タマゴのカラを割らないでっ!   作:すうどんたくろう

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4-4-12 強姦サポートチケット

ある程度竜崎と怜が話し終えたのち、ひとまずの今後の方針を話した後、解散となった。俺が少し前に念話のきっかけトークとして『ご飯は6時に食べようかなあ』なんてことをしゃべったから、会長たちがそれを真に受けて、気を利かせて5時には帰宅していった。俺はまだ竜崎たちに聞きたいことが残っていたのでこの場に残った。告白券についてだ。

 

 「さて、告白券について聞きたいことがあるんだが・・・」

 

開口一番に、俺は怜に向かって質問をした。怜はまあ、想定していたけど、できれば話したくないよと、もの悲しさを浮かべた表情をしていた。

 

 「まあ、そこ聞きたくなるわよね・・・」

 「告白券を使って本番することはできないんだよね?」

 「そうね、告白券によるチャームがかかっている状態で、性的行為に分類されることをしようしても、チャームが剥がれ、被使用者における使用者に関する記憶消去が起きるわね。告白券を使う人だれもが一度は夢見る、()()()()()()()()()()()()()()。」

 

ここまでは俺が今までに聞いた告白券の説明と同じだ。便箋に相手の名前を書けば相手が自分のことを好きになる。そんなチャームがかかっているから、どんなに女の子と縁がない生活を送っていても、楽しい時間を過ごせるわけだ。ただ、性行為につながるようなことは一切できない。しようとしても、直前でチャームが剥がれるから・・・。ただ、最後の表現は少し引っかかるな。愛し合うセックスができないなら、愛さないセックスならできるのか。・・・いや、童貞だからそんなセックスがあるのかよくわからないんだけどさ。

俺が少し考え込んでいるとき、竜崎が横やりを入れてきた。

 

 「性行為に迫った時、被使用者の記憶消去は一瞬で行われる。イメージとしては、気が付いたら見知らぬ人が襲おうとしているように映るだろう。」

 「この時って意識は失っていないんだよね?」

 「ああ。しかも、“そういう雰囲気”になった時点で記憶消去が起こるから、逃げるのもまだ容易い。男の方も、我が身恋しさに、記憶破壊が行われた時点で深追いはしなくなる。捕まりたくないからな。いわばこれが告白券からの警告になるわけだ。これ以上ことを進めるとただじゃおかなくなるぞってね。」

 「――――でも、強硬する人も出るんだよな?ただそうなったとき、俺の世界だったら最終的に警察が何とかしてくれるけど、怜の世界でも何かしらの裁きが下るんだっけ?」

 

初対面の時に怜に言われたことを繰り返した。怜は『神界での裁きが~』と説明した。これは恐らく方便だろう。神界と説明したほうが都合がよかっただけで、本当は異世界人・・・なのかな・・・?。まあそこはさておき、あれだけ語気を強めて言うのだから、流石に裁きの部分は嘘ではないと信じたい。その確認を含めて、俺は怜に尋ねた。

 

 「その通りよ。私たちの世界では、告白券が使われた際、だれがどこで使ったのか全てわかるようになっているのよ。もちろん、ある特別な機関でないと調べられないのだけれど・・・。こっちの世界で例えるならば、匿名でネットに書き込んだとしても、ログをたどれば最終的には特定されてしまうようなものね。見つけた後は勿論捕まえることになる。だから、告白券を使ってセックスしようとなんて、普通は考えないのよ。」

 

だよな・・・。

セックスしようとしても、途中で相手が我に返る。そこから無理やりヤろうとしても、怜の世界の機関によって特定されて捕まってしまう。だから、告白券でセックスを試みるなんて、無謀にもほどがあり、いわゆる無敵の人でなければやれない。たとえ何の恐れも抱かない無敵の人であっても。昏睡レイプ!野獣と化した先輩じゃないんだから―――――――――――――――――ん?昏睡?

 

 「――――――――告白券を破ったもしくは痛めた時、相手は気絶するのか?」

 「そうね・・・。通常セックスに至るまでは、ムードも大切じゃない?告白券使用時、そういう雰囲気になりそうなとき、ゆっくりとチャームを取り除くため、脳に負荷がかかっていく。だから、フリーズすることなく記憶破壊を行えるのよ。ただ・・・破った場合は・・・大人は頭痛程度が多いわ。ただ、未成熟な・・・それこそ小学生だと脳にかかる負荷に耐えられなくて、意識を落としてしまうのが殆どね・・・。痛めた場合は、問答無用で気絶するわね。」

 「そんな―――――それなら、極端な話、小学生に告白券を使って破って気絶させたらもう、ロリコンの無敵の人はやりたい放題じゃないか。」

 

怜はこの言葉を重苦しく受け止めているように見えた。沈黙の後、重々しく口を開いた。

 

 「私たちの世界では誰が告白券を使用したか、調べればわかる。しかしながら、特定までにはどうしてもラグが生まれてしまう。だから、強制的に行為に及んだ際は、未遂で終わらせる、なんてことは我々にはできやしない。————————さらに、問題なのが、あくまで特定できるのは使用者であって、()()()()()()()()()()()()()()。」

 「付け加えると、使用者の特定方法は、女性の処女膜が存在している時、ゆっくりと脳に付加をかけた際に発生する特殊な信号をキャッチして特定する、というものである。だから、特定できるのは”使用者が被使用者に迫っていた”という事実だけで、”その後のレイプをしたかどうか”までは突き詰められない。告白券を破っただけでは使用者を捕まえることはできない。破ること自体は、罪にならないからだ。」

 「処女膜があるときって―――――――え?じゃあ、もしさっき言った告白券を破ったことによる記憶破壊を起こして気絶させた後、仲間がレイプして、処女膜が破られた後使用者がレイプした場合は特定できるのか?」

 「―――――――――それが告白券の、いわば裏技にあたってしまうのよ。特定をすることはできない。だって”判別に使われるはずのもの”がないのだから。」

 「しかも、もし襲われたとしても使用者に関する記憶はすべてなくなっているから、やり方次第では完全犯罪になりうる。まあ、たいてい体液が残っているから捕まえられるのだが、レイプを止めることはできないんだ・・・。」

 

こんなの、強姦サポートチケットじゃないか。なんだよ告白券って。名前に反してやれることがエグすぎるだろ。

ゲーセン近くで見かけた神前鬼道と太ったオタク、神前はデブオタに告白券を使ったレイプを依頼した。その相手は静乃の可能性が高い。しかしながらそれには失敗した。失敗の理由は恐らく、幼少期にどこかの誰かにレイプされたから――――――――――――――――

 

 「―――――――――遼、やるせない気持ちになるのはわかるけど――――――」

 「ちょっと待ってくれ。一つ聞きたいが、非処女に告白券を使った場合どうなる?前はただ使えないとしか言われてないんだが、全く効果がないだけなのか?」

 「ええそうね。使っても意味がないわ。そもそもチャームがかからないのよ。」

 「告白券を満期で使えば、被使用者には記憶操作が行われる。迫れば記憶消去が起こる。告白券を破れば、チャームを無理やり取り外すから、脳に大きな負荷がかかって被使用者において使用者に関する記憶破壊が起こる。告白券を燃やすなりじっくり傷めるときは、被使用者の脳を保護するためにチャームがかかった以降に関する記憶封印が起こる。これであってるよね?」

 「そういうことになるわね。」

 「なら、なぜ――――――――」

 

静乃は記憶封印が起こった?と聞こうとしたその瞬間、頭の中に竜崎からの声が聞こえてきた。

 

 【国広君、ストップだ。その先の言いたいことは何となく察している。だが、その話については私の方から後で説明を行うから、ひとまず離席してくれ。トイレに行くでもいいから。この質問を怜に投げかけちゃだめだ。】

 【・・・わかった。】

 

そこまで言われてしまったら、引き下がらざるを得なかった。

 

 「――――――――――いや、その話の前にちょっとウンコしてくるわ(笑)」

 

でへへと笑うと、怜は大きなため息をついて、手で追っ払うそぶりを見せた。

 

 

 

 

 

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 「・・・こんなこと言うのははばかれるんだけど、静乃はいわゆる経験者だから、もうこの先告白券を使っても効果が出ないってことでいいのかね?」

 

トイレから戻ってきて話を仕切りなおした。言いかけた話と文脈が少しずれていたかもしれないが、トイレに10分もいたせいなのか、怜もあまり気に留めていないように見えた。

 

 「実はそうなのよ。けれど、相手は恐らくそのことに気づいていない。なぜなら、静乃に対しては行為としては失敗したけれど、告白券による記憶封印は起こっているから。相手もそのこと自体には気づいているはずよ。第三者に性的暴行を依頼しておいて、その結果を確認しないなんてことあるわけないもの。」

 「てことは、会長たちによる護衛は本当に現行犯逮捕を狙うため。しかも、次は本当に告白券が通じなくなるから、もし捉えられなかった場合、静乃はもう処女じゃないから襲われなくなるけど、それ以外のメンツが危険にさらされるということか・・・。これはもう常に気を張ってないといけなくなるな・・・。」

 

竜崎の言葉を借りるなら、静乃は鍵穴ではないんだろう。それはいいことなのか、ダメなことなのかはさておき、彼らの目的であるところの鍵穴探し自体は終わらない。だからこそ、元凶を抑え込まない限り永遠に問題は解決しない。俺にできることはいったい・・・

 

 「この世界の住人それ自体は危険ではないでしょうね。だって、本当に法律も何も気にしない暴漢ならば、もう無理やり襲っているもの。それをしていないってことは、それをやるだけの度胸の無い男なのよ。」

 「問題は背後にだれがいるかだな・・・それさえわかれば・・・。」

 

竜崎がそうつぶやく。

――――――――やはり神前のことを竜崎に相談するしかないな。神前が告白券と思しきものを太った男に渡していたことを・・・。

 

 

 

 

 

 

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静乃の記憶封印の原因と、元凶について、帰宅後ずっと竜崎が話しかけるのを待っていた。あとで説明をしてくれるといったから、こちらからの催促はやめていた。俺は飯を食ってしばらくしても一向に言ってこなかったから、風呂に入り、スマホで適当にSNSをいじった後、布団に入った。電気を消して目を閉じた時、ようやく頭の中に声が聞こえてきた。

 

 【すまないね。ようやく話せそうだ。話が長くなりそうだから、ずっと止まっててもおかしくない状況にしたかったのだ。】

 【なるほど、確かに横になってじっとしているのはおかしいことじゃないからな。】

 【――――――――で、国広君が聞きたかったのはおそらく、『なぜ萩原静乃は処女じゃないのに告白券による記憶封印が起こったのか。』ということだろう?】

 【まさにそれなんだ。一体どういうことなのかわからない。だって、破った時点でチャームは剥がれるんだろう?それならば、仮に当時の静乃が告白券の悪用でレイプされたとしても、言ってしまえばそこで話は終わりなわけだ。不幸な形で経験者にさせられてしまうだけ。その後は処女膜がないんだから告白券によるチャームがかかりようがないのに、そのチャームをはがしたもしくは痛めた時に起因する事象がおこるなんて・・・。】

 【これは推測になるが、”破った時点でチャームが剥がれる”という前提が間違っている。正しくは”破ったのにチャームが残ったまま”ではないかと思っている】

 

正直、竜崎の言っていることはわからなかった。破ったのにチャームが残る?

 

 【―――――――――ちょうど7年前、私は一度この世界に来ているんだ。それと同時期に我々の世界から別の住人が移ってきてしまった。そのとき持ち出されていたんだ。旧型の告白券が。今回の一連の事件は、おそらくこの旧型の告白券が関係している。】

 【旧型?】

 【ああ。この旧型の告白券は、我々が持つ新型と違って記憶操作とチャーム掛けが別の事象として扱われる。告白券の扱い方により起こる記憶破壊と記憶封印は強制的に発動するある一方、使用者が迫ることによる記憶操作や、チャーム解除などの時間制限のある事象は全て未経験、処女であることが前提に発動する。】

 

・・・当たり前のようにこの2つのことは1つの事象として考えていたが、どうやらその前提が違うらしい。

 

 【・・・それがどう関係?】

 【操作に対する応答が単純である故、節々に看過できない欠陥があるんだ。少し長くなるが、心して聞いてほしい。例えば、AがBに対して告白券を使い、チャームをかける。次にCがBに告白券を使っても、それはうまくいかない。なぜならば既にBはAに対するチャームがかかっているからだ。そうすると、Cがとる行動は2つある。一つはそのまま放置、もう一つは告白券を破って処分だ。で、告白券を破った時に問題が発生する。Bにかかっているチャームがすべて外れるように働いてしまうのだ。すなわち、Aは告白券を破っていないのに、Aのチャームがはがされてしまう。告白券を破ったのだから、もちろん、記憶操作も行われる。満期で記憶操作、破って記憶破壊、傷めて記憶封印、この仕組みは新型も変わっていない。】

 

・・・初めに使ったAのチャームも無理やりはがされるのか・・・。

 

 【ここで先ほど怜も交えて話したときの、告白券を使った暴行方法を思い出してほしい。この方法と、チャーム掛けと記憶操作の分離が、思わぬ結論を招くのだ。AがBに対して告白券を使っているときに、AがBに迫ろうとする。その時は、告白券の使用者が未経験の被使用者に近づくことでチャーム解除と記憶操作が起こる。しかしながら、AがBに告白券を使っているときに第三者Dが迫るとどうなるか。告白券の使用者が迫っているわけじゃないから、チャーム解除と記憶操作が起こらないんだ。第三者によるレイプの後、告白券を破ったら記憶破壊が強制的に起こる。しかしながら、チャーム解除は、2週間後処女膜が残っているかどうかできまる。だから、もし告白券を使っておびき出した後、別のだれがレイプして、その後告白券を破ったとき、被使用者には記憶破壊が起こるが、処女膜が残ってないから、2週間後のチェックが漏れ、チャームが消去されない。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。】

 

 

 

 

チャームがかかったまま・・・・・・?

―――――――――まて、それならば、静乃は小6の時に告白券を使って襲われ、以後ずっとチャームがかかり、最近になって、旧型の告白券を使われ、傷められたから、チャームをかけられた小6からの記憶がすべて封印されてしまったってこと・・・・・・?

 

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