7月24日 金曜
学テを終え、阿鼻叫喚が教室に広がる中、喜びの声も上がった。そう、ついに俺らを縛るものすべてから解き放たれたのである。夏休みの本格始動だ。
「キタキタキタキタっ……!もう俺は遊びつくすっ……!まずはゲーセンに行って麻雀だっ……!」
カイジは目を輝かせて、笑顔で俺にそう言った。
「俺も今日はゲーセンに行ってフルド大会への練習だな。なにげに次の日曜に大会開催とか時間が過ぎていくのが早いよ。」
「確かに……私が転校してきてからもう二か月弱よね?一瞬だった気がするわ。」
怜はふんふむと頷いていた。周りの面々…静乃や刹那も同じように頷いていた。
「年を重ねるにつれて時がたつのを早く感じるらしいよ。まあこれはぼくも聞いた話でしかないが。」
「そうなのですか。」
とりとめのない会話をしているが、どことなくみんなのテンションは高めだった。おそらくそれは、夏休みが始まるということを自然と意識しているからであろう。
「で、は!今日はガンガン練習しようね!時間で予約したからね!思う存分頑張りましょう!」
クラスの面々と別れた後、俺はゲーセンアドアーズへと向かった。そこにはすでに部長と会長がいた。今日は生徒会メンバーと合同練習なのである。決勝で戦った相手同士、実力も十分だから、いい練習相手になるということ、そして、前回の大会の解説者が意味深なこと…つまり、決勝で戦った相手同士のかかわりは強くもてとのことで、ということである。
「ではまずは…決勝の再現ですかね?ゲー研対生徒会みたいな?」
「それでいきましょう。」
こうして、二時間もの熱い濃厚な練習が幕を開けた。
途中、生徒会のメンバーとごちゃまぜにして対戦してみたら、どうやら俺は朱鳥と相性がいいということが分かった。俺のMSのアリオスで朱鳥のデスティニーを運搬し、敵機に爆雷のように朱鳥を落とし、斬りかかる。これが奇襲のように作用して、相手の不意を突いて撃破するといった感じだ。柄谷はカトル先輩と相性が良かった。カトル先輩のくせとして、やたらと相手の攻撃を防ぎたがるのがあり、ガードにガードを重ね、相手が攻撃一辺倒になっているところを狙撃する。ガードがうまいカトル先輩ならではの戦法だなあと感心した。反対に、ハムと刹那は相性が最悪だった。どちらも考えなしに突っ込むタイプなので、格好の的であった。ただ、うまく隙をつけた時の破壊力は随一であった。そして…忘れてはならないのが部長と会長のタッグ。先輩たちは相性が良すぎて、俺じゃ相手にならなかった。まったくもって駄目であった。こんな言い方するとあれだが、彼女らと後二人がチームを組んでいるのなら、残った二人をカモにしなきゃ勝てないなと思った。
次の日も同じように時間でゲーセンのフルドコーナーを予約して練習に励んだ。土曜日ということ、そしてアドアーズはフルドが盛んであること、極めつけは地区大会決勝で争ったチームであることという要因が重なり、この日、とんでもなくギャラリーがいた。家に帰ってツイッターをみてみたら、そのことばかり呟かれてて、少々気恥ずかしい気持ちになった。
次の日はフルドの大会だ。これを勝ち進めば全国大会。どれだけお金をフルドに溶かしたかは覚えてない。所詮娯楽にすぎないが…娯楽だからこそ……楽しんで、かつ勝利をつかみ取りたい。そう思いながら、俺はシャワーを浴び、ベッドに寝転び、そっと瞼を閉じた。