タマゴのカラを割らないでっ!   作:すうどんたくろう

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3-2-3 あててんのよ

静乃を探しに歩いたはいいが、いかんせん広いスペースかつ大勢の人により、なかなか見つからん。足も自然とはやく動き、じれったく感じはじめた。…やつめ、俺にこんなに探させて……もう探すの放置しようか……いや、さすがにそれはひどい話だな。ここまで来たのなら見つけるまで探そう。

そんなことを思いながら辺りを歩いていると、ふと聞き慣れた声が聞こえてきた気がして、そちらに目を向けると、屈託のない笑みを浮かべながらプール内でパシャパシャとはしゃいでいるハムがいて、それをプールサイドなら眺め、苦笑いを浮かべる刹那がいた。……なんか刹那、まんざらでもないのな。

刹那も可愛いので、人が寄ってくるかと思ったら、そんなことはなかった。でも、遠巻きに見ている人はどうやら多いらしい。耳を澄ましてみると、「あの娘レベル高いなあ……男持ちじゃなければなあ…畜生。」「男の方もいい体してるじゃないか♂」などと聞こえてきた。なるほど、ハムの魔除けが有効に働いているのな。遠巻きに見ざるをえないーーー

ーーん?まって、明らかに刹那ではない方向に目を向けーしかも結構な人数がそちらを見てーーそっちは休憩スペースーーあ、あれは…

「静乃じゃないか……」

間違いない。椅子に座り足を組み、トロピカル感あふれるジュースを飲みつつだらけているあいつ…静乃である。サングラスをかけているから目で判別はできないが、あのサングラスにはそもそも見覚えあるし、髪型も水着も同じだし……。確かに見とれてしまう美しさだ。しかも2つの山が激しく自己主張もしている。遠巻きに見てもしまうさ。でも、どうして遠くからしか見ないのだろう。今時ナンパなんて流行らないのか?いやいや、こんなDQNいっぱいいるエリアでそんなことないわけがない。

なんてことを思うと、ガタイのいいモリモリマッチョマンが静乃の方へ歩いて行った。ほら、言わんこっちゃない。……って、そんなこと言っている場合ではない。止めないとーーー

ーー止めないと?

もし、静乃はこういうのを望んでいたとしたら?

みんなといるとナンパされないから1人になりたかったとしたら?

 

……もしそうなら、それは、なんだ。

不快だな。

 

なんてことを思いつつ俺は彼を見ていた。彼は静乃に話しかけていたが、すぐ帰って行った。彼は去り際に「んだよ…あいつ……」と漏らしていた。

「ほら、どうせこうなると思ってたんだよ。」

「これで何人目だ?」

「お前で4人目だよ。全く、なんでガードの硬さだ。」

彼は友達と思しき人のところに向かうと、そう話していた。……やっぱりナンパしてくる人は多かったんだな。てことは、あの目さえなんとかすれば男たちの注目の的になるってことか。ふむ。

「って、いかん。俺も行かなきゃ。なんのためにここに来たんだよ。」

俺は静乃の方へ近寄った。後ろの方で「お?5人目がいったぞ?」と声が聞こえてきたが、無視した。静乃はこちらを見向きもしなかったが、近づいてくる人がいままでのような輩ではないと気付いたのか、こちらの方に顔を向けた。

「…どうしてここに?」

「うーん、なんか面倒なことに巻き込まれてないかどうかと心配になってさ。きちゃったゾ。」

てへ、と渾身のスマイルを送ったが、勿論それを見て静乃は嫌そうな顔を向けた。サングラスで目は覆われていたが、ゴミを見る目つきであるのは確かだろう。そうなることがわかっていながらやってしまうのは癖であろうか。

静乃はため息をついてテーブル上のジュースを手にとったが、残り少ししかないとわかると、グイッと飲み干した。そして、再びため息をついてこちらを向いた。

「………まあ確かに、のんびりするはずがいろんな輩が声をかけてきて面倒ではあったな。もっとも、それの"おかげ"でわかってしまったこともあったけど。なんにせよ、ここに1人でいても無駄なことがわかったから合流するよ。」

静乃は椅子から立ち上がり、空のグラスをカウンターに戻した。そしてこちらに戻ってくると、サングラスを外してビキニの中心の紐に吊り下げた。……2つの山があるおかげで間にスペースができる。だからこそ出来る芸当だなと感じた。決して有希にはできないだろう。まじまじと見てしまいそうになったが、すぐ目を逸らした。

「じゃ、行こっか。」

静乃はそう言うと俺の腕を自分の胸に引き寄せ歩き始めーーーほわああああ!?!?ふにふにしたものが当たっとるやんけ!?

「ちょ、ちょっとーーー」

「周りうざいからいまは"そういう体"でよろしくね。」

「で、でもだからと言ってそこまでく、くっつかなくても」

「あててんのよ。たかだかこれくらいであたふたしないで。反応が童貞臭いよ?」

「ど、どどど、童貞ちゃうわ!」

「そうだね、童貞じゃないで。だって私たちはズッコンバッコンの中だもんね。」

「ファッ!?」

「だから、そういう体って言ったじゃん。いい加減わかって。呆れるよまったく…」

そんなやりとりをしていたが、できる限り平静を装い、この場をあとにした。

まさか静乃がこんな大胆なことを……でも、確かに効果覿面であったとおもう。テンパっておちつかなかったが、まわりの取り巻きから「男いたのかよ」「あんなフツメンよりも俺のがいいだろ…」「きっとチンコがバッキバキなんだろうなあ…あんななりで付き合えるんだもの…」と聞こえてきたのがわかった。いや、本人に聞こえないようにぼやいてくれよ、悲しくなるだろ、俺が。…また、「サングラス外すとあんな感じなのか…」「あんなに生気のない目だとチンポも萎え萎えだわ。」「レイプ目たまらんのう…」という声も聞こえてきた。俺に聞こえるってことは静乃にも聞こえてるよなあ……あまりいい思いはしないよ。さっさと合流してしまおう。

俺と静乃は会長達の元へ急いだ。勿論、静乃に腕を組まれたまま。

…ドキドキしてるの、知られたくないなあ。静乃、なんか普通にしてるし、俺だけこんな気持ちになってるなんてさ。

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