やってしまった。
俺はそう思っている。
秋十と箒を行動不能にした後織斑千冬に呼び出された。周りから見れば俺が悪い。いくら我慢できなかったとはいえ二人をいきなり殴って蹴ったのだ。俺の方が悪い。もっとも殴って蹴った相手があの二人なので反省はしていない。
「さて、貴様は何で呼ばれたか分かるな織斑兄」
「二人を殴ったからではありませんか」
「そうだ」
織斑兄ではないのだが今反論するわけにはいかない。
「貴様には反省文300枚とクラス対抗戦までの謹慎。分かったな」
「分かりました」
クラス対抗戦まで謹慎というのは長いが問題が問題なので打倒だと思った。
「・・・と言いたいところだが一つだけ選択肢がある」
「何でしょうか?」
「私と勝負をして勝つことが出来れば免除してやろう。ただし負けたらIS学園を退学して日本政府直属の研究所で過ごしてもらう」
「・・・」
つまり世界最強と今戦い、負けて政府のモルモットになれと言う事か。織斑千冬よ、そんなに俺を学園から追い出したいか。
昔の俺なら不可能だが今の俺は幻魔の中でも強い部類に入る。たかが人間に負けるわけがない。
「いいでしょう。その選択肢を受けます」
「言っとくが負けて泣きついても知らんからな?」
「たかが世界最強に負けるつもりはありません」
その言葉に織斑千冬は一瞬眉を顰めたがすぐに元の顔に戻した。
「ならば外に出るぞ。ついて来い」
そう言って俺らは外に出る。
「いいでしょう。その選択肢を受けます」
この時私はすごく驚いた。まさか本当に受けるとは。
無謀になったのか倒せるだけの力があるのか。
後者はないな。あいつは昔から何をやっても私や秋十よりも出来ずいつも大した力もなかった。クズでカスで出来損ないのこいつが私に勝てるだと?天地がひっくり返ってもあり得ないな。
やはりこいつは物事を分かっていないカスだな。躾と称して木刀で殴った時も大した疑問を持たずに受け入れた時は本当にバカだなと思ったよ。おかげでいつもストレスの捌け口にさせてもらったがこいつにはちょうどいいだろうと思った。
第二回モンド・グロッソで一夏が攫われたと言われたときはどうでもいいと思ったよ。むしろ邪魔だった出来損ないを処分で来てラッキーと思ったよ。
だから言ってやった。大会優勝のインタビューで「この気持ちを誰に伝えたいですか?」と聞かれたときに「唯一の家族であり弟の秋十にです」と言ってやった。
私には秋としか家族はいないとね。
その後ドイツが一夏がいる場所を特定したと言って来たが追い払ったよ。私の家族は秋十だけだからな。
その一夏がいなくなってからは素晴らしい毎日だった。ゴみがいない。出来損ないがいない。毎日あいつを見なくて済む。本当に充実した毎日だったよ。
近所の人も一夏がいなくなっても何も言わなかったよ。むしろ「出来損ないの弟がいなくなってよかったね」という視線を向けられるようになったよ。
ただ、一夏の少ない友達だった凰が突っかかって来たが木刀で黙らせた。私に「何で一夏がいないのよ!!」と言われても家族でもない赤の他人がいないと言われても困る。
そしてIS学園に教師になってからはあいつのことなど忘れていたよ。今年あいつが入学するまではな。何とかして退学させたいと思っていた所にこの騒ぎだ。利用させてもらおう。
こいつをボロボロにして政府の連中のモルモットとして永遠を過ごさせてやるよ。
出来損ないにはそれが幸せだろう。
「ルールは武具を付けずに木刀で殴り合い、気絶、戦闘放棄するまで闘う。それでいいか?」
俺は織斑千冬の出した条件を聞いて思っていた。
「(つまりこいつは俺をボコボコニしたいのか)」
俺が勝てるとは考えてないだろう。それにこいつは政府に渡すとは考えていないだろう。立てなくなるまで殴り続けてるだろう。恐らく気絶しても戦闘放棄しても殴り続けるだろう。
「(ま、負けるつもりはない)」
幻魔化した事によって得られた身体能力と思考能力。身体能力は人間の倍以上になり思考能力は脳をフルに使うことができる。百桁同士の掛算など暗算でできる。
織斑千冬は幻魔化した事を知らない。知っていれば今頃実力行使してでも俺を捕まえようとするだろう。
「(たかが人間に掴まらないけどな)」
人間と幻魔では次元が違う。下等幻魔ですら生身の人間に負ける事はない。ISを用いれば勝てるがあくまで下等幻魔の話だ。中等幻魔、高等幻魔には手も足も出ない。これはすでに実証済みだ。
「(さて、と。そろそろ試合に集中するか)」
俺は木刀を構えて織斑千冬の攻撃に備える。
すると織斑千冬が駆け出し、俺の頭めがけて木刀を振り下ろす。普通の人間なら何も出来ずに頭を叩かれて終わりだろうが俺は違う。
危なげなく片手で木刀を振るい、織斑千冬の木刀をはじく。
「なっ!!」
織斑千冬は意外だったのか顔を驚愕に染める。
当たり前だろう。まさか今の一撃を止められるとは思わなかったのだろう。普通の人間なら出来ないが俺はもう人間ではない。このくらい楽々できる。
「じゃあな織斑先生。約束守って下さいよ」
俺はそう言って織斑千冬の頭を叩く。勿論気絶する程度に威力を抑えて。俺が本気で殴れば体がきれいに真っ二つに割れるからな。
殴られた織斑千冬は気絶した。
「(なぜだ!?何故こいつはここまで強い!?)」
私は自分の一撃を止められ殴られたことに驚いた。
「(こいつはいつの間にここまで強くなった!?)」
本当だったら今の一撃で叩き潰す予定だったのに。
「(何故だ!?何故だ!?何故だ!?)」
私は呪詛のように何度も唱えながら意識を手放した。
ここで強さの順位を軽く書いておきます。
織斑秋十<織斑千冬<ギルガムハッツ<シャルロット<ラウラ・ボーデヴィッヒ<一夏デラオキルド<メラルド<デラオキルド・ザガン
大体こんなものです。