タマゴのカラを割らないでっ!   作:すうどんたくろう

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3-3-5 恋愛事情の第三者視点

8月8日 土曜

 

 静乃と出かけたあの日以来、だらだらとしたLINEでのやり取りが続いていた。LINEを断ち切るタイミングがなかったというか。静乃からのLINEの返事をし忘れ、翌日にその返事をするみたいな―――――また、その逆もしかりで・・・・・・。そんななか、5日の静乃の『時間が合えば(アミューズメント施設に行っても)いいよ』という返事をこの三日間ずっと頭に抱え、けれどその追及をできずもやもやと過ごしていた。

 

「あれは冗談で言ったことだったのだろうか・・・・・・」

 

ぽつりと言葉が漏れる。自室には俺しかいないから、もちろん誰も返事をすることはない。竜崎がいそうだが、奴は今有希と対戦ゲームをしている。全く暇な奴だ。てか、ねんどろの体でよくやるよと思うよ。もやもやとした心が晴れぬまま、気づいたらバイトの時間が差し迫っていた。遅刻するのはまずいので、さっさと家を出た。なんだったら、会長にでも相談してみようかな。女性同士だし、なんらかのアドバイスくれそうだから。今日シフト入ってたっけ?固定シフトは俺も先輩もやめちゃったからなあ。

 

 

 

「・・・・・・なるほど、謎が解けました。」

 

 今日のシフトは会長も入っていたため、休憩中に今日のことを尋ねると、脈絡のなさそうな返事が返ってきた。何か深い意味があるのだろうか?けれど当然言われた瞬間言葉の裏なんてわかるわけもなく、俺は素っ頓狂な返事しかできなかった。

 

「謎?」

「それはすなわち―――――――――――――――――いえ、謎は謎です。貴方に解けるでしょうか?」

「いやまず何が謎なんですか。謎がわからないから解きようがないっすよ。」

「ふふ、なんでしょうね?」

 

思わせぶりな笑顔を見せる会長はやっぱりかわいいなあと思いつつ、けれど何も解決していないことからもやもやは続いていた。

 

「まあともあれ――――勇気を出していってしまったほうが楽ですよ。女の勘ですが、すぐ返事が来ると思います。」

「女の勘ですか?」

「ええ。―――私の勘は信用なりませんか?」

「いやまさか」

 

なぜ俺は会長にからかわれているんだろう・・・・・・。まあいいや。もう面倒だ、流れに乗って言ってしまえと思い、俺は単刀直入に『5日に言ってた来週も行くって話、12日でよい?』と送ると、すぐに既読が付き『わかった』と返事が来た。誘うことにうじうじしていたのがあほくさく思えるくらいサクッと予定を決めることができた。

 

「これで私の方に静乃さんからのLINEが飛べばクロですね・・・・・・」

「クロ?」

「ええっと―――――いや、なんでもないです。」

 

会長は何か言いたげな雰囲気であったが、言葉を押し込めたようにみえた。

 

「気になるじゃないですか。LINEが飛ぶ?会長と静乃で何かやり取りがあるんですか?」

「さあどうでしょ―――――」

 

会長がそういいかけた時、あるバイブ音が休憩室内に響いた。俺のものではない。ということは―――――

 

「今の会長のやつですか?」

「さあどうでしょうね?」

 

またも俺の言葉をはぐらかし、椅子から立ち上がり休憩室を後にした。・・・・・・いったい何だったんだろう。謎?謎ってなんだ?・・・・・・まあ会長は厨二な部分あるからなあ。症状が出たのかもしれない。深追いはしなくていいだろう。

俺も椅子から立ち上がり、休憩室を後にした。12日、俺から静乃を誘って遊びに行く――――これってデート?いや違う、健康な体のなるための設備投資だ。

照れくさくって、心の中でもはぐらかした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は国広君から逃げるようにその場を後にした。これ以上いると何かぼろを出しかねないからである。さっき言っていた謎というのは、静乃さんについて。国広君の言葉を聞いて、一つの仮説が立った。謎なんてその時は解けてない。完全に雰囲気で使っていた。

 

≪静乃さんに個人的な用事があって、来週のどこかで会えないかって昨日聞いてみたんですよね。けれど、用事が入りそうだと返されたんですよ。その日は決まっているんですか?ってきいたら、どうやらそういうわけでもない。その用事って何なのだろう、もし人に言えない事情であるなら仕方ない。けれど、私も来週どうしても彼女に会う必要があるので引くに引けない。彼女も私に用事があるはずだから、時間を作りたいけれど――――みたいなことでグダグダしてたんです。彼女は明日中――――つまり今日ですね。今日中に確定させると返事をくれたので、もしかしたら彼女から返信が来てるかもしれないですね。≫

 

なんて言えるわけないじゃないですか。もしそんなの言ったら、静乃さんが国広君と会うのすごく大切にしてることがばれちゃうじゃないですか。彼らの背景を知ってしまってつい言葉が漏れたのは失敗でしたね。本当に彼女から日程調整の返事が来たのですから。・・・・・・・・・まあここから言えるのは、彼女の中の優先順位は国広君が私より上なんですね。・・・・・・・・・これは、女同士の友情より男をとったということですか?いやまさか―――――いやでも、プールの時途中から彼ら一緒にやってきましたし、何かあの時からあって、5日で決定的に関係が進んだ・・・・・・?

 

「余計な詮索はやめましょう。」

 

私は黙々とパスタづくりをすることにした。もっとも、独り言が漏れてしまったため、近くにいた社員さんに変な目で見られたのはやってしまった。

悔しいから、静乃さんと国広君のデートの翌日、キドと龍華と静乃とでセッションするから、そのときにいじり倒してあげよう。完全に腹いせだけれども。

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