俺は差分回収装置を取り外したとき、竜崎がこちらをじっくり見ていたことに気づいた。気が付けば、部屋に流れていたボカロ曲は止まっていた。
「いったいどうした?なにか重要なことがあったのか?」
「いや、そんなんじゃないさ。――――――――なあ、竜崎がこっちに来た目的は、厳密には俺が彼女を作ることじゃないんだよね?むしろここからがスタートであってるよね?」
竜崎はこれを単なる事実確認であるととらえたのか、いつものようなすました口調で答えた。
「まあ、そうなるね。けれど、君が彼女とうまくやっていけそうだと確信したら、間違いなく私達は帰るさ。」
「・・・その基準って、彼女と"セックス"することだったり?」
「――――――――まあ、それも一つの基準ではあるな。好きでもない女とヤれないでしょ?」
俺は竜崎が一瞬答えるのに溜めを作ったのを確実にとらえた。即答しない理由がある?
「もし仮に、俺が女性経験を積むためにヤリチン陽キャへと変わろうとしたら竜崎はどうする?」
「もしそうなら、そんなおかしなことをする前に私が止める。そんなことをしたら、君はセフレはできても絶対に彼女なんてできなくなる。それは私の目的に反するからね。それに・・・"初めて"の少女たちを襲うのは・・・初めてを奪うのって大きなことだぞ?」
「じゃあ相手がヤリマンならいいの?」
「・・・その言い方はどうかと思うが・・・まあそうだな・・・相手が同意してるなら、遊び感覚で――――――――って、そんな仮定に意味はないんだ。特に重要なことがないなら、引き続き萩原静乃の情報を集めてほしい。引き続き、よろしく頼む。」
俺はうむと返事をして、ベッドに横になった。
ほら!
ほらほら!
やっぱりそうなんだ!
ピースだけ揃っていたパズルが、パチパチとハマっていく。
竜崎は俺を処女とはセックスさせたくないが、ヤリマンならいいという。これは何を意味するだろう?怜は初対面のとき、告白券についての説明をする時、やたら処女について事細かに言ってきた。のらは何を意味するだろう?ピザデブが神前から処女にしか使えないはずの告白券をもらった時、本来セックスはできないはずなのにまたヤりたい放題と言っていた。告白券はレイプには使えないと俺が思っているだけで、実は抜け穴があるのかもしれない。ともあれ、レイプできてしまうのはあいつの言葉から想像することはできる。ようは・・・・・・
――――――――ネジを合わないドライバーで回すと、ネジがばかになって開けられなくなってしまうのと同じことだ。
"処女を合わないペニスでぶち犯すと少女の中にある危険なナニカが出てこられなくなる"んだ。”処女”という鍵箱、それを開けるペニスが鍵。鍵穴は言わずもがな。
おそらく、おそらくではあるが、竜崎の目的は
≪鍵穴をみつけ、それが危険かどうかをチェックしたい。≫
反対に、神前の目的は
≪俺と近しい人をその辺の人にレイプさせ、処女を散らせて鍵穴をぶっ壊したい。≫
しかも神前は、『次はあの女を確実に犯せ』とデブにしゃべっていた。つまり、あのデブはとある女性に対してのレイプに一度失敗しているわけだ。
そしておそらく告白券のせいで記憶封印が起こってしまった静乃。
告白券の失敗、静乃の記憶封印。これをつなげると・・・・・・
あのデブ、近々静乃をレイプするんじゃないのか?