『ごめんなさい。先生方の方針で、急遽全部活動の会議をすることになってしまいました・・・。なので、今日の放課後は静乃についてあげることが難しくなりました。』
「・・・それはタイミングが良くないですね・・・。ならば、部長に――――――――――そうか、部活の会議ということは、部長も付き添ってあげられないってことですよね?」
『そうなってしまいますね・・・。全く、こんな時期に不祥事をやらかした不届き物がいたなんて・・・。ごめんなさい、ちょっと聞かなかったことにしてください。かなり今立て込んでいるので、もう切りますね。放課後の付き添いはまず国広君一人でお願いします。ただ、乱闘になった時に役立つ人間を2人送っておきます。まず、生徒会メンバーの一年で、林鹿夫という屈強な男です。相手が複数の男だとしても、こちらも複数であればなんとかなるでしょう。ただ、彼はアホなので、作戦遂行のためにもう一人、武君にも付き添わせます。今日はこれでお願いします。』
会長に相談を持ち掛けに連絡を取ったところ、悲哀と怒りが混ざったような声色でそう答えた。あまり会長から怒りの感情が漏れ出すことはないので、非常に驚いた。また、ハムはさておき林鹿夫という男はあまりよく知らないので、一抹の不安が残るが、男三人もいればなんとかなるだろ。俺は早速ハムに電話をかけた。
『ああ、問題ない。すべて話は聞いている。少年の親友が危ないのなら、助太刀にでるのが当然だ。』
「ありがとう。助かるよ。とにかく今は複数人での行動が最優先だ。集団下校、頼むぞ。」
俺と静乃二人だけで帰るとなると、一気に危険度が上がる。なぜならば、俺一人をどうにかしてしまえば、静乃が一人きりになってしまうからだ。複数の男が一人の女の子に乱暴することくらい簡単にできるだろう。ただ、奴らが現れる可能性はグンと上がる。奴らに指示出しをするのが神前であるとして、あいつが奴らに静乃の様子をいつでも見れるよう根回ししてあるのであれば、ここから毎日危険と隣り合わせ、加えて襲わせるのを急がせている。今日奴らが現れてもおかしくない。とにかく今俺らに求められているのは、怜が本丸を捕らえるまでの時間稼ぎをすること。そこははき違えちゃいけない。男が3人もいるのに、突撃するほど彼方もバカじゃないだろ。
『任せてくれ。林にはこちらから連絡しておく。先ほど会長から連絡先をいただいたのでな。』
ああ、と返事をし、俺は通話を終了した。そのまま画面を閉じぬまま、怜に電話をかけた。が、ダメ。きっとまだ、静乃たちと一緒にいるのだろう。ただ、着信履歴には残ったのだから、しばらくすればあっちからかかってくるだろう。そう思いしばらくその場にとどまっていたが、電話がかかってきたのは昼休み終了5分まであった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
『どうしたの?電話をかけてくるなんて、何かまずいことでもあった?』
「怜、今日の放課後なんだが、会長と部長が付き添えなくなった。どうやら学内の用事があり、どうしても抜け出せないらしい。」
『どうしてこんなときに・・・』
「ただ、ハムと林鹿夫という生徒会役員が一緒に来てくれるようなんだ。」
『ああ、彼ね。林鹿夫という人は良くわからないけれど、ハムは信頼できる人間だからよかったわ。くれぐれも無茶はしないでね。本丸は私が注意深く見ておくし、もしその場に本丸が現れた場合、私が対応するから。決して立ち向かわないで。』
「この前のお前をみたら、嫌でもそう思うさ。さすがにまだ俺は死にたくない。大丈夫。手先の人間だけ何とかするよ。」
そうして俺は電話を切った。さあ、今日の午後が正念場だ。ちょっと予定とはずれてしまったが、静乃を何としても家に送り届けるぞ!
なお、部室の近くにいた俺は、普通に授業に遅刻して、次の授業の先生である、物理の千歳先生から悲しい目を向けられたのであった。