タマゴのカラを割らないでっ!   作:すうどんたくろう

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4-6-1 告白

 夏だから日照時間が長いとはいえ、外はかなり暗くなっていた。廃工場での非日常な危険な目に遭ったものだから、皆固まって解散することとした。会長はハムが、静乃は俺が送ることとなりそう―――――だったのだが、

 

 

 『タクシーを外に呼んでおいたから、それで帰って頂戴。』

 

 

という怜のファインプレーにより、真の意味で安全に帰宅できることとなった。金も渡してくれたから、俺のお財布にも優しくしてくれた。こうなることを予期していたのか、流石だな。女性にタクシー代をおごってもらうのは気が引けたが、機関からの補充と聞かされたから、何の抵抗もなく使うことができる。

 

 

 「じゃあ、帰ろう、遼。」

 

 

そう言って静乃はタクシーに乗り込む。俺も次いで乗り込んだ。

 

 

 「先に静乃の家に向かったほうがいいから、静乃たのむわ。」

 「了解。」

 

 

にやつきながらそんなことを俺に言う。なんか変な感じ・・・。

 

 

 「―――――――までお願いします。」

 

 

タクシー運転手に告げた住所は、静乃の家ではなく、俺の家。

 

 

 「え?なんで?」

 「今回の件についてちょっと話しておきたいこと、いっぱいあるでしょ。お互いね。」

 「でも、いきなりだし―――――」

 「大丈夫、既に有希ちゃんには連絡済みだから。」

 

 

て、手際がいい…ちょっと前までスマホの扱いに四苦八苦してたやつとは思えんな。

ちなみに、記憶を封印されてスマホの使い方がわからなかったからこそ、今回の窮地—————静乃の誘拐を阻止できたといっていい。

ハムと会長は俺と静乃がピンチの時にすぐ駆け付けるという出来すぎたシナリオ、それはスマホの位置共有アプリのおかげなのだ。おそらく静乃の身には何かしらのことが起こる、そんなときのためにと会長が事前に静乃のスマホにアプリをインストールしていたのだ。もちろん、記憶を失っていた静乃はそんなこと知る由もない。だからこそ、会長たちは静乃のいる場所まで最短距離で向かうことができたとのことである。余談だが、会長たちはこいつらと前に出会ってたらしく、その時も圧倒的な力でねじ伏せたらしい。いろんな意味で彼女らにはかなわないな。

 

 

 「にしても、武の活躍っぷりには驚いたな。刹那もほだされるわけだ。」

 「だよなあ。——————てか、やっぱそうなの?様子あやしいとは思ってたけど・・・」

 「少なくとも、まだぼくがぼくでいたころはそうだったよ。おかしくなってた間は―――――どうだろ、刹那はぼくに気を遣うばかりで、そんなそぶりは見せなかった気がする。」

 

 

帰り道にハムと林が気が付けばいなくなっていた。林がハムを路地に呼び込み、そこで乱闘があったらしい。ただ、ハムが圧倒的に強かったため、林はあっけなく気絶。そしてハムは、林のスマホを取り上げ

、パスコードを解除したとのこと。LINEを開いて裏のやり取りを全て発見し、トーク画面を全てスクショして会長に転送したんだとさ。もちろん、林のスマホからその証拠は全て消している。ハムは林のスマホのずっと起動させていたかつ、ずっと持っていたから、神前を欺くことができた。なお、林はその辺に放置してきたらしい。この二人の活躍がなければ、ここまでうまくことを終えられることはなかっただろう。にしても、切れ者すぎるだろハム、厨二病やめて真正面からぶつかれば、そら刹那が惚れてもおかしくないや。

 

 

 「なるほどなあ。まあ後であいつらに聞いてみよう。」

 

 

ほっと一息つくと、急に眠くなってきた。ああだめだ、ぼんやりしてきた・・・

 

 

 「遼、寝てていいよ。ぼくが起こしてあげるから。」

 「いやでも――――――――」

 「迷惑かけた自覚はあるんだ。それに、もう危ないことは起こらないんだ。安心して眠ってくれ。」

 

 

そんな彼女の言葉に抗おうとしたが、数日の疲れには勝てないのか、俺はゆっくりと眠りに落ちていった。

 

 

 

 

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 「ついたよ。」

 

 

静乃に体を揺らされて、パッと目を開けるとそこは俺の家の前。

 

 

 「支払いはしておいたよ。さ、帰ろう。」

 

 

静乃はタクシーから出ると、俺もそれに続いてタクシーから降りた。

家の鍵を開け、リビングに入ると有希がソファに寝転んでテレビを見ていた。

 

 

 「あ、静乃さん、いろんな意味でお久しぶりです!」

 「有希ちゃん、ごめんねいろいろ迷惑かけて。もう大丈夫だから。」

 「いえいえ、明るい静乃さんも新鮮でよかったですよ!それに――――――――性格が前に戻ったとはいえ、前ほど負のオーラは、心なしか感じない気がします。」

 「そうなんだ、多分心境の変化かなあ。」

 「ゆっくりと兄さんとお話ししてて下さい。叔父さんは締め切り近くてずっとこもっていますし、私はだだっ広い空間でぐうたらできる数少ないチャンスを無駄にしたくないので、ずっとここにいますしねー。」

 

 

有希、お前そんなこと思ってたのか。確かに、叔父さんが執筆の締め切り近いからって書斎にこもってるときやたらリビングでだらだらしてると思っていたが・・・。

ひらひらと静乃は手を振って、リビングを後にした。俺も続いてリビングを出る。彼女は一直線に俺の部屋に入っていった。――――――――あれ、竜崎とかどうしてたっけ?てか俺の部屋っていまどんなだっけ?

 

 

 「案外片付いてるじゃん。」

 「あれ、本当だ。」

 

 

なんなら、あいつもどっかに行っていなかった。多分、怜と一緒にいるのかな?

俺はポケットに入っている、前に怜から渡された通信用イヤホンを取り出して、そこについてる穴を三回押した。竜崎と直接話ができるホットラインだ。イヤホンを耳に着け、部屋を出てしばらくすると竜崎の声が聞こえてきた。

 

 

 【ほっと一息ついてるところかな?どうした?】

 【まあ、一息はついてるけどさ、今どこなの?】

 【察してるかもしれないが、怜と共にルナを尋問しているところだよ。】

 【あ、やっぱやるよね尋問・・・】

 【そりゃそうだ。脅威を完全に取り去る必要があるからね。要件はそれだけ?】

 【そうだよ。忙しいところすまん。】

 【いやいや、気にすることじゃない。いずれにせよ君には萩原静乃に最後の仕事————————メンタルケアを頼みたい。近くにいるのは怜から聞いているからね。】

 【言われずともそうするさ。】

 

 

そうして通話は切られた。竜崎と怜がセットでルナ、および神前を締めるなら、もう問題はないだろう。

部屋に戻ると、静乃はすでに俺のベッドに腰掛けていた。俺は近くの椅子に座った。。—————仮にも男の部屋にいるのにベッドの上に座るのはどうなんだろう・・・。いや有希がいるし、なんなら多分叔父さんもいるからいいんだけど――――――――いや、有希も叔父さんも1階にずっといるから、こっちに来ない・・・?――――――――いや、変なことはしないけどさ。変なことされたせいで静乃はねじ曲がってしまったわけだし、もし俺がとち狂ってそんなことをしてまた記憶がおかしくなったら嫌だし、なによりそんな対象として彼女を――――――――

今までそんな対象として考えもしなかったが、改めて静乃を見ると、出るところと引っ込むところはしっかり出てるし、容姿もいい。スカートからのびる太ももも、夏服のワイシャツからのぞかせる二の腕、なんとやわらかそうなことか。—————————————いかん、普通にエッチすぎる。個室に二人だけしかいないってのも相乗効果で普通にムラムラしてきそうだ。俺は腐れ縁の女の子にこんな気持ちを抱いてしまうほど、性欲溜まってたのか・・・。

 

 

 「あー疲れた。あえて捕まったふりするなんてこと、今後は絶対ないだろうなあ。」

 「—————————そうだよな。静乃もとんでもないことを思いつくもんだ。」

 

 

俺は一瞬抱いた不純な思いを吹き飛ばすように、あの時の話を始めた。

 

 

 

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 「予定通りぼくを攫って、そのルナさんとやらのところにつれていけ。」

 

 

静乃奪還後、ピザデブとチー牛を一通り締めた後、静乃は彼らを正座させ、そのように告げた。もちろん、人目につかないところで。

 

 

 「静乃、どういうことです?」

 

 

会長がそう問いかけるのも無理はない。俺だって意味わからない発言に首をかしげていた。

 

 

 「おおもとを絶たなければ、おそらくぼくじゃない誰かに同じことが起こるんでしょ?それなら、捕まったふりをして、一気に叩くのがいいと思うんだ。幸い、こいつらは透明化できる不可思議な装置があるみたいだし、それで会長と武が隠れればいいんじゃないか。」

 「確かに、でも、敵の本陣に乗り込むのも・・・」

 

 

危険だよな。相手の勢力がどの程度のものか全くわからないから。

 

 

 「おいそこのチー牛、ルナさんとやら以外に協力者はいないのか?」

 「は?人をチー牛呼ばわりだと――――――――」

 「今すぐに警察に突き出してもいいんだよ?この辺の女性を手あたり次第襲った変態レイプ魔を捕まえましたってさ。」

 「「すみませんでした。」」

 「枕詞が足りないね。『レイプ未遂をしてしまった救いようのない豚野郎が、静乃様に対して大変失礼なことを申し上げてしまいました。本当に申し訳ありません。』はい復唱!」

 「「レイプ未遂をしてしまった救いようのない豚野郎が、静乃様に対して大変失礼なことを申し上げてしまいました。本当に申し訳ありません!!!!」」

 

 

男らは地べたに頭をこすりつけ、静乃に謝罪をした。静乃、めちゃくちゃ生き生きしとるやん・・・

 

 

 「で、協力者はいるのか?」

 「「いません!俺らが会っていたのはルナさんだけです!」」

 「お前らは何でルナに協力している?」

 「————————あれ、なんでだろう。本能で従っているんですかね?」

 

 

これ、告白券がこいつらに作用している?こいつらは演技がうまいタイプじゃない。この言葉は嘘じゃないだろう。となると、告白券をルナとやらに破られたらマズイ。すべてがパーになる。

 

 

 「おいお前ら、スマホを出せ。それに、スタンガンやルナさんからもらった危ない物、連絡手段、全てだ。」

 「はい!仰せのままに!」

 

 

そして目の前にはスマホに、無地のシールと腕輪が3セット、スタンガン2丁が出された。そして静乃の名前が書かれた告白券も・・・。

 

 

 「このチケットは俺が預かるよ。見覚えがあるんだ。」

 「そう、わかった。スマホも預かっておいて。———————で、ルナさんとどうやって連絡していた?まさかスマホで連絡してたとか言わないよね?」

 「そ、その通りなんだな・・・。証拠見せるから、ちょ、ちょっとだけスマホいじらせて・・・。」

 

 

ピザデブがそういうと、静乃は彼にスマホを返した。武が彼の首元にスタンガンを当てているし、会長が後ろで見張ってるから、変なことが起きることは万に一つもないだろう。

 

 

 「・・・本当だ。特殊な連絡手段は使ってない?嘘ついてたらどうなるかわかっているよね?生殺与奪の権利はこちらにあるんだからね?」

 「う、嘘じゃないっす!マジで!ルナさんからもらったのはその透明化シールとスタンガンだけ、そしてこの――――――」

 「このチケットでしょ?わかってる。それ以上言わなくても。」

 

 

男二人はほっとしたようだ。そしてずっと黙っていた会長が、ゆっくりと口を開いた。

 

 

 「————————スマホに連絡手段を頼らざるを得ないのならば、スマホそのものが鍵でしょう。おそらくルナは彼らのスマホに、私が静乃ののスマホに入れた位置共有アプリとかが入っているのでしょう。これで計画がうまくいったかどうかを判断しているはずです。ならば、このスマホをもって予定通り集合地点に向かえば、相手の油断を誘えるわけですね。幸い、鹿夫のスマホは武君の手にあります。”3人が問題なく集合できた”という事実が重要でしょう。」

 「————————というわけだ。お前らは透明ジャケットの使い方をこの三人に教えろ。その間に変な行動をとったら――――――――」

 「「静乃様には向かうことは致しません!」」

 「よろしい。お前らはいまからぼくの忠実なしもべになれ。もしすべてうまくいったら、予定通り1発くらいヤらせてやってもいいよ。」

 

 

流石にその発言はやりすぎだろ!

 

 

 「「え?本当ですか!?!?!?!?」」

 「これまではお前らがずっと主導権を握ってきたんでしょ?主導権を握られる快感を味合わせてあげるよ。」

 「—————萩原、それはさすがに・・・」

 

 

ハムが止めに入った。会長も静乃の発言にドン引きしている。

 

 

 「同意があれば問題ないでしょ?」

 

 

そういわれてしまえば、食い下がるほかない。それに、今はおおもとを叩くほうが優先だ・・・。

 

 

 「「静乃様!!!!!承知いたしました!!!!我々、忠実なしもべとなります!!!!」」

 「よし。じゃあいまから行動開始だ。」

 

 

こうして、静乃の体を張った懐柔により、おおもとを叩くために移動を開始した。

移動中の車内で今回の筋書きを考えることになったわけだが・・・

 

 

 「シナリオは―――――そうだな、林は短小包茎の糞童貞で、入れた瞬間イくのを繰り返してつかれて寝ていることにしよう。これ、遼の役ね。股間にタオルでもかけてそれっぽくしといて。」

 「・・・」

 「到着が遅れた理由は、ぼくが名器だったからやりすぎたってことにしとこう。もしルナが車内でちゃんとセックスしたか確かめるためにぼくの股を開きでもしたらたまったものではないので、足も縛っといて。理由は・・・疲れたから反抗されたら勝てないかもと思ったからってことにしといて。」

 「・・・」

 

 

よくもまあこんなつらつらと過激なことを思いつくものだ。こいつ、実はかなりのビッチなのでは?それとも、今回の件で吹っ切れただけ?わからないよ俺は・・・じつはいままで裏でパパ活とか援助交際してたら怖いよ・・・

 

 

 

 

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 「———————遼はぼくの身に過去何があったか、だいたい知ってるんでしょ?」

 「まあ、状況証拠からの推測だけど・・・」

 「いいよ、多分あってる。——————ぼくは昔レイプされてね――――――――」

 

 

そこから、これまで誰にも話してこなかったであろう、静乃が変わってしまった過去の出来事とそれからについて、静乃の告白が始まった。

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