7月30日
いろいろな人たちと非常に楽しい一日を送った翌日、俺はピクリともせずに眠り続けた。肉体的にも精神的にも疲れていたのだ。かわいい女子たち、目の毒な水着姿、特に静乃………俺の心を惑わすことや、プールで激しく動いたことから疲れが本当にたまっていたのだ。だから、昨日は帰ってからカバンを部屋に投げ捨て、そのままベッドに入った。本当はちょっとだけ横になって、落ち着いたら風呂に入って寝るつもりだったのだ。でも、寝てしまった。起きて時計を見――――ようと思ってあたりをまさぐったが、目当てのもの、すなわち携帯がなかった。
「……あれ―――ああそうか、そのまま寝たからないのか。」
俺はカバンから携帯を取り出した。だが、想定外の事態が起こっていた。
「画面が割れている……」
携帯が開きっぱなしの状態でカバンに放り込まれていたから、そしてきのうぶん投げたからおそらくそれでわれた………。徐々に覚醒しつつある頭、時間がたつにつれ、事の深刻さを感じ始めていた。
「てなわけで携帯が欲しいです。叔父さん、どうしましょう。」
「やたら他人行儀だと思ったらそれが狙いか。」
仕事中の叔父の部屋に行き、割れた携帯をみせて俺は正座していた。
「………まあその携帯も長く使ってきたからがたが来てたしねえ。ガラケーだし、よく耐えたと思うよ。これを機に、スマホにするのもありか。どうする?」
「叔父さん………ありがとう!俺もスマホデビューしたいから、早速今日買いに行こう!」
「よし、じゃあ今日の晩飯は遼が作ってくれよ?」
俺はもう狂ったように頷いて、ただただ叔父さんのお恵みに感謝していた。
ついでなので有希もスマホにすることにし、家に帰ってひたすら説明書とにらめっこをしていた。有希のはデータのバックアップをとっていたため、すんなり電話帳などの重要情報を移すことができたが、俺はぶっ壊れていたから全くの新しい情報から進めていた。メアドも新しくした。だから、俺の前のメアドを知っていた人に送らないといけない。けれど、初期設定で手間取ってしまい、時間を食われ、気づいたら12時になっていた。有希のスマホの中にある程度知り合いのメアドが入っているので、そこからメアドを手に入れてメールを送ろうとしたが、彼女はもう寝たし次の日にしようとあきらめた。
7月31日
有希の野郎、柄谷と遊びに行くとかほざいて、早々に家を出て行ってしまった。メアド送るよう新たに入れたLINEとやらで有希に聞いたら、『だるい』とだけ返ってきた。まあその場に柄谷がいたから、柄谷のLINEだけはゲットすることができた。にしてもこれらくだな。メール打つより気軽で、はやるのも当然だなあとその時感じていた。
家に帰ってきたのは7時過ぎ。そのあと飯食って風呂入って時間が過ぎて、有希からメアドを仕入れたのが夜11時。さすがに遅すぎるため、メールは明日にしよう。そう思って、俺は眠りについた。翌日、みんなに一斉送信したら、静乃だけが半ばキレ気味で返信してきた。どうやら30日にメールくれてたらしい。俺の不注意でこうさせてしまったからさすがに申し訳なかった。ので、何か埋め合わせしようか?と返すと、8月5日開けておけとの命が下った。なるほど、どこか飯でも行くのかな?まあ千円くらいのランチならお安い御用だと俺は思っていた。
けれど、想定を超えることが待ち受けていたとは、この時点では予想もつかなかった。