タマゴのカラを割らないでっ!   作:すうどんたくろう

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4-2-6 Determination

怜は俺を鼓舞するようなセリフを吐いた。確かに、静乃の小学生時代を知っているのは俺だけだから、怜のいうことは一理あるかもしれない。

 

――――――――でも、本当にいいのかこれで?

正直な話、静乃の記憶喪失と竜崎のカミングアウトのせいで、正常な判断ができる自信がない。ましてや、竜崎と怜は密接なつながりがあるわけではなく、あくまで仕事上の付き合い。怜の思惑と竜崎の思惑には食い違いがある可能性がある。そこで、怜の話を全て信じて、果たして本当に解決するのか――――――――――――

 

「・・・・・・わかった。なんとかやってみる。」

 

俺は気が付いたら、そんな返事をしていた。確かに、疑わしい部分はある。けれど、今日の怜のひどく陰鬱で辛そうな様子は、俺には嘘に見えなかった。これは本気なんだ。本気で彼女を何とかしたいと思っているんだ。これが演技なら、俺は何も信じられない。けれど、まずは自分を信じたい。正直、記憶を取り戻す具体案が見つからない以上、藁でも蜘蛛の糸でもなんでもいい。すがりたかったんだ。

 

「ひとまずは、静乃の病院に通って、話してみるよ。どこまで覚えているかを聞けばいいんだな?」

「ええ。―――――――けれど、注意して。静乃の発狂したときの様子から推測するに、きっと思い出したくない記憶で止まっている可能性が高いわ。あなた、静乃が小6の時なにかひどい事件とか起こったりしなかったか覚えてる?それで静乃に何か精神的な障害が残ったりとかはなかった?」

 

深刻な顔つきで彼女はそう告げた。思い出したくない記憶。ひどい事件。―――――――――静乃は小6のある時を境にだんだんと暗くなった。おそらく、静乃の記憶は、その境までなのだろう。あくまで予想でしかないが――――

 

「・・・少なくとも、彼女の口から何か聞いたことはない。けど、思い当たる節はある。ある時を境に明るい静乃から今みたいな静乃になっていったんだ。多分、そこら辺までじゃ・・・」

「――――了解したわ。」

 

怜はそういうと、手を俺の肩から離し、帰路へと足を向けた。

 

「遼は、そこのところを丁寧に聞き出してちょうだい。私は私でやれることをするわ。いつでも連絡取れるように、携帯の電源は入れておいてよね。」

 

そして怜は、俺に手を軽く振って走って帰っていった。

 

「確かに、携帯の電源は入れておかないとな・・・昨日今日で切りっぱなしだったし・・・」

 

そういって、俺は何気なくスマホを取り出した。そうして、ラインの通知が来ていたことを思い出して、ふとラインを開いてみた。待機画面で確認したポップアップは『新着メッセージがあります』と表示されていた。朝ですでに数件あったから、これまででさらに増えたことになる。誰から来ていたかはわかっていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――そう、わかっていなかった。電源を落とし、一日見なかったライン。その行為が、どんな結果を生むかも――――――――

 

 

 

 

 

 

 

中は公式メッセージが画面上部を埋め尽くしていた。そうして一つ一つどうでもいいメッセージを消してスクロールすると、一番下には公式じゃないメッセージが来ていた。その相手が・・・・・・

 

 

 

 

 

「・・・・・・静乃からのメッセージだ。」

 

俺は急いでトーク画面を開いた。そこには3つだけ。昨日の夕方4時ごろと、夜中の3時ごろにひとつづつ。そして、今朝に・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[ 遼、体調悪いって本当?

 ぼくを誘っておいて君が休むってそれってどうなの?

 これ見てるんだったら、早くこっちに来てよね。   ]16:02

 

[ ・・・どうやら本当に体調が悪くて寝込んでいるのか

 それともぼくのことが嫌になって無視してるのかな?

 もし何か気に障ることをしていた

 ・・・いじりの度が過ぎていたら謝るよ。      ]2:57

 

[ 話したいことがあるんだ。

 遼はぼくに対して起こっている(?)から

 会いたくないかもしれないけど・・・

 電話でもいいけど、できれば直接話したい。

 今日、早めに来てくれないかな?

 教室で待ってる。                 ]7:30

 

 

 

 

 

俺は馬鹿だ。

なんだこのメッセージ?

なんで俺はこれを無視したんだ・・・?

 

自分のエゴで、傷つくことを恐れて、不快な思いに蓋をして・・・その結果が周りにどんな影響を及ぼすかなんて、何も考えてなかった。

だから、こんな結果を生んだ。たった一日スマホを見ないせいで、取り返しのつかないことになった。やけに静乃が早くきていたのも、そしてずっと眠りに落ちていたのも、すべては俺のせい・・・

メッセージに返信をすることはできる。けれど、もう“静乃”に返事を送ることはできない。

 

俺は、あまりの自分の情けなさに、気が付いたら涙していた。けれど、手の甲でそれをぬぐって、帰路へ足を向けた。

絶対に、静乃は俺が何とかする。これは、俺のけじめだ。

 

 

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