タマゴのカラを割らないでっ!   作:すうどんたくろう

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4-5-7 決着

あのバカ3人は順調にこちらに向かってきている。奴らのスマホすべてに位置情報共有アプリを入れているから、失敗したかどうかがすぐわかる。警察署や、同じ場所にとどまり続ける、散り散りになるなどすれば、失敗した証拠。情報を吐き出される前に、切り捨てるまで。自分はこんなところで捕まってはいけない。

ハイエースがこの廃工場に入ってくる。この廃工場は数年前に潰れた鉄鋼の加工工場で、更地にする金もなかったからそのままにされているらしい。そんなだから、不良共のたまり場になっているのだが、全員締め出したことで、自分が一方的に使っている。モノも多いし、身を隠すにはちょうどいい。

ハイエースが廃工場内のプレス機近くまで来ると、そこで停車した。待ち合わせ場所に指定していたところだ。自分はゆっくりとその車に近づく。3人一緒に来ているのだから、勝利したと思いたいが、あのバカ共は何も信用できないからな・・・。

 

 

 「ル、ルナさん・・・遅れてしまったんだな・・・」

 

 

車の窓が開くと、脂ぎったデブがこちらを見る。鼻先の毛穴に汚れが詰まって黒ずんでいて、シャツは汗で張り付いている。汗だくってことは、ヤるだけヤったと思いたい。

 

 

 「おいデブ、萩原静乃とやることやったんだよな?」

 「も、もちろん・・・。後ろの直紀にも聞いてみてくれ・・・。」

 

 

そうして自分は後ろのドアを開くと、そこは猿ぐつわされて、両腕両足を縛られた萩原静乃が転がっていた。

 

 

 「あ、ルナさん!」

 「————————なんで脚まで縛ってる?」

 「ちょっとヤりすぎてさすがに疲れたといいますか、もう膣内気持ち良すぎて三こすり半で出ちまうんで、ヤった時間に対して出た量がこれまでの3倍なので・・・。だから、起きられたとき暴れられたら抵抗する体力ないなーって。」

 

 

やっぱり、このゲスの説明は吐き気がする。聞いたのはこっちだが、聞かなきゃよかった。

 

 

 「—————なるほど、わかった。萩原静乃を運び出せ――――――――ってあれ?林はどうした?」

 「林はずっと透明ジャケット着たまま、ヤりつかれて寝てますね。」

 「は?あの体力バカがそんなすぐ疲れるわけないだろ、野球部だぞ?」

 「ああ、あの坊主ですか?なんか童貞だったみたいで、あの名器に入れた瞬間もう射精しまくりですよ。だから、すぐ復活してすぐ出してっていうのを繰り返した結果、チンコがしなしなになっちゃってましたね。」

 「寝た理由は分かった。でも透明ジャケットを着ている理由は?」

 「いやもう、脱ぐの忘れるくらい興奮してたんですよ。だから、急いでチンコだけ出して、やることやって、寝たってことです。だからそこでチンコ丸出しですよ。見ます?彼のお子様チンコ。」

 

 

チー牛は指さすと、そこには明らかに不自然にタオルが浮いており、その中央が小さく盛り上がっていることがわかった。

 

 

 「———そんな汚い物見せるな糞が。」

 

 

チンコチンコうるせえな・・・・・・。まあいい、目的達成なら、自分の役目もこれで終わりだ・・・。

そうして、ポケットの中から3()()()()()()()を取り出して、それを破ろうとし――――――――――

 

 

 「—————————————っ!」

 

 

瞬間、手に大きな痛みが広がって、チケットを落としてしまう。

手に、穴が開いている?撃たれた?音もなく??

そして今度は、誰もいないはずの後ろから強く引っ張られて、ぶん投げられた。前から倒れそうになったが、とっさに受け身をとって、懐から拳銃を取り出した。

 

 

 「ったく、これはどういうことだ――――――――」

 

 

するとまたしても手元を撃たれた。拳銃を床に落としてしまう。すると、その拳銃がひとりでに浮き上がり、こちらに銃口を向ける。両手を銃で撃たれ、出血は止まらず、使い物にならない。腕が使えないから、全ての対抗手段をとることができない。

 

 

 「透明ジャケットを着た武闘派が複数人、そしてこの廃工場内に潜むスナイパー、どうやらお手上げのようだ。」

 

 

自分は両手を上げた。さすがに、どうあがいても勝ち目がない。あのバカ共も、そして自分も失敗したようだ・・・。

 

 

 

 

 

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フードを被った男、神前鬼道は両手を上げた。

 

 

 「そのまま手を頭の後ろに組みなさい。」

 「ったく、手に穴が開いているのにそんな複雑な行動を要求するなんて。」

 「死にたいの?」

 

 

カツカツと足音をたてながら、神前に拳銃を突き付けながら一人こちらに近づいてくる。もっとも、その姿は見えない。()()()()()()

やがてそいつは神前の真後ろに立つと、手首を手錠で固定した。ロープで縛らなかったのは、血で滑って外れることを嫌ったのだろうか。

 

 

 「もういいわよ。みんなジャケットを脱いでも。このあたりに協力者は見られなかったわ。こいつの動きも封じた。安心していいわ。」

 

 

そして、拳銃を神前に突き付けたまま、そいつは透明化を解除した。こんな非日常なことをやれてしまう人間なんて一人しかいない。怜だ。

 

 

 「…ああ、緊張した。まるで漫画の主人公みたいだ。」

 

 

俺は車の中から這い出た。粗チン男の役なんてもうこりごりだ。透明ジャケットを解除して、改めて怜と神前を見る。その時、俺は怜を見て驚いた。眼の奥に吸い込まれてしまいそうな、なんの感情もくみ取れない、果てしなく冷たい目。これが覚悟の決まった女の眼なのか。

 

 

 「…おい馬鹿ども二人、これはどういうことだ?」

 「すみませんルナさん…。逆らったら殺される勢いだったので…」

 「お前ら、自分がどんな存在で、どんなことができるのかわかってて言ってるの?自分に殺されるとは思わなかったわけ?」

 

 

神前はそう吐き捨てると同時に、緋色会長の透明化が解除された。会長の姿を確認した瞬間、奴は天を仰いだ。そして、奴のフードが脱げる。

―――――――――会長は何を思うのだろうか。自分がよく知る人間が、自分の良く知る人間をひどく傷めつけようとしていたことに。

 

 

 「そりゃ…あのバカ共は丸め込まれるわけだ…」

 「キド…信じたくはなかったですよ…。」

 

 

だらりと垂れた腕、目を背け、苦虫を嚙み潰したような、苦しい顔した会長は、とても見ていられなかった。

 

 

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