問題児たちと若き仙人が異世界から来るそうですよ?   作:ふわにゃん

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二作品同時で、できるでしょうか…………


異世界への手紙

 

とあるところに山があった。その山は人里離れた場所にあり、濃霧に包まれいた。

そんな山に1人の青年が禅を組んでいた。白髪を後ろで束ねたその青年は念じると周辺の濃霧を吸い込む。霧を吸い込んだ青年はすっと目を開く。

 

「ふむ、修行して二百年。大分霧を取り込めるようになったな」

 

そういった彼、桃雲は樽に入っていた水を杯に汲み、それを飲み干す。杯を腰掛け用の岩に置くと霧で見えない空を見上げる。

 

「人として生きることを辞め、仙人として修行してはや五百年か…………時が流れるのは早いものだな」

 

彼は二百年までは人間として、生活をしていた。1日3食を食し、友と笑い合い、俗世を謳歌していた。しかしとあることから人を辞め、この山に篭り、とある仙人の修行を二百年受け、仙人となった彼は現在1人でこの山に結界を張り何人たりとも近づけないようにして篭っていた。

そんな彼は空に一つの光を見つけその光から一枚の手紙が落ちてきた。その宛名は『桃雲殿へ』とかかれていた。

その手紙を手に取った彼は燻げに手紙を見る。

 

「この結界は塵一つ入れないはずなんだかなぁ…………同じ仙人か…………お師匠様か?いや、これはお師匠様の“氣”じゃないな」

 

彼曰く、人や動物などの触れたものには“氣”が付着しており、その氣は人それぞれのものであるそうだ。結界を張っているこの山に手紙を送るなど、普通の人にはできないことである。そんなことができるのは彼と同じ仙人でなければ難しい。

 

「だが、手紙は読むものだ。開けないでそのままにして置くわけにもいかんだろうな」

 

そう言うと彼はその手紙を開けた。その手紙には、

『悩み多し異才を持つ少年少女に告ぐ。その才能(ギフト)を試すことを望むならば、己の家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨てて、我らの“箱庭”に来られたし』

 

「これは……どう言う……」

 

桃雲が姿を消したと同時に、山に張っていた結界は霧散した。

 

 

 

 

 

 

 

そして、桃雲が先ず目にしたものは、空であった。桃雲は現状を確認するために浮遊し辺りを見渡した。そこには地平線と世界の果てを彷彿させる断崖絶壁の完全無欠な異世界であった。

そして下を見ると水の透き通った湖とそこに落下していく三人の人間がいた。

 

(いくら下が湖とはいえこの高さだ。人の身体では危ういかもな)

 

桃雲は水面付近に移動すると落ちてくる三人を神通力で受け止めた。

 

「大丈夫か?お前ら」

 

「ええ、貴方のお陰でね」

 

「ヤハハハ。感謝するぜ」

 

「……ありがとう」

 

三者三様ではあったが、感謝を述べる三人。ヘッドホンを頭にかけた学ラン姿の金髪の少年、しっかりと着こなされている制服の少女、胸に猫を抱く少女。

五百年もの間、人里を離れ生きてきた桃雲は文化の変化を感じ興味を持っていた。

 

「ところで、お前らは珍しい着物を着ているな。その着物はなんと言うのだ?」

 

その質問は当然三人を困惑させた。

 

「お前、面白いこと言うな。洋服を知らないなんてな」

 

「洋服?」

 

「着物と同じ様なものと捉えてもらって結構よ」

 

そうかと桃雲は納得した。すると金髪の少年が立ち上がり。

 

「………まあ一応聞いておくが、お前らにもあの変な手紙が?」

 

「そうよ。でもまず、そのお前っていうのを訂正して。私は久遠飛鳥。以後気をつけて。そしてそちらの猫を抱えている貴女は?」

 

制服の少女、久遠飛鳥に呼ばれた猫を抱えた少女は少し顔を上げ、

 

「………春日部耀。以下同文」

 

それだけを言うとまた猫に顔を落とす。

 

「そう、よろしくね春日部さん。で、野蛮で凶暴そうな貴方は?」

 

「高圧的な自己紹介をありがとよ。見たまんま野蛮で凶暴な逆廻十六夜です。粗野で凶悪、快楽主義と三拍子揃った駄目人間なので、容量と用法を守って適切な態度で接してくれよ、お嬢様」

 

「そう、取り扱い説明書を用意してくれたら、考えてあげるわ」

 

「ヤハハハ、マジかよ。今度作っておくから覚悟してけよ」

 

二人はお互い睨み合い火花を散らしていた。それを傍観していた桃雲にも飛鳥の視線が映った。

 

「そして、先程私たちを助けてくれた親切な貴方は?」

 

「私はもう名を捨てた者だ。桃雲と呼んでほしい」

 

「名を捨てたとは、どういうことかしら?」

 

「私は人を辞め、仙人になった。だから人としての名は捨てたのだよ」

 

「「「仙人⁉︎」」」

 

三人は驚き、シンクロした。耀も猫から桃雲に視線を移していた。

 

「へえ、仙人って本当にいるんだな」

 

「ええ、私も初めて見たわ」

 

「………(ジー)」

 

十六夜は好奇の目で、飛鳥は驚きの目で、耀はじっと見つめていた。

 

「私も五百年ぶりに人を見たが、そこでは仙人とは珍しいものなのだな」

 

桃雲はクスリと笑う。そして茂みから彼らを見る姿があった。

 

(うわぁなんだか問題児ばっかりですねぇ。仙人を名乗る方はまともそうですが……)

 

ケラケラと愉快そうに笑う逆廻十六夜。

 

傲慢そうにする久遠飛鳥。

 

我関せずを貫く春日部耀。

 

クスクスと静かに笑う桃雲。

 

彼らが強力する姿がどうしても想像できない。

 

「んで、呼び出されたのはいいけど、なんで誰もいないんだ?そろそろ説明役が出てきてもいい頃だろうが」

 

「そうね、説明がなければ動きようがないもの」

 

「……この状況で落ち着いてるのもどうかと思うけど」

 

「お前もそれはいえぬと思うが」

 

(全くです!これでは黒ウサギが出るタイミングを失ったのデスよ!)

 

黒ウサギが心の中で突っ込んでいると、

 

「仕方ねえ、そこの隠れている奴にでも聞くか」

 

「あら、貴方も気づいていたの?」

 

「当然、かくれんぼじゃ負け無しだぜ。そっちの猫を抱えてるお前も、仙人野郎も気づいてるんだろ」

 

そう言われた耀はムッとして、

 

「………風上に立たれたら嫌でもわかる」

 

「仙人野郎とは………まあ“氣”を読むのは仙人にとって当たり前だからな」

 

「へえ、面白いなお前ら」

 

十六夜は面白そうに三人をみる。そして四人は茂みに隠れる何かに視線を移す。その視線に観念して出てきたのはウサ耳と豊満な胸を揺らし、ミニスカ、ガーターといった服装の少女がいた。

 

「や、やだな皆様。そんな狼見たいな怖い目で見られると黒ウサギは死んでしまいますよ?ええ、そうです。古来より孤独と狼はウサギの天敵でございます。そんな臆病な黒ウサギの心臓に免じてここはひとつ穏便にお話を聞いていただいただけたら嬉しいでございますヨ?」

 

「断る」

 

「却下」

 

「お断りします」

 

「話だけならな」

 

「あっは、取り付くシマもないですね♪最後の方、ありがとうございます」

 

降参のポーズをとりながらも冷静に彼らを値踏みする黒ウサギ。

そんな黒ウサギの背後を取った耀は

 

「えい」

 

「フギャ⁉︎」

 

ウサ耳を思いっきり引っ張った。

 

「ちょっとお待ちを!触るだけなら黙って受け入れますが

いきなり黒ウサギの素敵耳をいきなり引っこ抜きにかかるとは、どういう了見ですか⁉︎」

 

「……好奇心のなせる技」

 

「自由すぎるのにも程がありますよ」

 

「へえ、このウサ耳本物なのか?」

 

「じゃあ、私も」

 

十六夜と飛鳥もウサ耳を掴む。黒ウサギは涙目で最後の頼み、桃雲を見つめる。

だが桃雲はそれを温かい目で眺めている。

 

「ふむ、やはり人は面白いな」

 

「ちょ、ちょっと………」

 

そして、森にウサギの悲鳴が響いた。





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