピー・プルのような……というか、その成長した姿のマリーダに近いような……。

「……彼女は?」

「ハマーン軍時代の強化人間の生き残り。奇跡的に回収できた子の一人よ。名前は、プル・エイト」

そういって紹介された彼女は、驚くほどこちらをにらんでいた。

……やれやれ。恨みか、不審か、嫌悪かは知らないが。どうやら面倒なことになりそうである。

 

 

 

 

 

 

プル、というものと初めて触れたのは、小さい頃に読んだ漫画だった。ボンボンに連載されていたZZのコミック版を古本屋で発見した俺は、その中でエルピー・プルとも出会うことになる。面倒くさいロリ。時代の先駆ロリともいえる彼女。であった当時は同い年だった彼女も、気づけば追い越していた。

その間、ギャザビGジェネで鹵獲した量産型キュベレイのパイロットが使えないことに憤怒したり、ガンガンネクストで自分の下手さに笑ってみたり、ガンダム無双で指パッチんで呼び出されるMkⅡに大笑いしたり、マリーダさんの最後に涙したりと、とかくプルとの付き合いは長い。女性キャラではエマさんの次に好きなキャラと言えるだろう。

憧れの原作キャラと出合えた心と、やっぱり生き延びていたかトゥエルヴ以外も、というので非常にうれしい。うれしいのだが……目の前の彼女は、ものすごい形相で此方を見ている。

「……どうかしたかな?」

ニコッ、という擬音でも付きそうな笑顔を向けてみる。が、ポッとは為ってくれない。

むしろ警戒心を強めるばかりである。これは、どうしたもんかな。

「あらあら。大佐のことはお気に召さないようね」

「……ふむ。まぁいいさ。それで?彼女が私のシュミレーションの相手だと?」

「そういうこと」

「確かに、ニュータイプ同士の戦いと言うのは、経験しないと分からないだろうからなぁ」

もし、万が一。絶対に無いだろうが、もしも!もし、バナージ・リンクスのユニコーンガンダムと戦わなければ為らない状況になったと仮定した時、ぶっつけ本番でニュータイプと戦えるだろうか?ビームマグナムの端っこにあたって死ぬ可能性が無いとも言えない。

あるいは、だ。連邦側が量産型νガンダムとか、デルタカイとか、そういうファンネル搭載機を出してきた場合。オールレンジ攻撃に対する備えというのも重要になることだろう。

そういった意味で目の前の少女との模擬戦闘はこちらにとっても都合がいい。ナイスジョブ、ドクター!と言いたくなるほどの仕事だ。

「プル。君の乗機は?」

「………」

「だんまり、か。ドクター?」

「量産型キュベレイ……第一次ネオジオン戦争の頃に、グレミー軍の機体として使われた機体ね」

図らずも、といったところか。ザクⅢはハマーン軍の方で使われた機体のハズだ。勝負の再現、と言ったところか。まぁ、そこまで因縁が付いてるわけではないのだろうが。

「よし。では、一度やってみようか。プル、いけるな?」

「………チッ」

舌打ちをしながら連結したもう一つのシュミレーションに入っていく。

……全然喋ってくれない。それどころか舌打ちである。……え?俺なんかしたか?

泣きそうなんだが?

「……失語症というわけじゃなさそうだが」

「ええ、そうねぇ」

ドクターの態度も煮え切らない。……しょうがない。ここはひとつ、

ぶつかりあって分かりあうしかないか。

久しぶりにあった幼馴染がめっちゃ柄悪くなっていたような悲しみを覚えつつ、私も彼女と模擬線をするべく、マシンの席へと向かった。




いきなりオリキャラばっかでスンマセン。
が、フロンタルの出自を考えると……ねぇ。お付き合いください。
ドクターは榊原良子さんだと脳内再生が捗ります。
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